できるものなら、オリンピックを身近に見たい。お金と時間がない私には、東京じゃなくてもいいが、できたら日本で開催されると、嬉しい。今、東京が五輪開催地として立候補している。ここらで、ちょっと運営がひん曲がってしまったオリンピックをチェックすべき時期にきているのではないでしょうか。クーベルタン男爵が提唱した五輪憲章に、東京は、少しでも近い状態での開催を主張してみてはどうだろう。開催地に決定してからでも、仔細においてでも修正はきく。立候補を目指す全ての都市は、過去における全ての厭(いや)らしいことを忘却して、スポーツを謳歌することを主に、哲学的、文化的に、経済的に、もう一度考えを見直してみる必要があるのではないでしょうか。今、ある姿が異常なのは、誰もが気づいている。この異常さは、北京で爆発してしまった。金がかかり過ぎだ。誘致活動だけで、150億円?。異常(状)だ。
資金不足に明け暮れる、貧困な会社の社長の私には、当然のように思うのですが。特権階級の人間には、解んないんだろうな。
スポーツと平和の女神が微笑みそうな祭典を楽しみたい。金まみれ、薬漬けの大会では、もう嫌だ、そんなんじゃ心底楽しめない。
新聞の報道によると(朝日新聞 20090416 朝刊 スポーツ)、16年夏季五輪の立候補4都市の計画を調べる国際オリンピック委員会(IOC)評価委員会の東京視察が、16日から4日間の日程で始まった。評価委のメンバーは、84年ロサンゼルス五輪陸上女子400メートル障害の金メダリスト、ナワル・ムータワキル委員長(IOC理事)ら13人。同委員長は12年五輪開催地決定でも同じ重責を担った。ほかにはIOC委員6人に加え、パラリンピック、輸送、財政、環境の専門家もそろう。
今回は2月にIOCに提出した立候補ファイルの「書類審査」に加え、委員たちと面と向かっての「面接試験」があった。とくに開催理念などの総論がテーマ。64年に続く2度目の開催を目指す意義で説得力のあるアピールができたか。
17項目のチェックポイントとは、①ビジョン、②全体的なコンセプト、③政治、経済の状況、④法的側面、⑤通関や入国手続き、⑥環境と気象、⑦財政、⑧マーケティング、⑨競技会場、⑩パラリンピック、⑪選手村、⑫医療、ドーピングコントロール、⑬セキュリティー、⑭宿泊施設、⑮輸送、⑯情報通信、⑰メディア
そして、15日のプレゼンテーションでは、麻生首相や中曽根外相、石原都知事も参加して、是非東京で開催してくれとの大アピール。麻生首相は「すべきことは必ずする。建てるべきものは建てる。必要な資金は用意する」と約束した。石原都知事の腰車に乗せられたのか、我々の税金を、いとも簡単に用意しますとは、なんじゃいな。無駄な公費の乱費は許されませんよ。
オリンピックの開催都市に東京が立候補することに異を唱えている人々が多い現実を、石原都知事はどのように受け止めているのだろうか。都民の30%程が快く思っていない。石原都知事は、何が何でも、東京開催を実現させるのだ、と意気込んでいるように思えてならない。その魂胆が、私には、見え透(す)いている。このことについては、後で断言させてもらうことにするが、オリンピックのもたらす功罪を少しは考えてみてはどうだろうか。
IOCが如何に、閉鎖的で利己的な組織であるかは、下に紹介した本を読んで貰えば一目(読)瞭然なのだが、表向き、そんな組織にアピールしても無駄なような気もしないでもない。IOCの総会で開催地が決まるとき、常に腑に落ちない気分がつきまとう。開催地がIOC関係者を説伏させるには、アピールの内容だけではないらしい、とよく聞かされる。決定力になるのは、えに言われぬ物、口にするにも恥ずかしい物、それはお金や現物?の贈り物なのです。胸糞悪くなるので、それ以上は言わぬ。触れたくない。総会で一票を投じる国には、まだ国が民主的な体制になってない国も多いのです。それらの国には、贈りものの効果はてき面だ。長野からソウル、北京がそうだったように。これが実(常)態のようです。今回も東京は民間企業からの寄付を含めて150億円を集金したそうだ。この金が如何に、どのように遣われるのでしょうか?国民も都民も、協賛した企業も、その使途の報告書を求めるべきだ。
表側での交渉、裏側での変則的な折衝で、この150億円が費やされるのです。魑魅魍魎の世界でっせ。
