2019年7月7日日曜日
雪盲(せつもう)
城山三郎
城山三郎さんの『湘南ー海光る窓』(文春文庫)を読んでいて、初めてこの漢字を見た。
それは「雪盲(せつもう)」である。
城山さんは「海の見える家に住みたい」という長年の夢をかなえて、湘南海岸の茅ヶ崎に住むことにした。
その自宅が余りにも海に近くて、別途「月洋亭」と名づけた仕事部屋を茅ヶ崎駅に近いところのマンションにした。
マンションからは、左手に三浦海岸、右手に伊豆半島、その間の帯状の空間に雄大な太平洋が広がっている。
海をこよなく愛する城山さんが日々感じたことを、四季折々の湘南と日ごとに変わる「光る海」を愛情を込めて爽やかに描いた珠玉の随筆集だ。
この随筆集には48の、さまざまな内容の小文があって、そのそれぞれが余りにも城山さんらしく、アット言う間に読んでしまった。
今回話題にしたのは、随筆集の「プライベイト人間の生活」のなかの一文だった。
《最近、本田勝一の『五〇歳から再開した山歩き』を読んで、愕然(がくぜん)とした。
さまざまな人間模様も織り込んだたのしい本だが、その中に、強い西日のため「雪盲」になる話がでてきたからである。失明さえしかねない、という。》
本田勝一さんの探検や冒険もの、辺境編もの。
はたまた世情に対する彼なりの意見集に凝り固まった時代はあったが、この「雪盲」は知らなかった。
探検、冒険,偏境もの、「貧困なる精神」は、全てを手に入れて読んだ。
漢字そのものは、それほど難しくないので、何となく字から受ける印象で何となく解かっていた。
★ネットで雪盲の記事があったので転載させてもらった。
雪盲とは、雪山において、サングラスやゴーグルを着用せず、目が直接強い日差しを浴びていると、目が痛くなったり、涙が出たりして、目が開けていられない炎症が起きること。
雪目(ゆきめ)ともいう。
高所になるほど紫外線量が増大することに加え、雪上では、日差しが雪面に反射するため、更に強い日差しを目は浴びているので、何も防御していない目は網膜や角膜が紫外線&日射によって傷つけられてしまう。
また、涙が出るなどといった前兆を無視して、目を酷使していると、さらにダメージが大きくなり、目が見えなくなる可能性もある。
登山中にこの状態に陥ると、周りの情況判断もできなくなるので、雪庇を踏み外したりして滑落の危険性がある。
註・雪庇(せっぴ)。
帽子の庇と同じく、日光や雨、雪を防ぐためのもの。
応急処置としては、雪や冷たいタオルなどを目に当てて冷やしてしばらく目を休ませる方法がある。
またその場に留まって、暗くなってから活動開始する羽目になる。
まず登山開始前からサングラスを着用して、目を保護することが何よりも大切である。