2017年6月18日日曜日

20170618 天声人語

私の好きな天声人語は、毎朝、色とりどりの花盛りだが、今朝のような内容のものは古新聞として捨てられない。 だから、やっぱりマイ・ブログに納めておきたくなる。 これ、私の生まれながらの病気かしら。


2017年6月18日の朝日新聞・朝刊より ジョン・マッケンローといえば、1970年代から90年代にかけてテニス界を代表した米国の選手である。 速さと力に加えて、多彩なショットを武器に4大大会で17個のタイトルをさらった。 ダブルスにも好んで出場した。 4大大会の初優勝は18歳の時、幼なじみの女子選手と組んだ全仏オープンの混合ダブルスで達成したものだ。

近年のトップ選手の多くは体力の消耗を避け、シングルスに専念する。 判定への抗議や奔放な言動で「悪童」とも呼ばれたが、激しく攻撃的なスタイルはダブルスでは一変した。 互いの個性を頭に刻み、呼吸を測りながら試合の駆け引き楽しむ。

 人としての幅の広さが見えてくる気がした マッケンローの連想が浮んだのは、卓球の世界選手権混合ダブルスで石川佳純(かすみ)、吉村真晴(まはる)組が優勝したからである。 日本勢の頂点は実に48年ぶりだった。 
同じ93年生まれだが、学年は石川が一つ上。 ペアを組んで6年だという。 身長157センチと177センチ。体格が異なる2人は卓球台の前では流れるように体を入れ替えた。

 シングルでのとがった雰囲気は影を潜め、美しいリズムがあった。 体格差を考えれば、男女が一緒にプレーするスポーツはごく限られてしまう。 東京五輪では卓球の混合ダブルスに加え、いくつか男女混合種目の追加が決まった。 男女の協業による化学反応の妙を競い合うのは、興味深い。 種目増は運営側には歓迎ばかりではないだろうが、スポーツを楽しむ目を肥やしてくれるに違いない。