2018年5月13日日曜日

木からだってお酒ができる !

今から52年前に卒業した京都府宇治市の城南高校時代のサッカー部の同窓生・友人から、久しぶりに電話をもらった。3年ぶりだ。
同じ学年では、彼と私の二人だけだった。優秀な後輩たちに恵まれていたので、愉快な高校時代のクラブ活動だった。

クラブの監督は岡本先生。
体育の先生で、当時の京都代表のゴールキーパー、主将でもあった。
サッカーだけのことで視野は狭すぎるが、東京オリンピックを終えメキシコオリンピックを控えていた。
そろそろ、強いチームを創らなくっちゃ、と関係者は焦りだしていた頃だ。
そのチームは、京都の先生たちの京都紫光クラブがメインだった。
その後、私の大学の大先輩になる釜本さん(山城高校卒)もいた。

友人は、愛知県にある私大の体育学部の2年生だった。
卒業後の仕事に就いては、相性が悪くはないが、どうなったか、どうしたか、話したこともない。
久しぶりやなあ!とか、元気か? 今はどんな生活をしているねん?とか、通常の挨拶の後。
彼が言うには、「木からだって酒ができるんだって?」。
そんな新聞記事を読んだものだから、お前には話しておかないとイカンと思ったのよ。

恥ずかしながら告白するが、私、2浪時代から他人(ひと)の目を避けてと言うか? 盗っ人(ぬすっと)猛々しくビールを飲んでいた。
アルバイトに雇ってくれた親方の酒癖に嵌(は)められたようだ。
だからと言って、酒池肉林の世界を夢見ていた訳ではないし、酒は百薬の長と思っていた訳ではない。
酒は涙か溜息か! 酒に対して、そんな、気分屋でも情動的でも心情的な人間ではない。
友人の実家はうどん屋さんで、何故か私の飲酒には厳しい奴だった。
そんな奴だからか? 俺には話したかったようだ。

実は、彼が電話をくれた内容については、自宅に配られてくる朝日新聞で、十分には解ってはいた。
が、ヘ~、そんなことが可能なんだ?ぐらいにしか関心を深めなかった。

私の兄も高校時代から飲んでいた。でも、父は私が勧めればビールをコップ1杯ぐらいは何とか飲む程度、嫌酒な父だった。

2018年4月26日の毎日新聞の記事をネットで調べ、ここに転載させていただいた。
よ~く考えれば、このことは、ひょっとして、日進月歩か? 日増しに筍(たけのこ)か?
大きな話題になるかもしれんと思い直した。



森林総合研究所(茨城県つくば市)は、26日、木材を発酵させ、木の香りを残したままアルコールを製造する技術を開発したと発表した。

今後飲用のための安全性を確認し、民間企業との共同研究を経て、2020年までに世界初の「木のお酒」実現を目指す。

木から燃料用アルコールのバイオエタノールを製造する技術はあるが、硫酸を使用したり、分解しにくい木の成分「リグニン」と一緒に香り成分まで除去されたりするため、燃料以外に使うことは難しかった。

森林総研は、木を粉砕してクリーム状にし、食品用の酵素や酵母を加えることで、リグニンと香り成分を残したままアルコール発酵させる技術を開発。


スギ、シラカバ、サクラ(ソメイヨシノ)などで試験製造し、スギの場合、木材4キロからワインと同程度の度数のアルコールが約3.8リットル程度できた。
今回開発した製法によるアルコールは、スギ原料からはスギ木材と同じ香りがした一方、シラカバ原料では樽熟成したウイスキーなどと同じ成分による香りがした。
木の種類を変えることで多様な香りのアルコールをつくれるという。
沢田治雄所長は「花見をしながらサクラの木からできる『酒』を楽しめるようになるかもしれない。
地元木材原料の『酒』で地域に新たな収入をもたらすなど、林業振興につながることも期待できる」と話す。

【大場あい】




2018年5月6日の朝日新聞・夕刊の記事の一部も、ここに転載させていただいた。



サクラもスギも「木のお酒」

醸造技術を開発 商品化目指す


(森林総研)
樹木の細胞壁が硬く、微生物が分解発酵できないために、木材そのものを原料とした酒はできなかった。
薬剤で細胞壁を壊すことはできるが、食品にはできずに燃料用のアルコールにしてきた。
研究チームは樹皮を除いた木材を天然水に漬け、直径2ミリのセラミック球と一緒にミキサーにかけて、薬品を使わずに細胞壁を粉砕する技術を開発、酵母などを加え、タンク内で2~4日発酵させたところ、アルコール度数約2%の琥珀色の原液ができた。

サクラ材から作った「サクラ酒」はほのかに甘い香りで、ワインにも似た味わい。
「シラカンバ酒」はブランデーのようで、「スギ酒」は針葉樹らしいドライな感じに仕上がった。

(三嶋伸一)