2006年11月1日水曜日

田口 苦闘5年。みんな そう(壮)に学べ!!

カージナルス ワールドシリーズ優勝 田口 世界一 苦闘5年         (朝日新聞 2006年10月28日 夕刊)         


 


2006年10月27日 「日本時間28日」のワールドシリーズ第5戦。ナ・リーグ覇者のタイガースに4-3で勝利。1勝1敗から本拠で3連勝し、24年ぶりの栄冠をつかみとった。


いつも通りの献身的なプレーを貫いた。2回無死1塁で3前にセフチイーバンド。


「自分の仕事は記録を追うことじゃない。いかにチームを勝ちに近づけるか」


4回には中前安打を放ち、逆転のホームを踏んだ。


 


 


入団当初のキャンプで「打力が弱い」と判断され、3Aへ落とされた。メジャーに上がってもすぐにすぐにマイナーに逆戻り。ひび割れたヘルメットをかぶり、長時間のバス移動を経験した。2年目には、開幕当日に3A行き。苦闘の中で、生き残るすべてを探した。ラルーサ監督の掲げる緻密な野球に適応しようと守備を磨き、相手投手を研究して打力をつけ、はい上がった。指揮官は言う。「ハードにプレーし、ミスをしない。これがうちの野球だ」。その象徴が背番号99だった。


第1戦でバットを投げ出して進塁打を打ち、第3戦は右翼で好守を連発。4,5戦ではきっちり犠打を決めた。


第5戦では、8番左翼で今シーズン3度目の先発だ。






田口の今までの行動に学ぼう  職人、メジャーに「証し」  


   以下  私                                                


5年前、オリックスからメジャーのカージナルスに入団した。その記者会見で、英語だけで受け応えしていたことが、すごく印象に残っていた。それも、冗句をまじえながら。


当時、田口のことには、正直、関心が無かった。私は、特別、何かに秀でている選手ではないと、思っていたのだろうか?


メジャーで活躍する他の選手のことは、ことあるごとに、マスコミで騒がれ、いや応なしに報道される。表舞台はいつも、賑やかで、華々しい。


かたや田口のことは、苦労していることばかりがテレビのちょっとした特集で報道されていたぐらい。マイナーで健気に頑張っている練習風景など。守備では高い評価を受けながら、どうしても打力が貧弱だと評価されていたのだろう。


でも、メジャーに戻ってきたこともしばしば、あった。ところが、メジャーに復帰しても数すくないチャンスに、守備ではそつが無いが、どうしても打力では目立った貢献はできなかった。


でも、時には打力でも頑張っていたんだけどなあ、と、私は思っていたんだ。


そんな数年のうちにも、田口は精進を重ね、メジャーでの活躍のための準備を着々と積み上げて来ていたのだ。


監督を含め、取り巻くコーチ陣は田口の成長をきっちり認めていたのだろう。田口、監督等は、相互に、求めているもの、求められているもの、の共通認識がなされていたのだろう。言葉を交わすまでもなく、よく理解し合っていたのだろう。


今シーズンは先発3回のみ。


ベンチで待機していて、監督からの指示を待つ。


だから。打数、打率、塁打数、では決していい数字ではない筈だ。


が、田口は、田口を必要がられたときの貢献度が高いのだろう。だって、ベンチ入りができる人数は決められている。そのなかに入れるだけの価値を認められているのだから。


塁にいる走者を次の塁に進めるために犠打の指示を受ける。流れを変えたいときに呼ばれては代打を命じられる、ここ一番の守りに、左翼に右翼に、ワンポイント守備だ。


試合を進めていく過程で、要所要所に、ピンチがありチャンスがある。指揮官は、その場から、最大の収穫を得ること、最少の損出に抑えること、に苦心する。


指揮官の指示に従って、確実に仕事をこなす。


田口は、立派に与えられた仕事をこなせられる優秀なスタッフの一員に成長した。今回、その評価を十二分に受けた。


田口は、職人として?傭兵になって?


ラルーサ監督は、ワールドシリーズの優勝を決めた最初のインタービューで、イの一番にソウ(田口のこと)のことを褒めた。




田口から、彼の生き方から学ばせてもらうことは、いっぱいあるぞ。




田口は語る=物事は飛躍的には進まない。少しずつ積み重ねがあって、ここまでこられた。2Aも含めていろいろな経験をさせてもらい、ファンの辛い時に励まされた。すごく幸せだと思う。



フロリダの青空の下、大きな瞳を潤ませた。腕にカージナルスのユニホームを着た息子を抱き上げて、観衆に応えた。


翌日のパレードでは、オープンカーに奥さんと息子も一緒だったと、聞いた。


      リックス 仰木監督は、トルネード投法の野茂、振り子打法のイチローに次いで、「世界一」の田口を、メジャーに送り込み、大きく花を咲かせたことになる。野茂は私から見れば、奇っ怪な投法でバタバタ三振をとり、イチローはあたかもピンポンのように、何ぼでもヒットを打った。又、イチローは今春のWBCで優勝のための大役を果たした。田口はいぶし銀の職人芸を磨いた。 田口は語る=トニー(ラルーサ監督)も仰木監督と似ている。突然使われるし、打順も何番でも打たされる 優勝を決めた日、田口のスタメン発表の放送に応えて、観衆は一際拍手がおお、、


仰木さん、天国での気分は、さぞかし満足じゃろう。