2008年6月28日土曜日

現在不動産業者事情/健全な投資を広めたい

我々の業界・不動産業が、今、景況は土砂降り状態なのです。安くしても買ってもらえない。同業者は各社、借入金の削減、在庫を減らすこと、赤字プロジェクトからの早期脱却が思うようにいかなくて、死にモノ狂いで頑張っているのです。
金融機関の担当者の方からは、「頑張ってください」、「8月から9月が山ですから」、「是非、勝ち組に残ってください」と言われ続け、又「プロジェクトの融資案件として、本社の審査部に資料を受取ってもらっているのは、御社の物件だけですよ」、とも言われている。
何故、こうなっちゃんだ?
前回、一回目の不動産バブル期も、我社はなんとか乗り越えて来た。相場は狂ったけれども、住宅を求める実需は必ずあって、それに細々ながら頑健に応(こた)えてきた。
住宅の需要度の高い地域で仕事をさせて貰っている利点は大きい。神奈川県は日本のなかでも、「住宅」に関しては、極めて仕事のしやすいエリアなのです。
今、確かに、買い換え層には出動しづらい時期にあるのですが、一次取得者にとってはいい物が安く買える時でもあるわけです。我社はこれを商機だと考えて活動することだ、と。
金融機関は、経済の動きに異常に反応し過ぎじゃないんですか? と金融機関の担当者に聞いても、「御社の状態が悪くて言っているのではないのですよ」、「不動産業界が、不況業種になっていて、融資する側からは臆病にならざるを得ないのです」、「世間では、不動産業界や建設業界のいい話は、ほとんど聞かないでしょ」、「御社の問題だけではないのですよ」、と何度説明を受ても納得できない。そんな話は聞きたくないわい、とスネてみてもしょうがないのですが、どうしても、担当者に向ける目つきには自然に(険)?が出てしまう。私は狂ってはいないので、(剣)は出しませんが。
とは言え、金融機関からの資金が命綱の我社では、財務担当者が融資金融機関の担当者にキメの細かい報告を緻密に行っている。
こんな時だからこそ、サボッてはいけないと肝に銘じています。報告する内容は、財務状態、商品の売れ行きと在庫状態、借入金の金融機関名とその増減、今までの営業の総括と今後の営業方針です。
きちんと正確に報告をすると、金融機関は金融機関ならではの都合というか現在おかれている状態をそれなりに、情報を提供して頂ける。
今年に入って不動産会社がバタバタ倒産した。6月24日にも東証2部上場のスルガコーポレーションが民事再生法を申請した。負債額は約620億だったように記憶する。
我社は創業時から、目先のことに眩(くら)むことなく、堅実に仕事をこなしてきた自負がある。顧客第一主義を貫いてきた。同業者からは、多少馬鹿げたことのように思われることでも、魯鈍に実行してきた。
そんな今日此の頃の不動産の成り行きを、世間はどう見ているのか?
そんな折、朝日新聞の社説に、今般の土地事情についての記事が出たので、読み留めるのも一考かなと思って、転載させていただいた。
不動産業界に、どっぷり(ずっぽり)はまり込んだ私達も、たまには頭を冷やして新聞記事を読んでみましょう。
聞屋(ぶんや=新聞屋さん)さんでも、彼等が掌握しているデーターは、スピードにおいて私達よりも遅い気がする。景況感の微妙な変化においても、私達の方が早く皮膚で感じ、身に沁みて理解している。それに感受性においても我々の方が鋭いと感じたのですが、~
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080624  朝日新聞 朝刊 社説
土地利用 健全な投資を広めたい
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大都市圏の一部で「地価バブルの再来」を心配する声が、昨年はあった。だが、地価の上昇は一つの峠を越え、杞憂に終わったようだ。
今年1~3月、3大都市圏の主要地点調査で上昇地点が減った。東京圏、名古屋圏では、昨年ゼロだった下落地点が、今回わずかに現れた。
地価の相場観も大きく変化した。主要企業が1年後の土地取引をどう予測しているのか
、ことし3月時点で調査したところ、東京の23区と大阪府で「不活発になる」とみる企業が「活発になる」を3~4年ぶりに上回った。
先に発表された08年版の土地白書の内容だ。昨年までは「活発」が圧倒的だったのだから、様変わりである。
これには米国のサブプライムローン問題が影響している。米住宅バブルの崩壊で痛手を負った投資ファンドが、不動産投資を縮小させているからだ。その余波で欧州の一部でも不動産バブルの崩壊が心配されている。
ただし、米欧にくらべ、日本がバブル崩壊という「いつか来た道」まで至らずに済みそうなのは幸運だった。白書はその要因を、企業と個人が「土地神話」を捨てて投資行動を変化させたため、と分析している。
いまは多くの企業が投機ではなく、実需や利用価値に基づいて土地を売買する。電器メーカーの東芝が東京・銀座の一等地にある旧本社ビルを売って、他社から半導体工場を買う「入れ替え」をしたのもその例だ。
住宅やマンションでも、住まいとしての利便性や環境が評価されなければ、なかなか買い手がつかなくなった。こうした健全な投資行動を今後も損なわないようにしたい。
もう一つ大事なことがある。地価が全般として下落しないような状態に日本経済を保つことだ。
買い手にとって地価は安い方がいい。バブル崩壊は住宅を手の届く価格にまで下げるプラス効果があった。
ただ、90年代から十数年も下落が続いたことは、企業経営と家計をむしばんだ。地価は経済状態を反映する。健全な成長と、それに見合う賃金と地価の伸び。そういうバランスのとれた経済を実現することが大切だ。
その点、日本が人口減少時代に突入したことは心配だ。国内の需要に頼っていたのでは、経済がしぼんでしまう。海外から人も資金もたくさん呼び込み、元気な市場にしないと健全な成長は期待できない。土地の利用や開発でも海外の力を活用したい。
長期低迷が続いたとはいえ、日本の不動産の総額は米国に次いで今も世界第2位だ。海外から日本への不動産投資が昨年は約3兆円となり、アジアで抜きん出たトップだった。
バブルではなく、経済の実力で日本列島の価値を向上させていきたい。