20090225に、私はブログで『不可触民って言葉にショック!!』というタイトルで記述した。内容は、狐狸庵こと遠藤周作さんの小説「深い河」を読んで、その物語は私を十分楽しませてくれたが、その本でとりわけ興味をもったのは物語に出てくる、カーストの不可触民と呼ばれる最下層の人たちの日常の生活のことだった。物語からは外れてネット情報から、カースト制度を禁止して差別撤廃をもり込んだインド最初の憲法を草稿したアンベードカルのことも知った。インド初代の法務大臣だ。
小説は1984年のインディラ・ガンジーが暗殺されたときのことなので、今から25年前の物語だけれど、悠久の国インドだから、都心は兎も角都心を離れたところでは、物語の当時の情況とは、さほど変わってないかもしれないなあ、と思っていた。
そうしたら、朝日新聞が下のような記事を掲載してくれたのです。現在のインドのガンジス川周辺の様子が書かれていて、狐狸庵先生の小説「深い河」の作中の内容がリアルに、肉迫してイメージできるようになった。ガンジス川の水は、今までもこれからも、ゆっくりゆったり流れていく。朝日新聞は、頑張ってくれている。
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20090324
朝日朝刊
週刊アジア/インドバラナシ/ガンジス川
万人の願いと希望をたたえ
高野弦
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死の灰が混じった水に身を沈め、人々は何を思うのか。
インド北部のバラナシ。夜明けのガンジス川は祈りの声で満ちていた。薄い布をまとった老若男女。腰までつかり、銅の器に水をくんでは落とす者。ろうそくを手にとり、回り始める者。儀式の形は人の数だけあるようだ。
「何のために祈るのかって? 私の運命を支配するシバ神をたたえるためさ」と、日の出に手を合わせていた若い男。「心にあいたすき間をうめるため」。赤子を亡くしたばかりの女性はそう話した。ここに移り住んで12年になるという74歳の男は「人生は最悪に満ちている。二度と生まれ変わらないために祈るのだ」。数百メートル離れた川沿いの火葬場では、次々と運び込まれる亡きがらが最後の時を待っていた。1メートルほどの高さに組み上げたまきに火がともされると、白い体が少しずつ黒い塊へと姿を変えていく。残った灰は川へと旅立つ。夕暮れ時、炎のそばで初老の女性が何ともいえない叫び声を上げていた。最愛の夫を亡くしたのだろうか。
火葬場は、ドームと呼ばれる最下層のカーストが仕切る。サングラム君(22)は大学2年生。空いた時間に仕事を手伝う。「この仕事は好きじゃない。いつか必ず立派なビジネスマンになってみせる」
万人の願いと悲しみをたたえて、大河は今日も流れていく。
《ガイド》
デリーから空路1時間ほどの最寄空港から車で約50分。沐浴(もくよく)、祈りの場所は「ガート」と呼ばれ、ガンジス川の西岸に84箇所が連なる。そのうち2箇所が火葬場、ガートの間はボートに乗って移動することもできる。記者が利用したボートは2人で乗って1時間200ルビー(約380円)だった。