2017年7月1日土曜日

そんなに、やばかったの?

今から3年半前、私は4,5メートルの樹木の上から落ちて、後頭部を強く撃った。
弊社で購入した中古の戸建、 庭の樹木が余りにも高く伸びていたので、それを切るためだった。

私は社長でなくても、それでも矢張り会社の今後のことが心配の種だった。有効的な仕事がなにもできずに、只、悩んでいてもしょうがないと思って、樹木の枝を切るような仕事を仕出した。

この事故を起こした日のことは、すっかり忘れてしまった。
事故後3日ぐらいは、生きていくのが精一杯のようだった。何をどうして、どのように過ごしたかなど、何も憶えていない。
高次脳機能障害って奴だ。
意識の働かない、ただ生きているだけの体、意識不明状態だった。

先日の夕食でのこと。
お父さん、憶えている?あの家を買おうと決めた時、私たち夫婦の月収が足りなくて、あれやこれや銀行を探してみたけれど、なかなか良い返答をくれる銀行が見つからなかった。
そこで、お父さんが探してくれた銀行のみが、色よい返事をくれたのですよね。
そして、然るべき資料を出して何とか理想の金額まで許可が下りて、最後の金消契約をしに私たち夫婦とお父さんで出かけたんですよ。

その時のお父さんの体の調子が余りにも悪いことに、初めて気付いたのです。
自宅から電車に乗るまでの体のバランスの悪さ、乗ってからの気難しい顔色、駅を降りてからの徒歩での銀行への足取り、三女は、こんな親父を見たのは初めてだ、と今さらながら、苦笑した。

銀行のあるビルの中での足取りは、乱歩乱調、最悪だった。
銀行の人から難しい話をされたが、お父さんは、俯いたままで、何も言わなかった。
一通り、やるべき作業が終わって、昼飯でも一緒にしようと考えていたのですが、お父さんは、俺、会社に早く出たいからと言って、すたすたと居なくなった。
それが前日。

そして翌日。
お父さんの樹木からの転落事故を聞いた。
昨日から、お父さんは何か可笑しいかったの! 私は、いつもの活発で元気な父でなかったことを、直感していたの。
事故のことを聞いたとき、やっぱり、やっぱりナァと素直に納得した。
私には、事故のことよりも父の変わりよう~が気になってしょうがなかった。

そんなことを愉しい食事の中で交わした。
大人しく聞いていた私だが、他人事のように思われた。まさか、俺サマのことではないだろう? 自分で自分の頭を振って、自らを疑ってしまった。
私は、おかしな人間に変質していたようだ。
そして、私の不注意が重なり合っての落下事故だった。

その夜、上手く寝付かれず、悶々としながら明日からのことを考えた。