2014年10月3日。
朝日新聞の朝刊でお馴染みの天声人語に、久しぶりに感動した。
中学時代の国語の先生に勧められて、誰よりも誰よりも天声人語をよく詠み、文章を憶えた。
そんな私の今は、夫婦と娘夫婦、それと孫の5人暮らしだ。
娘が我儘で大きくなっても、我儘は変わらなかった。
でも、、、、いい旦那がくっ付いてくれたおかげで、その娘もいいオバサンになってくれた。
娘以上に我儘な孫も、これまた、、、、いい孫になってくれた。
何年か前に、元教師の灰谷健次郎さんの、親と子、先生と生徒の人間的な文章をこのブログに使わせてもらった。
そんなことを思い出しながら今回の的だ。
天声人語
庭のことや親のことを子どもはよく見ている。
児童文学者の故・灰谷健次郎さんは、家庭内で人間的なふれあいが生じると、子どものアンテナはただちに反応すると言い、随筆で小学1年の詩をあげていた。
〈おとうさんのかえりが おそかったので おかあさんはおこって いえじゅうのかぎを ぜんぶしめてしまいました それやのに あさになったら おとうさんはねていました〉。これで全文。やなぎ ますみさんの作品という。
朝までに何か揉(も)めたかもしれないが、子どもは知らぬがよい。
片や、小紙歌壇の選者だった故・宮柊二(しゅうじ)さんは「大人の世界」を詠む。
〈昨夜(よべ)ふかく酒に乱れて帰りこしわれに喚(わめ)きし妻は何者〉。
子には見せず、夫婦かぎりのこととしたい場面だ。
日々の波風(なみかぜ)程度なら仕方がない。
ところが昨今、子の前で配偶者に暴力をふるう「面前DV」が急増しているという。
子ども自身は暴力を受けなくても、目の前で見ることで心に深い傷を負う。
れっきとした児童虐待にあたる 。
そもそも配偶者などへの暴力が犯罪で、その被害相談は全国で年間に5万件近い。表に出やすくなったためともされるが、件数は増えるばかりだ。
水面下にはもっとあるのだろう。
心の傷は自然治癒が難しい。
ましてや子どもの柔らかい心には、罵(ののし)り合う声だけでも刃物になってしまう。親の生活が自分にしっかりつながっていると自覚したとき、子どもはこの上なくやさしくなれる――そんなふうに、灰谷さんは言っている。