2007年5月30日水曜日

憲法記念日の各紙社説要旨

5月3日は憲法記念日だった。

憲法記念日の日の全国紙の社説要旨を朝日新聞がまとめて掲載した。

友人と話していて、「俺は、?新聞を読んでいるのだが、主張がはっきりしないんだよ、何をどうすれば、いいのか、悪いのか、いらいらするんだよ、他の新聞も読むようにしないと、いけないなあ」こんな会話をしたばっかりに、朝日新聞が気の利いた企画をしてくれたものだから、上の友人のような方には参考になると思って転載させていただいた。


私も、朝日新聞しか読んでいないので、他紙がどのような内容の社説を掲げたのか気になっていたところだった。


産経   日本守る自前の規範を

この60年間、憲法が国や国民の生命、財産を守るという国家の基本的な務めを果たしてきたとは到底言い難い。憲法改正の核心は9条である。国の防衛は何も考えるな、とさえ読めてしまえる内容だ。


集団的自衛権は行使を含めて認められると考えるべきだ。日米安保体制もそれを前提に構築されている。憲法条文上、あいまいさがあるとするなら、改正により明確にすべきポイントといえる。


日本占領中の連合国側が、日本の弱体化を図った時代に現憲法は生まれた。悲惨な戦争の経験から、恒久平和を願う国民が、結果的にこの憲法を受け入れたのも事実だ。しかし、時代は大きく変わった。新しい酒には新しい革袋が必要だ。そこへ自立した国家意思と国や国民を守る気概を込めることも欠かせない。


読売   歴史に刻まれる節目の年だ

憲法改正の核心は9条にある。北朝鮮の核兵器開発や中国の軍事大国化による日本の安全保障環境の悪化や、イラク情勢など国際社会の不安定化に対し、現在の9条のままでは万全の対応ができない。国益にそぐわないことは明らかだ。


集団的自衛権については「持っているが行使できない」という自己矛盾の政府解釈を変更すべきだ。日本を守るために活動している米軍が攻撃されているのに、憲法解釈の制約から、近くにいる自衛隊が助けることができないのでは、同盟など成り立たない.


日本の安保環境や国際情勢の変化が日米同盟の強化を迫っている現状を見れば、憲法改正を待つことはできない。日米同盟を基盤とする安保政策や国際平和活動の展開の桎梏(しっこく)となってきた集団的自衛権の問題を打開すべき時だ。


日経   還暦の憲法を時代の変化に合う中身に

英知を集めて、時代の変化に合わせた新しい憲法を考えていくときだ。


この憲法の下で、奇跡的な復興を成し遂げて世界第2位の経済大国となり、平和な国家を築いたことは、戦後の日本の誇りだ。その「良き財産」を引き継ぎ、民主主義をより深化させた21世紀にふさわしい憲法をつくることが、今を生きる私たちの責務だろう。


憲法施行時と比べると、国際社会での日本の存在感は格別に増した。北朝鮮の核開発やミサイルの脅威に直面するなど安全保障環境も激変している。憲法9条に関しては、政府が憲法解釈で禁じている集団的自衛権の行使を認める場合に、どこまで踏み込むのか。安全保障基本法の検討作業などを通じて、自衛隊の国際貢献のあり方や活動範囲の議論を詰める必要がある。


毎日   平和主義を進化させよう

日本は日米同盟を重視しつつ、国連中心主義の原点に立ち返る必要がある。国連決議で正当性が与えられていれば、国連の承認する集団安全保障活動に、より積極的に協力していくべきだ。現行憲法の下でも可能な国際協力は多い。ただ国連平和維持活動(PKO)にしても重火器を用いて平和を強いる「平和強制型」など多様化し、どこまで国際協力に踏み込むか議論を尽くさなければならない。そのうえでの改憲論議だろう。改憲するまでもなく一般法の制定で足りるかもしれない。


私たちは「論憲」を掲げ憲法の総点検を行ってきた。


憲法に不都合があれば改憲も否定しないという立場だが、結論を急ぐ必要はない。


朝日   地球貢献国家をめざそう

「地球貢献国家」をめざそう。地球温暖化や人口激増、グローバル化による弊害~。さまざまに迫る地球上の困難に対し、省エネ、環境技術をはじめとする得意技で貢献する。さまざまな国際活動の世話役となって実りを生む。それが日本の国益にも直結する。


「戦争放棄」の第9条を持つ憲法は、そのための貴重な資産だ。だから変えない。ただし、準憲法的な「平和安全保障基本法」を設けて自衛隊をきちんと位置づけ、「専守防衛」「非核」「文民統制」などの大原則を書き込んではどうか。憲法の条文から自衛隊が読み取れないという「溝」を埋めるための工夫だ。


国連主導の平和構築活動には、一般の軍隊とは異なる自衛隊の特性を守りながら、より積極的に加わっていくことも、基本法にうたうのがよい。