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今回の民主党の代表選では、小沢擁立グループが立候補を望んでいた人を、党首選のあとの冷遇を示唆して断念させた。今後何もなければ、対立候補なしの小沢代表は、政策論争なしで3選される見通しだ。3選後は、無茶苦茶なマニフェストを掲げて、次の衆院選で政権党を目指そうとしている。
民主党は昨年の参院選を小沢体制で、勝ち過ぎた。選挙に強い小沢代表と、なってしまった。民主党員の誰もが、恐れ多い代表になってしまわれた。ここに、民主党の危機的な芽生えがあるのを、誰が気がついているのだろうか。きたるべき衆院選には、一丸となって、自民党を倒さなければならない、そのためには、党内で政策論争なんかしている場合ではない、と長老の渡部恒三や藤井裕久らだ。それと、仲のいい元首相経験者の海部氏や羽田氏だ。
野田佳彦は、立候補を渋々断念した。双葉山(小沢)が現役の時に胸を借りたかった、と悔やんだ。前原誠司は、マニフェストに疑問を持ちながらも、口封じにあって発言の機会も与えられない。岡田克也さんのような政策通も、自説をまとめた本を出版したものの、党としての論議を呼びそうもない。先に名前が出た人意外にも、枝野幸男のような賢い人もいるのに、論争を避けようとする体質では、飛躍するには無理があるのではないか。
民主党は、なりふり構わず、準備万端あい整えて、福田康夫の自民党から政権奪取を狙っていた矢先に、あっさり、首相で総理の福田康夫は、政権を投げた。福田氏は、自民党の党首に選ばれて、国会で首相指名を受けて首相になったのだ。憲法に基づいて、国会での首相指名投票によって選ばれたのだ。議院内閣制における重要な議会の機能だ。福田さん、あんまり国民や議会を馬鹿にしたら、アカンぞ。現在、5人の候補者が競っている自民党総裁選が華々しいのか、空しいのかは後日にして、今回は民主党党首選の巻きでした。
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(080909)
朝日朝刊
政態・拝見
小沢氏の失敗 編集委員・星浩
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失敗は少なくとも4度ある。
1回目=93年に自民党を飛び出した小沢氏は、細川護煕氏を首相に担いで非自民連立政権を樹立。自民党を野党に追い落とした。そこまでは良かったかが、連立仲間の社会党とうまくやれず、非自民政権は約10ヶ月で崩壊。消費税を7%に引き上げることも画策したが、猛反対に遭って撤回、政権を失速させた。
2回目=94年に非自民勢力を結集して新進党を結成。95年の参院選では躍進したが、公明党系議員らとの摩擦が強まり、97年末にあえなく解党を宣言した。
3回目=自由党を率いていた99年には自民党と連立政権を組み、窮地に立たされていた小渕政権を救う結果に。00年には自自連立を解消したが、自由党は分裂した。
4回目=07年には福田自民党との大連立にいったん合意したが、民主党幹部の反対で頓挫。辞意表明の後に慰留されて翻意した。
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挫折と復権を経て小沢氏はいま、自民党を相手に「政治家として最後の戦い」の真っ最中だ。
この総選挙とその後の政局は、小沢氏にとって「5度目の失敗をするかどうか」の分かれ道である。
小沢氏は「国会議員のなかでは衆院300選挙区の事情を最も熟知している」(菅直人民主党代表代行)という。総裁選でブームを起こそうという自民党のしたたかさも、民主党の足腰の弱さも知り抜いているだろう。だから、両党の総力戦で民主党が敗れた場合、小沢氏は力不足を認めて代表の座を降りるだろう。それは必ずしも「失敗」とは言えない。
総選挙で、民主党が勝った場合はどうか。「小沢首相」の下で政権が発足する。民主党のマニフェスト(政権公約)に基づいて政策が進められるが、かなりの困難が伴う。
ガソリンなどの暫定税率廃止、農家への個別所得補償などを一気に行うには財源が足りない。実現が送れば自民党やメディアから「公約違反」とたたかれる。財源確保のために消費税率の引き上げを強行すれば細川政権の悪夢がよみがえる。
そうした経過で民主党政権が崩壊したら、それこそ小沢氏の「5度目の失敗」となる。それを避けるにはどうすればよいか。民主党は政権獲得後の政策について、いまは大風呂敷を広げているが、そこに優先順位をつける。数年かけて実現する道筋と財源の概略もしめす。要するに、マニフェストを進化させることだ。
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ところが、小沢氏は「マニフェストが嫌い。権力奪取が最優先で、政策は二の次と考えている」(代表経験者)ようだ。その小沢氏がマニフェスト重視に「変身」できるかどうかが、大きなポイントである。
そういえば、民主党代表に就いた06年4月、小沢氏は演説で「私自身が変わらなければならない」と述べた後に英文を引用した。「we must channge to remain the same]
「現状にとどまるためにも、変わらなければならない」といった意味だ。「最後の戦い」で小沢氏が失敗を重ねるのか、変身を成し遂げるのか。結論は遠くない時期に出る。