2007年7月27日金曜日

映画:「プライド in ブルー」を観た。

テアトル新宿 10:00~

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映画:題名「プライド in ブルー」

忘れられている 純粋なひたむきさが ここにはある

監督:中村和彦   ナレーション:寺田 農   プロデューサー:鈴木政信、太田裕輝

この映画は、第4回INAS-FIDサッカー世界選手権ドイツ大会(サッカーワールドカップ2006年大会)に出場した日本代表チームの選手たちと、試合をメインに大会の様子を迫ったドキュメンタリーである。FIFAサーカーの祭典が4年に1度ワールドカップとして、最高のレベルの試合が繰り広げられ、つかんだ栄誉は、サッカー史に燦然と刻まれる。毎回、数々のスーパーヒーローが生まれる。ゲームの醍醐味に、世界の隅々の人々を酔わせる、とんでもない祭典なのです。が、そんなワールドカップとはちがう『もうひとつのワールドカップ』があることを、知っている人は少ない。この『もうひとつのワールドカップ』と、その大会に出場した『もうひとつの日本代表』による真実のドラマです。

映画を観ていて、私は錯覚に陥った。え~これが、なんでじゃ? 。知覚障害者って? 。だったら、俺は健常者か、知覚障害者か、どっちだ。 ええ~え どうなっちょるんじゃ。練習風景から、試合、ミーティング、試合を離れての彼たちの行動、どれをとっても、私には、知的障害者というカテゴリー?が解らなくなってしまった。そんなカテゴリー、何故?、何の為に?、必要なの。 それ、線引き?ってことか。それ、誰のために?。日本では、通常、知的障害を持つサッカープレーヤーが健常者とプレーする環境にないのが、現状です。オランダは代表選手全員が健常者のチームでプレーしている。

健常者と知的障害者とは、何ら変わるところがないのだ、と確信した。今まで、健常者と知的障害者とを区別してきた論理はなんだったんだろう、この根源的なことについての論議を期待したい。実は、私にとっても、再発見だったのです。学生時代に、学校教育における養護学校のことを、話し合う討論会に出席したことがあったのです。この映画は私がその討論会で置き残してきた問題を再び照射した。その討論会では、私は孤軍、奮闘したけど、成果は得られなかった。今、再び、ここであぶりだされたことに、はっと覚醒した。世の広範な論議を求めたい。

今までの教育行政は、摩訶不思議な論理を誤認のまま、無策だったのではないのか。稚拙な教育者か、徹底した官僚的合理主義者の仕業(しわだ)に任せっきりだったのではないのか。今までの彼ら(行政側)の論理を早急に見直しをするべきだと痛感した。

サッカーだけかよ、って言われたくないのです。きちんと仕事のできる人間になりたいのです。結婚する予定です。全員が前向きに生きている。

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この映画のプログラムの「解説」の文章を転載させていただきました。

「プライド in ブルー」は、ドイツで開催された知的障害者のサッカーワールドカップ2006年大会に出場した選手たちと、大会の様子を迫ったドキュメンタリーである。大会の正式名称は、INAS-FID(国際知的障害者スポーツ連盟)サッカー世界選手権大会。4年に一度、世界中を興奮の渦に巻き込むFIFAサッカーワールドカップ終了後に開催される、この通称(もうひとつのワールドカップ)は、1994年オランダ大会から始まり、2002年の日韓同時開催大会以後、同じ開催国(地)で実施されるようになった。日本チームはポーランドで行われたヨーロッパ選手権大会に特別参加し、2002年、日本で開催された第3回大会から正式に参加。4回目を迎える2006年ドイツ大会では、参加16ヵ国の選手たちが、06年8月27日から9月16日まで3週間に渡り、ドイツ国内41会場で熱戦を繰り広げた。

現在、国内の知的障害者サッカーチーム、及び選手数は、日本ハンデイキャップサッカー連盟の調査によると、2000年には日本全国で124チーム2375人、2004年には161チーム3053人、2006年には221チーム4258人となっていて、漸次増加傾向にある。2006年大会には15歳から33歳までの20人の選手がドイツに向かった。ちなみに選手団はコーチ、トレーナーなどもいれると長沼 健団長以下総勢30人であった。

本作品の中村和彦監督は、2002年8月にチームのことを知り、映像に収めたいと本作品を企画。実際の撮影は、2006年4月から2007年2月までを要した。最終的な撮影は総時間で200時間に及んだ。中でもドイツ大会には2班編成で望み、選手と寝起きを共にして撮影している。

