2007年5月15日火曜日

「にんげんをかえせ」最終稿。峠 三吉

広島で被爆した詩人、峠 三吉(1917~53)の代表作「原爆詩集」(51年)の最終稿とみられる原稿が東京で見つかった。

原爆詩集の序

ちちをかえせ ははをかえせ
としよりをかえせ
こどもをかえせ
わたしをかえせ わたしにつながる
にんげんをかえせ
にんげんの にんげんのよのあるかぎり
くずれぬへいわを
へいわをかえせ


 序の横にあった「予言のうた」は14行の赤字の走り書き。 「これらのことばは予言のうただろうか? これらのうたは前兆のことばだろうか?これらのうたはにんげんがおもいもかけぬ苦しみの記録 またと心に刻まるべきでない悲しみの叫び(後略)」と書かれていた。ただ、その部分には鉛筆で*が記されており、印刷所に非掲載を指示するためだったとみられる。

峠作品の研究家らでつくる市民団体「広島に文学館を!市民の会の池田正彦事務局長は、「峠は、原爆が再び使われる可能性が追っていると予期し、思い悩んでいた。走り書きは詩集全体への所感を記したものでは」朝鮮戦争で米大統領が原爆使用を示唆した。