2007年10月11日木曜日

「なでしこ」ジャパンA に涙。その③

FIFA女子ワールドカップ中国2007、9月17日にグループステージ第3戦でドイツと戦って負けた。このときのなでしこジャパンのチームがとった行動が、翌日の新聞のスポーツ欄に出ていた。切り抜いて、後日、ブログで私が感動したことを書こうと思っていたら、流石、朝日新聞がそのことを、社説で取り上げてくれた。私の拙い文章よりも、洗練された文章を堪能して欲しい。

これが、私の最近の涙物語、その③です。

2007 9 30  朝日新聞 朝刊(社説)

日中35年 「なでしこ」の精神で

中国・杭州で行われた女子サッカーのワールドカップで、日本代表チーム「なでしこジャパン」は観客のブーイングを浴び続けた。相手のドイツには声援と拍手が沸き起こる。04年のサッカーアジア杯を思い出させる光景のなかで、なでしこは善戦むなしく敗れた。

だがここから意外なことが起こる。なでしこは試合後、「ARIGATO 謝謝 CHINA」と書いた横断幕を広げて、並んでお辞儀をした。淡々とホスト国に感謝を伝えたのだ。すると、このことが中国国内で反省の声を呼び起こした。「彼女たちは感情を乗り越える勇気をもったが、我々は以前のままだ」と、中国紙は論評を載せた。

フェアプレー精神をしっかりと受け止めたところに、中国側の変化もうかがえる。日中がどう向き合うべきか。なでしこジャパンの一件は大きなヒントを与えてくれたと思う。

日中両国が戦争からの不正常な状態を終わらせ、国交を回復させてから35周年を迎えた。祝賀の日に合わせ、それぞれ市街地に近い東京・羽田空港と上海・虹橋空港を結ぶ第一便が飛んだ。日中の距離がまた縮まった。

35年間に両国の経済は強く結びつき、貿易額は日米間を超えた。だが、国民感情は悪化の一途をたどってきた。日本政府の世論調査では、80年には79%が中国に親しみを感じていたが、昨年は34%だった、89年の天安門事件や05年の反日デモなどの影響が大きいようだ。

わだかまりを和らげ、相互理解を深めることが実に難しいことを改めて思い知る。国民感情が悪いままだと、信頼は生まれず、猜疑心ばかりが先行する。それは2国間だけではなく、アジアや世界にとってもマイナスであり、改善の努力を重ねなければならない。

まず、政治にしっかりしてもらわなければならない。日中の政治体制は違うし、経済の利害もぶつかる。東シナ海のガス田問題も一例だろう。国益がぶつかったときに、話し合いによって冷静に解決することこそ政治の役割だ。その土台は揺るがしてはならない。

靖国神社の参拝にこだわった小泉元首相の時代に日中関係は大きく傷ついた。だが、安倍前首相の訪中をきっかけに、関係は上向いた。アジア重視を唱える福田首相の登場で、さらあなる関係発展への期待が双方から出ている。

目の前のミャンマー(ビルマ)問題は日中協力の試金石でもある。

ミャンマー軍事政権と最も近い関係にある中国が平和的解決に全力を挙げるのは当然だ。日本も軍事政権に対し、弾圧の停止と民主化を強く説得しなければならない。アジアの大国の日中が同時に厳しい姿勢を示すことに意味がある。

日中の連携で、地域に平和と発展をもたらす実績を積み上げていくことが、両国の信頼関係を育てることにもなる。そんな時代のページを開きたい。