映画はゴールキーパー加藤隆生が練習に励むシーンから始まる。加藤選手、両親、祖母の陽子さんが、それぞれの立場で、養護学校に入学することへのためらい、サッカーチームを知ったことなどを率直に語る。カメラの前で語る両親を心配そうに見つめる陽子さんの表情は印象的だ。父、隆造さんが「きらっと光るものを伸ばしてあげたい」と語る言葉には、立場を越えて誰もが共感できるに違いない。そして、ドイツに応援に行った隆造さんが、「タカオに連れてきてもらったんだな」としみじみ語る言葉には、決して生きやすくはなかった家族と本人のこれまでの道のりが込められていて、思わず涙する人も多いだろう。他の選手たちも仕事への取り組み、虐められたことなどを率直に語る。ミーチングを重ねることで信頼を深めていく選手たち、出場できない、あるいは十分実力を発揮できない苛立ちを素直に表現する選手たち、恋人との結婚に思いを馳せる選手、どの選手の姿にもひたむきに青春を生きる爽やかさがある。そしてその姿は、夢を持つことと夢の実現のために努力すること、誇りを持って自分の信じた道を生きることの大切さを、私たちに教えてくれる。

ナレーションは寺田 農が担当。サッカーが大好きで、自ら率いるサッカーチーム(インポッシブルドリーム)で選手としてプレーしている寺田は、映画の趣旨を知り、自らナレーションを引き受けることを申し出た。またラストの希望に充ちた力強い音楽は、浜崎あゆみの編曲などで知られるユニットH∧Lが担当。やはり映画の趣旨に賛同して、この映画のために作詞・作曲している。なお、ヴォーカルは新人のK∧N∧が担当した。

「プライド in ブルー」は文化庁の製作支援を受け、日本ハンデイキャップ連盟を始め、(映画「プライド in ブルー」の製作を成功させる会)のサポーター、その他数多くの団体・個人の協力を得てかんせいした映画である。

INAS-FIDとは? 

国際知的障害者スポーチ連盟

Ⅰnternatiional Sports Federation For Persons with Ⅰntellectual Disabilityの略。知的障害者がすべてのレベル(競技からレクレーションまで様々な段階)のスポーツ活動に参加する権利を保障すること、及びスポーツによる知的障害者自身の成長と地域社会との交流(社会参加推進)の促進を目的として、1986年に設立された。本部はオランダにある。200年の時点で、正式加盟国は60ヵ国、準加盟国は26ヵ国におよび、知的障害者のスポーツ振興、講習会やセミナーの開催、国際競技規則の確立、記録の管理、知的障害者の社会参加推進など様々な活動に努めている。

INAS-FIDサッカー世界選手権大会とは?

1994年にオランダで初めて開催され、大会運営やいろいろな活動のなかで、知的障害者自身の成長と、地域社会との交流を目的とする。2002年に本大会より、オリンピックやパラリンピックのように、ワールドカップ開催年に同じ開催国で行われる。4年に1度の祭典となっている。

8月21日 朝日朝刊より

ひと   知的障害者サッカーの記録映画を撮った映画監督

中村和彦さん

初監督作品の劇場映画はAV男優の恋愛がテーマ。もとはラブストーリー志向の監督が、昨夏ドイツであった知的障害者サッカー世界選手権に出場した日本代表の記録映画「プライド inブルー」を企画、撮影。劇場公開にこぎ着けた。早大生時代に映画のとりこになり、知人のつてで映画界で働き始めた。中退届けを大学に送ったのは、映画の製作現場からだった。

サッカーに取り組む知的障害者を知ったのは、02年に日本であった前回大会。もともとサッカー好きだが、彼らの存在に気づかなかったことに衝撃を受けた。同時に、映画監督としても関心を抱き、「サッカー映画として撮ってみたい」と決心した。

撮り始めて痛感したのは、健常者との違いよりも「選手一人ひとりが個性を持った人間という点でまったく変わらないこと」。彼らをもっと知りたい、存在を広く知ってもらいたいと、大会直前に制作会社が決まるまで自費で取材を続けた。総撮影時間は200時間以上。合宿中にリポートを課せられた選手たちが漢字を思い出せずに携帯電話をつかって調べるシーンなど日常生活が強く印象に残る。私生活も追い、恋人と将来を語る選手の姿も。映画は各地で順次公開中だ。

青いユニホームは日本代表と同じ。「A代表ではなくても、一つの集団を代表した選手たちをちゃんと描きたい」。映画の題にはそんな思いを込めた。

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