雪が溶けて川になって 流れてゆきます
つくしの子がはずかしげに 顔を出します
もうすぐ春ですね ちょっと気取ってみませんか
この陽気、キャンディーズの「春一番」の歌声が聞こえてきそうだ。蘭ちゃんら三人の可愛い顔がちらちら脳裏に掠(かす)め、私の顔にニンマリ線が走る。
弊社は、不用〈要〉になった中古住宅を取得して、間取りの変更、内装外装、トイレやキッチンを取り替えるなど、リフォームを施して再び住宅市場に流通させることを、主たる事業にしている会社です。中古の戸建住宅を年間を通じて、これだけのボリュウムをこなしている会社は、神奈川県内では弊社以外には、類をみないと自負しています。
先日のことです。20110304、AM11:30。
三浦市南下浦町(したうらまち)上宮田で最近、売主さんから引渡しを受けた中古戸建を、リフォーム前に見ておかなくてはイカンと思って、別件、横須賀市秋谷での打合せを終えてそちらに向かった。
その中古戸建の最寄の駅は京浜急行久里浜線・三浦海岸駅で、駅から徒歩15分、三崎口駅からも、同じぐらいで歩けると思いますよ、とは担当者・佐の弁。京浜急行が開発した整然と区画された分譲地内だ。土地、建物の大きさや外観は、どの家も似たり寄ったりで余り特徴的な印象はない。家の主(あるじ)はせめてもの、自分の家こそはとの思いから、奇抜な色で外装を施した家が、ところどころにあって、その程度がせめてもの特徴と言える。大概にして、どこにもある普通の街並みだ。
国道134号線を、三崎口駅を過ぎたところで、三崎に向かって左に折れた。
三崎口駅の周辺が、なんだか様子が変だぞと感じた。昼間なのに駅前周辺には人だかリができていて、その人たちが列をなして、脇の道を歩いていくのです。梅とは思えない樹木がところどころにあって、それが桜の木だと気づいたのは、少し時間が経ってからのことだ。花を愛(め)でている老人たちの視線は熱い。
私は、近所のオジサンから以前に河津桜のことを聞かされたことがあったので、この時期、ひょっとして、この赤みの帯びた花は河津桜なのでは、と思い当たった。河津桜の色は赤味を帯びたピンクなんだと教えてくれた。桜は、染井吉野のあの淡く薄いピンク色が、日本の代表として相応しいじゃないの、と生意気なことを言ったことも憶えている。帰途、三崎口駅に寄って、駅員さんにこの花は河津桜ですよねと確かめたら、よくご存知ですねと言われた。伊豆の河津ですよね、あの温泉のある、河津七滝とかもありますよね、ーーこれは私の発言です。
当該物件に向かって車を走らせた。三崎口駅から三浦海岸駅への線路に沿った道を走っていたのですが、桜見物の人びとがぞろぞろ、向かう人戻る人が路肩からはみ出していた。1キロメートル程は人間の数珠繋ぎ。小松ヶ池公園では茣蓙を敷いて酒宴を楽しむグループもいた。楽しそうだった。酒好きの私は、酔っ払いが突然道路に飛び出してこないか、と慎重にハンドルを握った。酔っ払いの人にこそ注意を払わなくっちゃ。同類相憐れむようなことが断じてあってはならない。
同じ時期に花が咲く河津桜と菜の花がセットになっていた。この光景は本場の伊豆の河津でも同じだ。どちらの河津桜の紹介写真も、この菜の花とのコンビだった。河津桜紹介の定番のようだ。
桜の花の盛りは過ぎてはいるが、まだまだ楽しめるようですから、足を運ばれては如何かなと、三浦市観光協会のオジサンになった心算で広報しているのです。
昨年、東京演劇アンサンブルのブレヒトの芝居小屋で観た坂口安吾の「桜の森の樹の下で」が、余りにも印象的な演出だったので、桜の花吹雪とその下で繰りなす男女の諍いを、どうしても思い出してしまった。皆さん、桜の下を歩いていて、気が狂わなくてもいいのですか、と途方もないことを言い出しかねない。このオヤジは危険だ。一時的にちょっとだけ、可笑しな人間になってしまったようです。気になさらないでください。
アホな私のことは放っぽらかして、皆さんは、どうぞ静かに桜の花をお楽しんでください。
河津桜は、1955年、静岡県賀茂郡河津町田中で原木が発見された。早咲きで、2月中旬に咲き出し、3月の初旬まで花を楽しめる。花が咲いている期間は、染井吉野などよりも長いように感じる。
桜の花に気をとられて、本業をすっかり失念してしまいました。下の写真が桜の花見の場所から少し離れたところで、弊社が今後、リフォーム後に販売する予定の物件です。いい物件ですから、弊社のホームページの販売物件欄を注意していてください。リフォーム後公開します。物件の詳しいことは弊社にお問い合わせください。外装は全面的にペンキの塗り替えをしますので、今度ご紹介するときには大変身しているでしょう。
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20110315、古新聞を整理していたら、20110306の朝日新聞で河津桜を報道している写真を見つけた。写真と記事をそのまま、ここに使わせてもらった。流石(さすが)、一葉の写真からでも、本場王者の貫禄のようなモノが感じられる。
静岡県南伊豆町の青野川沿いで、満開の河津桜と菜の花が共演している。写真=吉本美奈子撮影。暖かな春の日差しに包まれた5日、約800本の河津桜が並ぶ土手は菜の花の香が漂い、家族連れなど散策する人たちでにぎわった。