(パンフレットの表現をそのまま利用させていただいた。)
「われらは、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有する」
時代を超え、国境を越え
人間の願いをのせ
くりかえし、くりかえし上演されてきた
ことばといのちあふれる”名作”に
アンサンブルが挑む
「そこには、死がある、恋がある、縊死がある、温情、かっとう、嫉妬、猜忌(さいき)、奸策、あらゆる人生の要素がアリーーー(岩波文庫 解説より)」
20世紀初頭、ロシアでは、何千万人もの人々が餓死線上をさまよい、農民は都市へ流れ込み、あふれる失業者は、貧民窟へ落ち込んでいった。泥棒、売春婦、イカサマ師、「元」役者、「元」貴族、「元」職人、汚辱の日々から逃れられない男と女ーーーー。抜け出す術を持たない「夜の宿」の住人の前に、ある日、流浪人ルカが現れる。自身の尊厳を知らぬ住人たちにルカが持ち込んだのは、希望か、はたまた絶望かーーーー?
人間とは何か?人間らしいとはどういうことか?
踏みにじられ辱められた人々のあふれることばが通して見える、「人権」発見の黎明期、革命の予感。
いま、「人権は停止できる」と発言する首相を持つ国に生き、戦後最悪の暴挙がまかり通る土壌に生きる私たちは、問いかけられているーーーことばといのちについて。人間の尊厳について。
観劇日は20150910、公演は19:00~
「どん底」を公演する「東京演劇アンサンブル」とは、大学時代から親しくしてもらっている。15年ほど前に、この劇団の大部分を改造しなければならないことが発生して、私が社長をしていた会社も些少の寄付をさせてもらった。その際、劇団代表者の胸算用???か 、ヤマオカさんには、今後のお芝居の入館料をいただかないようにします、、、、。こうりゃ、私にとっても有難い算用だった。こんなに親しくさせてもらったのは、この劇団の社長さんと仲のいい脚本家が居て、その脚本家が私をすごく可愛がってくれたことから、始まっている。脚本家さんとのことは、20日あっても30日あっても済まされない。原稿用紙にしたら書き終えるまでに、半年はかかりそう。
話は少し変わりますが、この劇団の社長の奥さんと私の義母(妻の母)、北朝鮮に拉致された娘さんの母、元自民党幹事長の野中広務の妻が、京都にある旧制の女学校の同窓生だということも知った。
50年前、この類の小説をシッチャかメッチャカ、読み漁っていた。太宰治 織田作之助 坂口安吾 田中英光 壇一雄 ドストエフスキー トルストイ チェーホル 高見順の本に出てくる出場者は苦しくて、悲しくて、それでも簡単にはくたばらない、そんな主人公と私との共感に心が奪われた。
本日、この芝居を一緒に観にいこうと言ってくれたのは、私と劇団の社長、脚本家と付き合いの好い四羽の音? マサだ。今や、ソニーの下請けをメインに羽振りの良さを見せている。私の愛すべき友人の一人。昨年の私が受けた作業中の事故についても、よくぞそこまでと、感極まるほど心配してくれた。
作……M・ゴーリキイ
訳……神西清 演出……三由寛子 音楽……池辺晋一郎 装置……三木元太 照明……真壁知恵子
効果……大場神 衣裳協力……竹内陽子 宣伝美術……本多敬 舞台監督……三木元太 効果オペレーター…篠原祐哉
制作……小森明子・太田昭・辻尾隆子 制作チーム……TEE運営委員会 演出助手 ……奈須弘子・永濱渉
舞台監督助手……入江龍太・雨宮大夢・大橋隆一郎
ブレヒトの芝居小屋(西武新宿線 武蔵関)
東京演劇アンサンブル 東京都練馬区関町4-35-17 03-3920-4433
以下はインターネットで得た文章です。
執筆当時のロシア社会の貧困層が描かれ、木賃宿を舞台に住人達の物語が展開される。本作には筋がなく、主人公もいない。アントン・チェーホフからの影響が指摘される。
ゴーリキーの戯曲は知識階級を描いた作品が多いが、本作はゴーリキーの物書きとしての初期作品に見られるルンペンプロレタリアーが描かれている。しかし、ゴーリキーの特色たるロマンティシズムの面影はほとんどなく、実写主義が全体を貫いている。本作はゴーリキーのルンペン時代を葬る挽歌、訣別の辞として知られている。
あらすじ
コストゥイリョフの妻ワシリーサは、夫から自由になることを画策する。ワシリーサは情夫ペーペルが、彼女の実妹ナターシャに惚れていることに目をつける。ナターシャは姉夫婦の家に居候していて、虐待を受けていた。夫を殺害すれば、妹と結婚させ300ルーブリを提供しようと申し出る。ナターシャは結婚することで虐待から逃れられることができ、ペーペル自身もコストゥイリョフに2度も牢屋に送られた仕返しをでき、ワシリーサは夫と別れることができ、皆が幸福になるという。ペーペルはワシリーサの誘惑にのり、コストゥイリョフを殺害する。ところが、ワシリーサはペーペルが殺したと訴える。騙されたと知ったペーペルはワシリーサを道連れにしようとし、ワシリーサから計画を持ち込まれたことをしゃべる。そうしてナターシャは姉と自分の夫となる人が、共謀して義兄を殺害したことを悟り、ワシリーサ、ペーペル、そして自分を牢屋に入れてくれと訴える。
ペーペルとワシリーサは捕まり裁判にかけられ、ナターシャは病院から失踪してしまう。彼女たちの叔父のメドヴェージェフは警察を首になっていた。犯罪を犯さないものも、貧困という牢獄から抜け出すことを夢見ながらも、抜け出せない。誰一人幸福になることがなく、どん底にいる市民たちは、歌と酒だけを娯楽に日々の生活を送っていく。