2016年6月3日金曜日

陀羅尼助(だらにすけ)って、日本最古の胃腸薬

「陀羅尼助って、日本最古の胃腸薬」 
「腹によし 歴史が支える胃腸薬」



約300年前から「陀羅尼助」を製造、販売している藤井利三郎薬坊。
昔ながらの看板が目立つ=奈良県吉野町


上のタイトルで、20160531の朝日新聞の夕刊に特集されていた。
目を牙(きば)、脳を鱗(うろこ)にして読んだ。

この記事を捨てるわけにはイカナイと、観念した。
この体(てい)の材料に、田舎を去ってから、極めて興味が深いのだ。

私にだって、センブリ(千振)を煎じたものを飲まされたことはある。
お腹が痛くなったり、頭痛を起こした際に祖母が用意してくれた。

センブリは「リンドウ科センブリ属」の二年草。
薬草として利用され、生薬及び当薬といわれていた。

記事には「ダラニスケ」とあるが、日常的には「ダラスケ」と呼ばれていた。
昨年から同居をはじめた義祖母(妻の母)は、幼少の頃から、この薬のことをよ~く知っていた、そうだ。

ニュースの所在が、大峰山の麓、奈良市となれば、関心が深まるのはしょうがない。

私は、くたばっても京都府の出だ。
奈良市はお隣だ。

★ ネットで、藤井利三郎薬房の
陀羅尼助の成分として、次のようなことが書いてあるのを発見して、それも付け加える。

①オウバク(キハダ)
オウバクはベルベリンを主成分とする生薬で、抗炎作用があり、漢方では健胃、消炎、消化不良などに用いられる。

②センブリ
我が国の民間薬として古来より、苦味性の健胃消化剤として、胃弱、胃部・腹部膨満感、胃のむかづきなどに用いられる。

③ゲンチアナ
ヨーロッパでも古くから薬効が認められた生薬で、強い苦味が胃液の分泌を促し、食欲不振、消化不良に効果がある。

④延命草
古くから苦味、健胃薬として民間薬に配合され、消化不良、食欲不振などに用いられる。

⑤ゲンノショウコ
日本で古くから建胃、整腸薬として民間療法に用いられ、慢性の胃腸病、胃弱などに効果がある。

⑥その他
ニンジンやケイヒなども、胃弱対策用に含まれている。


★ 私のブログに、新聞記事そのままを転載しておこう。
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胃腸薬に使う金額が、全国の県庁所在地と政令指定市の中で一番多いのが奈良市だ。

総務省の昨年の調査では、2人以上の世帯で1年あたり1919円を使う。
なぜ多いのか。
「なかなか難しいですがーーー」

奈良県薬務課の中村正主幹(54)が悩みながら答えてくれた。
「配置薬制度も関係があるかもしれませんね」。
 
つまりは「置き薬」。
県によると、江戸時代中期に「大和の名薬」が有名になり、幕末の頃には全国に行商圏を広げていったという
 
1960年代半ばごろまで、県出身の配置員が4千人以上いて、全国を回っていた。 
「以前は奈良のどこの家にも置き薬ありました」

「大和の名薬」の一つが、約1300年前に奈良で生まれた日本最古の胃腸薬といわれる「陀羅尼助(だらにすけ)」。

奈良では「抜群の知名度」だと中村さん。
「ちょっと具合悪いと、とりあえずこれを飲んどけって言われ、小さい頃からよう飲みましたわ」

サクラで有名な同県吉野町に「陀羅尼助」を製造、販売している「藤井利三郎薬房」がある。
創業は約300年前。

品質管理責任者の柏田信二さん(58)は「何代にもわたる常連さんもおられます」。

陀羅尼助の成分は、キハダのほかセンブリ、エンメイソウなどいずれも健胃作用のある薬草だ。

店に残る江戸時代とみられる資料には、頭痛、やけど、きりきずなどにも効くとある。
 
「お酒の前に飲むと悪酔いしません。私が実証済み」と笑う。

日本書紀には611年、推古天皇が今の奈良県宇陀地方で薬狩りをしたという記述があるなど、県内では、ヤマトトウキ ヤマトシャクヤクといった薬草が古くから盛んに栽培されてきた。

歴史的背景に着目し、県は2012年から「漢方のメッカ推進プロジェクト」をスタートさせた。
生薬の生産拡大から関連する商品・サービスの創出などを、総合的に検討している。

UHA味覚糖が藤井利三郎薬房と協力して4月に発売した「陀羅尼助飴」はその一環だ。

陀羅尼助に使われているキハダ成分に着目し、黒糖味に仕上げた。

藤井利三郎薬房に置いたところ、数日で一千袋近くが売れたという。
関西を中心に発売中だ。

(斉藤博美)


★印胃腸薬の年間支出額

※総務省の家計調査から。
県庁所在地と政令指定市の2人以上世帯の年間支出額(2015年)

①奈良市     1919円
②山口市     1692円
③札幌市     1662円
④さいたま市   1599円
⑤仙台市     1554円

(全国平均     1145円)