2019年11月15日金曜日

東野圭吾 映画「手紙」

20191112の午後、何気なく点けたテレビで観たのがこの映画=「手紙」だ。
あんまり込(こ)み過ぎて、難しいストリーになった映画や芝居を観るのが好きでない。
でも、暫らく観ただけで私にだって観やすい映画だったので、とことんテレビの前で座ってしまった。
恥ずかしながら、最終場面では口元までに流した涙で、顔中べちょべちょに濡らしてしまった。

『手紙』2

スタッフ


監督生野慈朗
製作宇野康秀 、 大澤茂樹 、 高瀬哲 、 細野義朗 、 日下孝明 、 常田照雄
プロデューサー朴木浩美 、 橋口一成
アソシエイトプロデューサー水上繁雄 、 角田豊
原作東野圭吾
脚本安倍照雄 、 清水友佳子
企画永江信昭 、 熱田俊治
音楽佐藤直紀
音楽プロデューサー志田博英
美術山崎輝
装置佐藤信透
編集川島章正
録音北村峰晴
スクリプター長坂由起子
スチール竹内健二 、 長浜谷晋
エグゼクティブプロデューサー河井信哉 、 星野有香 、 大村正一郎 、 松山彦蔵
助監督高橋正弥
照明礒野雅宏
ラインプロデューサー新津岳人
監督補川原圭敬
衣裳中山邦夫


★概要とあらすじ
東野圭吾のロングセラー小説を映画化した社会派人間ドラマ。
私自身は、このような経験をしたわけではないのに、何故こんなにまで、こだわって観てしまったのか、不思議なものだ。

直貴(山田孝之)の兄(玉山鉄二)は、弟の学費欲しさに盗みに入った屋敷で誤って人を殺し服役中だった。
何是、そこまで弟の学費欲しさになったのか、金の在り処(か)を探している丁度その時に、家の住民が帰ってきた。
何とか巧い具合に逃げ遂(おお)せたら、話はこんなに嫌なことが起こらなかったのに、大きな声で反抗する老婆を格闘の最中に、魔が差したのか、老婆を殺してしまうことになった。
それから、悲しい時間が過ぎ去ることになった。

弟は大学進学をあきらめ、工場で働く直貴の夢は幼なじみの祐輔(尾上寛之)とお笑いでプロになることだった。
だが、毎月刑務所から届く兄の手紙が彼を現実に引き戻す。
そんな彼を食堂で働く由美子(沢尻エリカ)が見惚(と)れていく。
お笑いでプロになることを諦め、工場で働くことにした。
そこに現れた、工場の本社の会長が、「今の君の苦しみをひっくるめて君の兄さんの犯した罪なんだ」と話す。
このようなことは、小学生ぐらいの頃に観てボロボロ泣いた覚えはあったけど内容はほとんど忘れていた。
弟は、重い重い重い。
辛い辛い辛い。
泣く泣く泣く。

玉山鉄二さん演じる兄が殺人を犯したゆえ、人生を狂わされた山田孝之さん演じる弟の日々。
兄は兄で弟のために大学費用と思ってたわけだし、弟は全く悪くないのは100も承知だけれど、会長の言う通りでもある。
沢尻エリカさんが演じる由美子はそこを受けいれ、弟に手を差し伸べてくれる素敵な人物だった。

どんなに努力しても隠してもそれがバレて差別されたら兄に当たりたくなるのも分かる。兄と弟の関係も破綻してないからより辛い。
加害者とその親族に共感したいけど、周りの気持ちも対応も分かるから辛い。
甘栗のくだりでなんかもう私のメンタルは崩れかけてたし、手紙を受け取ったり書いたりしてる時の兄の表情もそうだし、もうラストの方はもう涙がとまらなかった。

弟と漫才コンビを組もうとしていた友人が、突然弟と会うことになった。
そこで話されたことは、久しぶりに千葉でコンビを組んでくれないかとのことだった。
その部隊の場所が千葉だったからだ。
兄が無期懲役に服しているのは千葉刑務所だった。
友人は、この千葉刑務所のことをどのように発したのか、その表現はされていなかった。

加害者とその親族の視点と心情、周りの対応の描写が痛い程伝わってくる。
そこに、山田孝之さん、玉山鉄二さん、沢尻エリカさんの繊細な演技力が素晴らしすぎる。
それぞれの表情と沢尻エリカさんの関西弁もよかった。

千葉に行く前に弟は被害者の家に、今までのことを仏壇を前に、息子さんを前に、きちんと謝りたかったのだ。
被害者の息子さんは、時間も経ったものだから、混迷していたことに対しては何とか整理できた。
だから、君の兄のことについて恨みは果かないものがあるが、君については何も想うことはない。
よって、何も無かったものとしてくれ、と話した。

この物語の繋がりは手紙で、タイトルの『手紙』そのもの。

東野圭吾さんって本当に色々な作品を書けるから凄い。
この作品と『秘密』と『容疑者Xの献身』は同じくらい重かった。