IOCに対する資金の協力が、開催地に選ばれるためには不可欠なのは、かってスイス・ローザンヌに五輪博物館なるものの建設資金にJOCが窓口になって寄付を集めたことからも明白だ。ここまでは、なるほどと思うのですが、長野冬季五輪組織委員会が大会運営費のなかから百万ドルが支払われていたと聞くと納得できない。何で、大会運営費から払わなくっちゃならないんだ。そして、その後の開催を希望する都市の五輪組織委員会からも寄付がなされていたのです。心証を良くするために。金を出してくれた都市は優先的に開催地に近づける、ということだろう。
これ、オイラの税金だぜ。
ここで、以前の長野五輪のことを思い出してみよう。長野県からの交付金が使途不明のまま闇に葬られた。市民団体による住民監査請求で、会計帳簿が焼却されていたことが判明した。調査の結果、帳簿のコピーは見つかった。田中康夫知事の知事選の公約どおり「長野県調査委員会は、『帳簿処分は使途不明金、過剰接待を隠す為』に行われた」との報告を公表した。評価委員会のメンバーに、その他関係者、開催地を決める総会での参加者に、過剰な贈り物、接待をした結果だったというのだ。長野五輪のときには、コクドの堤義明が日本オリンピック委員会(JOC)会長だった。会長の会社の施設も競技場になっていた。この競技場の整備やアクセス等の工事で、税金がじゃぶじゃぶ使われた。その恩返しに、裏で金をばら撒いていたのではないかと、勘ぐるのは当然だろう。ばら撒き役を担ったのかもしれない。この会社は信用できないことを私はよく知っている。裏でこちょこちょこ工作するのが得意なのだ。
IOC会長のサマランチとJOC会長の堤 義明が仲がよかったというけれど、金にまみれたお付き合いだったことは、明白だ。それ以外、交流する理由がない。この堤義明は、西武グループを代表し、スポーツ界にも大いに君臨していたけれど、その功績は長野五輪を金まみれで誘致に成功したぐらいだ。また、経済人としてその恥の上塗りをしてくれた。有価証券取引法違反で逮捕された。有価証券報告書虚偽記載の罪。
その後、IOC副会長の韓国・金雲龍氏が韓国で横領、背任で実刑が確定した。そんな人物(副会長)だったのだ。総会で、彼の追放を提案事項に入っていることを知って、自ら辞した。それまでは次期会長かと思われるぐらいの実力者だった。ソウル五輪を招致し、シドニー五輪では、テコンドを正式競技に採用させた功労者だ。
オリンピックには薬物事件の華々しい歴史がある。スポーツの祭典と言われながら、ドーピングは絶えない。直近の一番身近な話だと、ハンマー投げの室伏選手に関連したことだ。アテネ五輪では、1位の選手がドーピング検査で陽性反応、2位だった室伏選手は金メダルに、北京五輪では、最終投擲の記録では5位だったが、上位2、3位の選手がドーピング検査で陽性反応、一躍銅メダリストになった。
そろそろ私が言いたいことを書き込みましょう。
あんなに五輪の東京招致を夢中になる石原都知事には、目論見があるのです。国政とは思えない、都政とも思えない。テレビの放映権の価額がべらぼうに高くなって、オリンピックは儲かる商売になった。間違いなく利益の出る、世界で最大の興業なのだ。おかげで、利益の配当が開催国にも、その他の国にも入るようになった。当然ながら、開催国が多くの利益を得ることになるのです。
この利益こそ、石原東京都知事主導で始めて大赤字を出した、石原銀行とも言われる「新銀行東京」の赤字の補填用なのです。3期で辞めると言っているので、ここらで赤字を埋めるだけの原資が必要なのですよね、石原都知事さま。
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参考になればと思って、一冊の本を紹介する。
この本は二人の英国人ジャーナリストによる、五輪の告発書です。クーベルタン男爵が唱えた五輪憲章とは、随分違った方向にドンドン進む現状と、何故このように金まみれ、薬漬け、非民主的組織に成り果ててしまったのかをレポートしたものです。サマランチ会長が、スペインのフランコ独裁体制のなかから今の地位を得るまで、巧みにのし上がってきた歴史、靴メーカーのアディダスと組んで比類なき大規模なスポーツ興業組織をつくりあげた過程が詳しく書かれている。また、IOCがいかにして、閉鎖的で利己的な組織になってしまったか、これもよくわかります。
希望者には、貸し出しますのでお申し出ください。
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書名・黒い輪(THE LORDS OF THE RINGS)
著者・ヴィヴ・シムソン/アンドリュー・ジェニングス
監訳・広瀬 隆
発行・光文社
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