悪霊の午後
悪霊の午後=遠藤周作
この本のことを、遠藤周作氏の「魔性の女シリーズ」の一つだ、と友人から聞いていた。
それとも、簡単に言えば。
魔性の作家による魔性的小説と思いこめば、いいのか。
この本を読む前から、遠藤周作氏の本が好き?でもなく、気がかりに?でもなく、頭の中に残って忘れられない-----シコリものだ。
読者に、シコリものを残す性根の強い作家だ。
「悪霊の午後」。
この作家が書いたものだから、まずは読み出した。
ちょっとでも、全部でも、、、、、読まないと話は始まらない。
小説とは、そういうものだ。
ヤマオカは、古本でも新刊でも、私の心はどうにも治まらない。
読まないわけには、いかない。
悪名とは何だ? 午後とは何だ?
題名からの妄想も、次から次に浮かぶ。
※この小説の読後感想を、ネットで得た内容を元に書いた。
書き始めると、どうしても山岡が自ら書いたようにように思われるかもしれない。
が、再度、繰り返しますが、ネットで得た文章に私が乗っかったようになってしまった。
そのことを、冒頭で述べるべきだった。
美しい女性があらわれてきた。
この女性が、マ・セ・イ的な小説の張本人か?
本の題名の「悪霊」とは、この女性のことだ、と直感した。
ここで、心がワクワクし出した。
この女性は、作家の藤綱の秘書として仕事を始めるのだが、この美女には、どうも恐るべきトゲがある。
彼女に取り掛かる人々は異常な心理や何かにのりうつられたりするのだ。
この美女こそ、有刺鉄線だ?
最初の奇っ怪なことは、この美女の夫の交通事故死だ。
自分に厳しく、規律を重んじる有名作家の藤綱を中心として話は進む。
大学で講師をしていた時の教え子が、自動車単独事故で死亡した。
死亡したのは、南条。
これが、この本の最初の奇っ怪な出来事の始まりだ。
不可解な事故だ。
この事故の原因に、妻も何らかのことにかかわっていたのではないか、と思う人も現れる。
そこに、教え子の妻であった美しい女、これがどうも魔性的、、、、、が浮上してくる。
この妻は、美人で、夫の見知らぬ交通事故にもかかわらず、恰も何もなかったように生活していた。
話はこれからだ。
南条の大学時代からの友人として、菊池は怪しい行動をなす。
菊池はサラリーマンとしては、ちょっと恐ろしい行動をおこすタイプである。
その菊池が、身のうえの事情にかかわらず、南条の妻に密かな恋心を持ちはじめる。
藤綱は、そんな菊池の強引な勧めで、彼女を秘書に迎えた。
ところが、藤綱は、仕事以外の部分で、秘書のプライベートな動作に不審な一面を見てしまう。
南条が交通事故で亡くなって、まだ多くの日が過ぎ去ったわけでもないのに、自宅ではないマンションに男と連れ立って入っていた。
このマンションで行われていることが、どうにも不思議感が抜けない。
藤綱も、この美女に関係する人たちと同じように、何かを感じた。
理解できない不思議さだ。
それ以来、元秘書の美女の周辺で可笑しな出来事が絶えない。
実に、魔性なのだ。
次のようなことが、何故?起こり得るの?-----どうしてなの?
・過去のことを、実にあったかのようにあばく。
・美女に関係した者たちは、美女の夫の死を疑わしいと思いだした。
・画廊に今まで働いていた人が、美女と接した後、万引きに手を染めて堕ちていく。
・美女が就職した画廊では、今まで画廊で働いていた人が、何故か首になった。
・有名な画伯が、マンション内で、赤子の真似ごとをしていたらしい。
・この画伯の、気が狂ったような行為が、過ぎる。
美人を追っていた菊池は、前記の異常な現象に引き込まれ、この術中にはめられていく。
ここで、もう一つの大事件が起こる。
菊池は自らも抑えきれず、美女から自殺願望について告げられ、もはやその呪縛から逃れられない窮地に追い込まれる。
何故だ?
それだけではない。
南条は、精神的に悩みぬいたあげく、結果、美女の友人を扼殺することになってなってしまう。
肝心要の藤綱も、この美女から悪魔の象徴に追いかけられ、精神病に駆り立てられていく。
精神科の治療を受けつつも、病院の屋上から自殺するまで、弱っていた。
でも、何とか自殺を止められたのは、彼の女房の献身だった。
人の心の奥底に抑圧されている願望の栓が開かれるとき、人は滅亡に向かっていく。