ナベツネのオヤジさんは、さぞかし悔しがっていることでしょう。今シーズン、読売ジャイアンツ・巨人はセ・リーグ優勝を果たした。クライマックスシリーズでは、巨人は、リーグ優勝の祝勝会の酔いが冷め切らないまま、中日は、監督の落合が頭を丸坊主にして、文字通りチームを一丸化。双方、試合に臨んだ。結果、私の想像していた通りというか、案の定というか、巨人は中日にけちょんけちょんにやられた。
そして中日は、パ・リーグの日本ハムと日本シリーズを戦うことになった。昨日(10月29日)までは、中日の2勝1敗だ。これからが、楽しみですぞ。日本ハムだって、そう簡単には負けるわけにはいかないだろう。今シーズン絶好調のダルビッシュが控えているではないか。ダルビッシュは婚約中とかで私生活も充実している。未来の夫として、特に許婚にはいいところを見せたいところだ。沢村賞も獲得した。いけいけどんどんの、今は旬(しゅん)、真っ盛りの投手だ。
球場への来場者はどの試合も満タンらしい。さぞかし、参加チームの収益はいいのだろう、これからもどのように試合の勝ち負けが進むか解らないけれども、いい結果は間違いなしと推察できる。
書き込み(11月1日)=昨日、日本シリーズ第4戦。中日対日本ハム戦は、中日が4:2で勝った。これで中日の3勝1敗で、王手をかけたことになる。次はお待ちかねのダルビッシュ君の出番だ。ここで、ダルビッシュが中日にストップをかけられるか、楽しみだ。昨日も中日の中村紀が決勝打をはなった。中日が優勝したときには、きっと、落合監督とこの男が話題になるのでしょう。我輩も心の準備をしておこう。
ここで、私は余計なことを考えてしまうのです。何かにつけてうるさいナベツネさんが、オフになったら、又何かを言い出しかねないだろうと。クライマックスシリーズはよくないとか、止めようとか。あのオヤジから目を離せないオフになりそうだ。
2007 10 30 朝日朝刊 スポーツ面
EYE 西村欣也
落合采配 反骨と熟練と
04年の日本シリーズ前の出来事を忘れない。プロ野球界は再編騒動の嵐に巻き込まれていた。ペナントレース終盤には日本プロ野球選手会がストライキに突入する事態になった。セ・リーグは中日が首位に立っていた。監督は落合博満だ。
選手会総会に出席しようとしていた井端弘和を落合が引き止めた。何を言われるのか、と井端はわずかに緊張した。落合は静かに言った。「徹底的に戦って来い。日本シリーズがなくなってもいい。世の中にはそれ以上に大事なことがあるんだ」
選手が権力に押しつぶされることに我慢ができない。それは落合の人生観と重なり、今もぶれることはない。
そのシーズン、中日はリーグ優勝し、西武との日本シリーズに臨んだが、王手をかけながら3勝4敗で負けた。落合・中日は昨年も先勝しながら日本ハムに4連敗して、チャンピオンフラッグに届かなかった。中日は54年に日本一になって以来52年間シリーズを制していないことになる。
落合の反骨精神は04年当時と全く変わっていない。しかし、今年のクライマックスシリーズから日本シリーズにかけて、彼の野球にわずかだが、確かな変化が見える。
例えば、競った試合では、岩瀬を8回途中から投入する。第2ステージ巨人との初戦では、予想外の小笠原を先発させ、巨人ベンチを混乱させた。「奇襲じゃない。ローテーション通りだよ」。笑って言ったが、そうではない。短期決戦での戦い方を過去の敗戦から学び取ったのだ。シリーズ第2戦で大量リードの9回に中田を下ろし、石井、クルス、高橋をつぎ込んだのは、使える選手の見極めをする目的もあった。
落合監督のタクトが52年間の呪縛から中日を解放することになるのだろうか。