2020年7月16日。
藤井聡太は、大阪府大阪市「関西将棋会館」にて第91期ヒューリック杯棋聖戦 五番勝負第4局で史上最年少となる17歳11か月で「棋聖」を獲得した。
そのことが、テレビや新聞で大騒ぎ、日本中が藤井棋聖に沸いた。
将棋のことをな~にも知らない私だからこそ、この藤井君の栄誉は二本の睫毛が瞬間的に剥ぎ取られたように、驚いた。
否、酔っ払って寝ている時に、頭の髪をすっぱり狩り切られ丸坊主にされたようでもある。
対戦相手は渡辺明棋聖に3勝1敗でシリーズを制したことになる。
この戦いの後から、藤井聡太は新「棋聖」になり、渡辺明さんは旧「棋聖」になった。
愛知県瀬戸市出身で杉本昌隆八段門下入った。
2016年に史上最年少(14歳2か月)で四段昇段(プロ入り)を果たすと、そのまま無敗で公式戦最多連勝記録(29連勝)を樹立した。
そして、19日に18歳の誕生日を迎えた。
★朝日新聞・社説 20200718
藤井新棋聖 「感想戦」に学びたい
将棋の藤井聡太七段が棋聖戦を制し、史上最年少の17歳11か月でタイトルを手にした。
プロ入りも最年少の14歳2か月、デビュー戦から29連勝するなど数々の記録を塗り替えてきた。
新聞を愛読し、「僥倖(ぎょうこう)」「望外」といった言葉を使いこなす高校生棋士が、若者らしさを一番感じさせるのは負けた時だ。
投了後に両者が一緒に対局をふり返って、勝因、敗因などを分析する「感想戦」では、何度もため息をつき、うなだれる。
藤井新棋聖は、多くの有力棋士と同じく、この感想戦を大切にきた。
かって好きな言葉を聞かれて「感想戦は敗者のためにある」だと答えた。
「感想戦という行為自体が他(の世界)では珍しいと思う。感想戦の意義をよく表わした言葉かな」。
別の場面で将棋の神様への願い事を尋ねられた際には、「お手合わせを」と応じている。
双方の言葉から伝わってくるのは、勝ち負けを超えて将棋の本質に迫りたいという思いだ。
おとといの対局後も、相手の渡辺明棋聖(棋王、王将)と30分ほどの感想戦に臨んだ。
それぞれの場面で自分が何を考えたのかを語り合い、より良い一手があったのかを共同作業で探求する。
人工知能(AI)でもすべてを解明することはできないといわれる将棋の奥深さと、そこに一歩でも近づこうという熱意。
悔しい負けを喫したばかりの渡辺棋聖がていねいな言葉づかいで19歳下の藤井新棋聖に意見を請うシーンには、胸を打つものがあった。
日本将棋連盟会長でもある佐藤康光九段は、感想戦での検討について「思いもよらない妙手が出てくると、震えるほど感動することもあった」と著書に記している。
敗れて腹が立ち、自身の感想戦を拒否して帰ってしまったことがあるとも明かし、「まったく自己をコントロールできていなかった」と省みる。
負けたり失敗したりした時、人はしばしば、ただ落ち込む。
言い訳を考える、忘れようとする。
逆にうまくいった時には、都合のいいことだけを記憶に残して、途中の過ちにはふたをする。
客観的に自分を見つめ直すのは難しいが、その機会を与えてくれるのが感想戦といえるだろう。
感想戦に時間の制限はない。
敗者が納得するまで続けるのが常だ。
藤井新棋聖も敗戦の経験を幾度も重ね、そこで得たものを次につなげてきた。
熟慮や対話を通じて自らを相対化する営みが敬遠されがちな現代。
将棋界が長い年月をかけて育んできた感想戦の文化から、生部べきことが多い。
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ネットにも藤井新棋聖のことで大騒ぎだ。
16日の対局終了後の記者会見には杉本昌隆八段も同席した。
下記の内容は、ネットをそのまま掲載させてもらった。
藤井新棋聖:
「(タイトル)獲得については、まだあまり実感がないんですけども、とてもうれしく思っています。
師匠には入門の時からずっとお世話になってきたので、1つ恩返しができたのかなと思っています」