2017年10月28日土曜日

性懲(しょうこ)りもない

終戦後、無頼派とか新戯作派、デカダンと言われた人たちが、文学界に現れた。大学時代には、この手の人たちの作品を好んで読んだ。
太宰治、坂口安吾、田中英光、織田作之助、壇 一雄。そのなかで、関西で気を吐いた作家が織田作之助だ。壇 一雄氏以外は社会人になって全集を古本屋で購入した。
オダサクの作品で、記憶に残っているのは「夫婦善哉]「青春の逆説」だ。その「青春の逆説」を今再読中。
その本の中に、この「性懲りもない」が出てきた。
私も生家は京都と滋賀との国境(くにざかい)の小さな山村なので、この「性懲りもない」の意味はそれなりに理解できたけれど、果たして辞書等ではどのような説明がなされているのか調べてみた。
現在的な使い方ではなく、どちらかというと、江戸時代にはよく使われたそうだ。そんなことも調べて解ったこと。
余り皆さんに興味をそそらないかもしれないが、ちょっとだけは勉強になった。

・性懲りもない(しょうこりもない)
・性(しょう)もないない

★「性懲りもない」を類語辞書で調べた。
同じ過ちを繰り返しても、まったく改めようとしないさま。
類語、関連語、連想語を集めてみた。
懲りない、反省しない、後悔しない、学習しない。
この性もない、性懲りもないの性を「ショウ」と読ませたのは、江戸時代だそうだ。

★手元にある日本語大辞典(講談社)で、性(ショウ)を調べてみた。
①うまれつき。さが。たち。ひとがら。ー-ー気性、根性、本性、性分
性が合う。性の悪いやつ。苦労性。心配性。
②仏教で、物の本質。
③人の生年月日に五行を配し、その相性・相克で吉凶をきめるもの。
土の性。

・性に合う=他のある物事や人物に対して、生まれつきの性質や能力が、しっかり合う。

★この「性」は、「さが」とも読む。
①生まれつき。
なんぢが性のつたなきを泣け。(野ざらし紀行)
②ならわし。ならい。
浮世の性。

★「性」は「たち」とも読む。
「たち」は、「性分」と似たような意味合いで使われるが、「性分」よりも、その人が本来持っている性質、気質を強く表す。
①休日は家でじっとしていられないたちだ。
②父は怒りっぽいたちだ。