2008年2月23日土曜日

今の不動産事情をまとめてみた

昨年 8月。今まで聞いたことのない「サブプライム」問題が、突然天から降ってきた。なんじゃ、サブプライムちゅうのは? アメリカの、信用力の低い低所得者向きの住宅ローンのことだ、と聞かされた。信用力が低い?とか低所得者向け?って、それ差別用語じゃないのか。それが、どうした? その内容が分からないままに、あれよあれよという間に我が日本の地価が下落し始めた。神奈川県でも、9,10,11,12月と地価は5%~15%下がった。8月以前に企画した商品が、商品化されたときには、もうそのときには住宅購入層には受け入れられない価額になってしまった。我社は日常業務において、そんなことはとっくに認識していたが、不動産仲介会社のスタッフはもちろん、その会社の管理職でさえ理解していなかった。我社は新しい市場で新しい商品を作り出そうと懸命に努力したけれども、地価が下がり続けている環境下では、なかなかいい成果は出せなかった。でも、この頃は我社が活躍の場にしている地域でのことですが、地価は落ち着いたように思う。

今回の地価の変動で、社員の教育にはいい材料になったのではないかと思っている。我社の管理職以外の社員は、社歴も浅く、こんなに変動するのを初めて経験したのです。2006 12 23発売の週刊ダイヤモンドでは「地価狂乱」を特集、まだまだ地価は上がります、東京はまだまだ買える、そんな記事が満載。そして、2007 12 15発売の週刊現代では「不動産バブル崩壊で平成大恐慌」を特集した。同時期に週刊ダイヤモンドでは「ゼネコン断末魔」を特集した。たかだか、1年間にこの激変ぶりだ。

この短期間にこれ程の激変なので、建売やマンションのように企画から商品化までに時間がかかる事業 はどの会社も苦戦を強いられた。事実、マンション専業のグレイス住販、アジャックスが最近倒産した。

この4~5年、地価は二極化して、東京の全域、横浜の主要な駅に歩ける地域、とくに山手地区、湘南地区、鎌倉、葉山が上がった。その他の地域では顕著な動きはなかった。例えば、湘南地域の藤沢市鵠沼松ヶ丘は去年の春には坪単価140万円ほどしていたのが、今では110万円まで下がった。この価額なら流通する。東戸塚駅から歩いて10分以内なら、やはり坪単価140万円はしていた。が、最近では115万円位だろう。このように地価は、下げ止まりをした、と私は考えている。

アメリカがくしゃみをすれば日本は風邪をひく。

2006年まで続いたアメリカの住宅ブームは低金利に支えられていた。家計が抱える住宅ローン残高は積みあがっていたが、毎月の利払い負担はそれほど増加しなかったために住宅ブームは長期化した。しかし、2004年から2006年にかけて行われた利上げ政策の影響を受けて2007年以降一転して住宅価額の下落基調になり、住宅価額の上昇を前提にしていた借り手のローン返済が滞りだした。デトロイトでは住宅の差し押さえ率が4,9%だそうです。全米の平均は4%。デトロイトでは、ほぼ20軒に1軒は差し押さえられていることになる。超異常です。そしてこの住宅不況はアメリカ経済の全体に必ず大きな影響を及ぼすことになって、我が日本にもこれから何年も影響を与えることになるのだろう。

先日、三井関係の不動産会社の代表取締役会長の講演を聞いた。その講演者に不良債権化している住宅の債権を、アメリカなら力があるのでみんな買っちゃえばいいじゃないですか、日本がかってバブルがはじけたときに破綻した銀行を国営化したようにすればいいじゃないですか、と尋ねた。講演者は、君はいいことを聞くね、が事態はそんな簡単じゃないんだよ、と前置きしてその深刻さを説明してくれた。優良な債権は配当が低いので金融商品としては魅力がもの足りない。その配当を少しでも良くするために、サブプライムの貸付債権を証券化したものをサンドウィッチにして売り出したことにあるのですよ、と。

悪貨は良貨を駆逐するってやつですか? まあ、そういうことかな。

信用度の低い家計向き不動産担保貸付が、厳正な審査もしないでドンドン貸せば、結果どうなるかぐらい想像できた筈なのだ。そしてその貸付債権を証券化して、世界を駆け巡った。東京の某信用組合が50億とか、60億とか買っていたというではないか。でも、欧米の金融機関に比べて、日本の金融機関の不良債権はたかが知れている。それにもかかわらず、なぜ日本の金融機関が不動産融資に慎重なのか。理由は、バブル再来を恐れた金融庁が、日本の金融機関に不動産融資の自主規制を暗に要請したからである。

過去には、1990年初頭、不動産バブルを冷やすため、大蔵省は不動産業界への融資を絞る「総量規制」を実施した。これで一気にバブル崩壊の坂を転げ落ちた。

そして今、各金融機関が融資の出し渋りが始まった。どの金融機関も、不動産の評価を厳しくしたり、社有在庫の量をみながらの融資だ。

神奈川県内においては、もう既に地価の下落機運は沈静化しているように思っている。この2~3年の最高値から10%から15%を引いた金額なら、物件は売れているのです。我社は今、懸命に新しい市場での新しい商品作りを行っていることは先に書いた。売れているのです。先月も、今月も売れている。新価額でなら。そこで、我社のスタッフには今所有する物件を、できるだけ早く損をしてでも処分することだと言い続けている。そして新しい商品を早く作ることだと発奮を促している。

昨年6月の建築基準法の改正で、建築確認がなかなか取得できなくて、工務店、不動産屋は、大変だった。このことについては、後日書き足します。