1月7日、早朝。
今日は早朝会議があるので、いつもより30分早く出かけて、5時半に戻った。 いつものように犬の散歩から帰ってきて、池の金魚に餌をやり、玄関の新聞受けより新聞を取って、風呂の追い炊きのスウィッチをONにして、食卓についた。いつもなら、テーブルには、納豆と刻んだネギの入ったパック、漬物、塩昆布、梅干をセットにしておかれているのですが、今日はそれらがない。女房が何やらせわしなく作ってくれていたのが、七草粥だった。毎年、何も考えずにいただいていたけれど、七草の一つひとつには意味があるのかね、と尋ねたら、彼女は七草が入っていたプラスチィックのケースを見せて、そこに何か書いてあるから、読んでみたら、ときたもんだ。餅が入っていたので、餅も七草粥には入っているものなの、と聞いたら、これは我が家のオリジナルです、物足りないと思ったので入れました、とのこと。正月明けだから餅が余っていたのよ。お粥を食べて、無病息災を願うのよ、なんて言われてもピンとこない不信心な徒だけれども、正月の暴飲暴食で疲れた胃袋を休めるためだよ、と言われるとすごく納得してしまう。
七草がセットになって入っていたケースに書かれていた説明書きより。 『せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ、これらが春の七草といわれ春を呼ぶ野草として、古来から親しまれている。春の七草を正月の七日の粥に入れて1年の健康と無病息災を願う風習が鎌倉時代より始まった。この七草は、各々緑黄色野菜の一種、野菜不足になるがちな冬場の、貴重な栄養源となる。又は消化を助け、心身も温まる最も調和のとれた健康食です』
子供の頃。私の実家(京都と滋賀の県境)は田舎の百姓なので、七草粥などの風習は大事に守っていた。が、我が家の七草は、ちっと違った野草?否、野菜を使っていた。8種類も9種類も入っていたように思う。私の母、ハナちゃんは細かいことには無頓着な人でした。大根の根と葉っぱ、ホウレンソウ、ゴボウ、ネギ、セリ、カブの根と葉っぱ、春菊、水菜、シイタケ、豆など、手元にある野菜を何でもかんでも入れるのです。冬のおやつ用の、ウルチ米で作った餅も、細かく切って入れていました。学校で、七草の7種類の野草の名前を知っている人は手を挙げてと先生に言われて、負けず嫌いの私も手を挙げた。幸にも先生は私を指名しなかった。先生から指名された生徒は、私の全く知らない野草の名前を幾つかあげて、その後先生が残りの野草の名を黒板に書いた。私は、何がなんだかさっぱり分からなかった。ええ、そんなのあったの!! 一体、今朝、自宅で食った七草粥はなんだったんだ?私が、先生に指名されていたら、どうなってたんだろう。私の母、ハナちゃんは大したもんだ、と今は思う。
粥には子供の頃から馴染みがあった。芋粥、世間の芋粥はどんなものか分からないが、我が家の芋粥は、粥のなかにサツマイモが入っているものでした。米は貴重品だったので、芋を入れて量をふかしたのでしょう。当時、ご飯の保温器がなかったので、冷たいご飯に温かいお粥をかけて食べました。水の代わりに番茶で作った粥も食ったことがあります。母、ハナちゃんのことだから、これは我が家だけの独創品かもしれないので、友達などには話したことはありません。