2019年9月7日土曜日

むかわ竜

20190905 朝日新聞・天声人語を読んで、私自身の物知り貧困、知識不足を恥じた。
小学校の頃から、この天声人語を楽しみに暮らしてきた。
今回の天声人語を読んで、朝日新聞も私のような知識不足の人間がいることを少しは考えてくれと言いたくなった。
先ずは、その天声人語の転載コーナーです。


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★天声人語(20190905)

頭や背骨など黒光りする化石一つ一つの迫力に息をのむ。
東京・上野の国立博物館で開催中の恐竜博で、展示の目玉である「むかわ竜」を見た。
発掘された化石は全体の8割を超す。
国内で類のない全身の化石だ。

今から16年前、北海道むかわ町化石収集家・堀田良幸(ほりたよしゆき)(69)が近所の山中で尾の骨を見つけた。
ワニかと思ったが、後に専門家の調査で恐竜と判明。
町を挙げて発掘し、222個の化石を見つけた。
「神様からの贈り物だと思いました」と堀田さんは話す。

郵便局に長く勤めた。
採集を始めたのは30代半ば。
採ったアンモナイトを客に贈ると喜ばれた。
バンダナを頭に巻き、ピッケルを手に山野をめぐる。
色や形を手がかりに石を探しては割る。
「化石が私にシグナルを出してくれます」

7200万年前の白亜紀、一帯は海だった。
浜で群れをなして植物を食べていたのがむかわ竜だ。
ときにはティラノサウルスのような肉食恐竜の餌食に。
いま風に言えば、気の優しい「草食系」だったが。

全身の骨格は昨年9月の4日、町の体育館で公開された。
わずか2日後、町は地震に襲われる。
1人が亡くなり、家がなぎ倒された。
隣の厚真町では山が崩れ、多くの命が失われた。
ただ化石は地元の博物館に保管されていて難を逃れた。
発掘されたのが奇跡なら、地震に耐えたのも奇跡だろう。

明日で地震から1年。
町は、恐竜化石を生かした街づくりを進めている。
白亜紀の大地を闊歩(かっぽ)した竜が、復興の一助を担う。
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ところが本日(0906)、朝日新聞・朝刊の1面に、この「むかわ竜」のことを実物化石の写真を含めて、詳しい「むかわ竜」の記事を見つけた。
私の知識の無さを恥じるのは、当然のことで、それにしても悔しかった。
な~んだ、そういうことだったんだ。


このむかわ町の隣では、昨年9月6日午前3時ころ、北海道の胆振(いぶり)東部地震が発生した。
厚真町の吉野地区では震度7、大規模な土砂崩れが発生した。
山岳一帯に発生した山崩れの後は、いまだに何の手も付けられない状態だ。
そんな大きな地震が発生した隣町で、恐竜の化石が大量に見つかったなんて、夢にも想像しなかった。
その化石を並べて、恰も動き出そうとしている恐竜の姿が撮影されていた。

AinuGroup.JPG
北海道にはアイヌ民族がかくも立派に集落を形成して、暮らしていたことも私には不思議なことだ。
もっともっと、知るべきだと痛感する。


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そして翌日の朝日新聞・朝刊1面より。
むかわ竜 学名は「カムイサウルス」


アイヌ語で「神」
北海道むかわ町で見つかった「むかわ竜」は新属新種の恐竜で、学名は「カムイサウルス・ジャポニクス」とする北海道大などの研究グループの論文が6日、英科学誌サンエンティフィック・リポーツで公開される。
頭部にトサカがあった可能性など、新たな研究成果も盛り込まれている。

グループの小林快次・北大総合博物館教授によると、学名には、アイヌ語で神を意味する「カムイ」を用い、全体で「日本の竜の神」という意味が込められている。
発見、発掘したグループが学名を付けることが多く、論文掲載でこの名前が定着するとみられる。
むかわ竜はハドロサフルス科。
群れを作って植物を食べる。
2003年、むかわ町穂別の約7200万年前(白亜紀後期)の海の地層から最初の化石が、その後、全身の約8割の骨が発掘された。
9歳以上の成体で体長8メートル、体重4~5・3トンとみられている。
論文は、頭の骨を詳しく調べ、トサカがあった可能性を指摘した。

むかわ竜の化石は東京・上野の国立科学博物館で10月14日まで開催の「恐竜博2019」(朝日新聞社など主催)で展示されている。

(田之畑仁、米山正寛)