2008年1月2日水曜日

去年から今年にかけて

昨年、米国の住宅価格の下落に端を発したサブプライムローンの証券化問題で、世界中の金融機関が多大の損出を被り、頭真っ白顔真っ青状態になった。当然、日本の金融機関も損出を被った。当然、不動産業界への融資は慎重になっている。不動産ファンドは失速した。失速したということは、不動産価格が暴落したからだ。これが表面化したのが昨年の8月だっ。急に住宅やその他の不動産の購買意欲が薄れた。かっての日本の住専の破綻を思い出した。アーバンビルドが進めようとしていたホテルの証券化にも影響を受けた。しばらく時期をずらすことにした。

6月には、改正建築基準法が施行された。これによって建築確認申請と審査が厳しくなり建築着工件数が激減した。建築設計士、構造計算屋は忙しくても、仕事にならん(金にならん)。工務店は建築確認が今か今かと職人を待機させていても正式に発注はこない。沖縄・那覇で予定しているバジェットホテルの建築確認は、この1月で申請してから6ヶ月経つ。やっと目途がたったらしい。昨年の年間の住宅着工数は、1967年以来40年ぶりに110万戸を割り込んだそうだ。住宅業界が落ち込めば、家電、自動車、運送業などさまざまな業種に負の影響が波及して、景気減速の長期化は避けられそうもない。建設業は日本の全就労者の10%をかかえる最大業種だけに、その影響は極めて大きい。

原油価格が暴騰した。アメリカ経済には悪影響を与えるだろう。アメリカはサブプライムと原油高の二重苦に陥ることになった。石油製品の売値も上がり続けている。物価の値上がりを考慮して給料の賃上げが、やっと見直されようとしている矢先に不況の波が不気味に押し寄せてきている。給料アップは、またしばらくはお預け状態だ。

現場での実感としては、夏頃から、地価が高くなり過ぎた湘南地区、とりわけ海側の一帯からは地価の下落現象が見えた。高い土地は売れない。だが、10%~15%下げると売れた。横浜山手地区においても、3区画の土地分譲の企画において、夏に2区画はさっさと売れたが、秋まで売れなかった物件は、今でも売れていない。マンションの契約件数が急速に減少している。不動産経済研究所によると、首都圏のマンション契約率は8月以降、3ヶ月連続で70%を下回っている。東京以外は惨憺たるものだ。

週間現代12月15日号では、表紙で、2008年「不動産バブル崩壊」で、平成大恐慌が日本を襲う、とか何とか、派手なタイトルで読者を煽る。同時期に発売された週間ダイヤモンドでは、表紙に、ゼネコン断末魔!!のタイトルだ。これじゃ誰もが不動産を買い控えするのだろう。今、住まいがどうしても必要な人以外は様子見状態だ。

我々の業界の景況感が一段と厳しくなってきて、今後も1年間ぐらいは続くと思われる。我々の業者間でも、苦しい期間が少しでも短ければいいという願望が先走っていて、春にはなんとか、夏までにはなんとか、と気まぐれで言っている者がいるけれど、1年間は続くと思っていた方が正しいだろう。2年かかるかも知れないのだ。

そこでじゃ、我々はどんな行動をとればいいのか?

先ず我々の業界で今一番大変な状況にある会社の内容を分析すると、今後のアーバンビルドの方向性が見えてくるものです。アーバンビルドにプロジェクト融資をしていただいている金融機関の担当者からは、貴社はこの状況に直面してどのようにお考えなのですか、と聞かれることが多いのです。その度に、私は以下の★印の内容のことをお話しています。

恐れることなかれ、我々は30年も不動産を生業にやってきたのだ。大きい波もあれば小さい波をある。あの恐ろしかった01~02年、バタバタ倒産が相次いだあの時代を生き抜いてきたではないか。そこで頭を冷やして考えよう。マンションの売れ行きが悪くて、新規着工を見合わせている会社が多い。そうこうしているうちに、各企業は努力して売れ残りの在庫を処理するでしょう。苦しんでいる建売業者も在庫を処分するのです。そして新たな時代に突入するのです。その新たな市場原理のなかで、新たな競争が始まるのです。これは、決まっているのです。その新たな市場原理のなかで、アーバンビルドはどんな商品で勝負するのか?ここが、キーポイントなのです。

★マンション専業の分譲会社のような会社は、資金回収において対応しずらいところがある。床卸し無理、青田売り無理。ある程度建築が進まないと売りに出せない。期間がかかる。商品になっていない現場(売りたくても、売れない物件)が何棟もあれば、こりゃ大変だ。弱小マンション分譲会社が一番キツイ。マンション専業以外にも、建売専業の会社も同じだと思います。分譲を行う会社は、いつも危険と背中合わせですぞ

☆ならば(我社は)、早く商品にできる物件を優先的商品化。需要性の高い商品を揃え、特殊な物件は避ける。

★経営者の判断で、損金が発生する商品を売るのをためらう会社はきつくなる。損もあれば益もあるのが、商いの普通の状態だ。

☆ならば(我社は)、長期滞留している在庫にはコストがドンドンかかるので、早い目に処分する。新たな商品(新しい時代に合った、新しい価格)を迅速に作って勝負に挑む。

★この5~6年の間の不動産バブルにのって、一挙に会社を拡大した会社は危ない。黒字倒産の危険性が高い。脇が甘いと言われる会社が多い。拡大したことの努力なんて軽く、先を計って規模を調えるには知恵が必要で、その知恵が会社の能力である。

☆ならば(我社は)、必要なところに、必要な人材を投入する。配置転換も有効だろう。スタッフの能力アップを図る。社員教育が必要だ。経営者は、先の先(目先ではない)を見越した展望をもつ。