2009年2月23日月曜日

村上春樹さん、ガザ攻撃批判

村上春樹氏がエルサレム賞を受賞した。この受賞した内容を下の方に朝日新聞の夕刊記事から転載させていただいた。

私には、何故エルサレムという都市が、「社会における個人の自由」に貢献した作家に贈る賞などを創設したのか不思議でならない。創設されたきっかけが、何だったのだろう。イスラエルに何か政策的意図や目論見があったのだろう。国家は勿論、個人も各人各様に濃淡はあれども、政治的なものからは逃げられない。イスラエルは今、戦争真っ盛りだ。「個人の自由」と「村上春樹作品」、これはいいとしても、殺戮は、究極の個人の自由の抹殺なのに、なんで、「個人の自由」とイスラエルの「エルサレム」なんだ。他人(ひと)は、こねくり回す私の方がおかしいとでも言うのだろう、か。

イスラム過激派のハマスのイスラエルへのロッケット弾攻撃に、正当防衛だといって、圧倒的に軍事力がまさるイスラエルが、ガザの街を破壊した。このパレスチナ自治区のガザ地区攻撃で、1300人の死者が出た。一般市民、子供や婦人が多かったと聞いている。こんな国の首都が創設した文学賞って、本当にアリか?そしてこの都市が、「社会における個人の自由」に貢献した作家に贈るって? この都市にこんな賞を創設したり、授賞する資格なんてあるの? あまりにも似つかわしくない。

授賞式における村上氏の「スピーチの内容が曖昧だった」と一部に報道されたようだ。

村上氏の作品では、読書中、私はいつも平易で親しみやすい文章に慣らされてきたな、と思いきや、突然、非現実な世界に誘い込まれ、私は不安のどん底に落とされ続けてきた。初期の作品では、内向的な作風で社会に無関心な青年を描いた物語が多かった。そして私もまた、読むたびに作中の人物と同じように精神的に不安な状態に陥るのです。このアイマイな不安さが、村上作品の真骨頂で、多くの村上ファンをとりこにしてきたのだと思う。最近では、オウムのサリン事件など社会問題を正面からとらえた作品も増えてきたようです、が私は少しご無沙汰している。

講演では、明解にイスラエルのガザ攻撃を批判したのに、16日付有力紙ハアレツは、講演を「詩的」と表現し、村上さんが「ガザで多くの無実の人が殺された」と述べた、と客観的に伝えた。講演では、自分のことを卵に例えて、自分は卵の側に立つ、と述べた。講演の一部(本当は全文読まなければならない)は下の新聞記事を読んでもらえれば、この卵の意味は理解して貰えるだろうが。本当に、村上さん、あなたは卵側ですか? 壁の上に立っているとは言わないけれど、私には、解らない。

ここで、エルサレムという都市の生い立ちのおさらいをしておきましょう。

今のエルサレムとは=1947年の国連総会でエルサレムを国際管理下に置く決議をしたが、翌年の1948年の第一次中東戦争でイスラエル領の西エルサレムとヨルダン支配下の東エルサレムに分割された。そして1967年の第三次中東戦争で東エルサレムを占領し併合した。そこでできた統一エルサレムを首都と規定した。これは、国際的には承認されていない。

村上氏は出席した理由について、「作家は自分の目で見たことしか信じない。私は非関与やだんまりを決め込むより、ここに来て、見て、語ることを選んだ」と述べた。

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20090216

朝日夕刊

エルサレム賞 授賞式

『個人は壊れやすい卵、私はその側に立つ』

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イスラエル最高の文学賞、エルサレム賞が15日、作家の村上春樹さん(60)に贈られた。エルサレムで開かれた授賞式の記念講演で、村上さんはイスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃に触れ、人間を壊れやすい卵に例えたうえで「私は卵の側に立つ」と述べ、軍事力に訴えるやり方を批判した。

ガザ攻撃では1300人以上が死亡し、大半が一般市民で、子供や女性も多かった。このため日本国内で市民団体などが「イスラエルの政策を擁護することになる」として賞の返上を求めた。

村上さんは、授賞式の出席について迷ったと述べ、エルサレムに来たのは「メッセージを伝えるためだ」と説明。体制を壁に、個人を卵に例えて、「高い壁に挟まれ、壁にぶつかって壊れる卵」を思い浮かべた時、「どんなに壁が正しく、どんなに卵が間違っていても、私は卵の側に立つ」と強調した。

また「壁は私たちを守ってくれると思われるが、私たちを殺し、また他人を冷淡に効率よく殺す理由にもなる」と述べた。イスラエルが進めるパレスチナとの分離壁の建設を意識した発言とみられる。

村上さんの「海辺のカフカ」「ノルウェイの森」など複数の作品はヘブライ語に翻訳され、イスラエルでもベストセラーになった。

エルサレム賞は03年に始まり、「社会における個人の自由」に貢献した文学者に隔年で贈られる。受賞者には、英国の哲学者バートランド・ラッセル、アルゼンチンの作家ホルヘ・ルイス・ボルヘス、チェコの作家ミラン・クンデラ各氏ら、著名な名前が並ぶ。欧米言語以外の作家の受賞は初めて。

ただ中東紛争のただ中にある国の文学賞だけに、政治的論争と無縁ではない。01年には記念講演でスーダン・ソンタク氏が、03年の受賞者アーサー・ミラー氏は授賞式に出席する代わりにビデオスピーチで、それぞれイスラエルのパレスチナ政策を批判した。

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