2018年8月20日月曜日

セーヌ川 汚名をすすげるか

こんな新聞記事に気を損(そこ)ねるな。
日本だって、酷(ひど・みにく)い若(も)しくは非道い公害問題が、彼方此方(あっちこっち)で、あったではないか。
私のような何も考えていなかった人間さえ、高校時代、未来への危惧を感じた。
この危惧を感じたということについて、冷静に漢字を与えたかったが、キグを思いたった時、私の頭に覚えがなかった。
島国の日本なんか、隣接した国にとやかく言われるもんじゃないだろう?
何とか、国内での約款を無理してでもやりぬけば、こんな恥さらしのようなことは起こらない筈だ。

純真な私は素直にそう感じた。
田舎育ちの厄介なことに、純真に理解したいと思っていた若者は、そんなに難しいことではない。
やらなければならない人、やらなければならない会社は、やるべきことをちゃんとやってくれれば、それでいいではないか。
簡単にそのように思っていた。

私が多少なりとも知っている公害で名をなした事項・事件だけでも列挙してみた。
明治11年、足尾銅山鉱毒事件(栃木、田中正造)
大正11年、神通川イタイイタイ病(富山)
昭和29年、ビキニ環礁水爆実験
  30年、森永同砒素ミルク事件
  31年、水俣病(熊本)
  32年、江戸川漁業被害
  36年、四日市喘息被害
  37年、サリドマイド薬害
      ベトナム戦争の枯れ草剤散布
  43年、カネミ油症(北九州)
  45年、スモン病薬害(北九州)
      光化学スモッグ発生(東京)
  48年、六価クロム汚染問題(東京)
  60年、薬害エイズ事件
  61年、チェルノブイリ原子力発電所事故
平成11年、東海村原子力臨海事故(茨城)


20180810 朝日新聞の記事を、そう気安く気楽に見過ごすわけにはいかない。
そんなことで、転載させてもらう。
朝日さん、悪(あ)しからず。
ーーーーーーーーーーーーー
セーヌ川汚名すすげるか
24年五輪 競泳会場



2024年パリ五輪の競泳会場になっている、エッフエル塔のたもとのセーヌ川=7月、パリ、疋田多揚撮影

汚水流入水面にはゴミ漂う
パリのセーヌ川で水質改善計画が進行中だ。1923年に市民の遊泳が禁止されてから、ほぼ1世紀。過去にも汚名をすすごうとしたことがあるが、挫折を味わった。2024年のパリ五輪の競泳会場に決まったことで、今度ばかりは後に引けないようだ。
(パリ=疋田多揚)


数々の名画やシャンソンの舞台になり、河岸がユネスコの世界文化遺産に登録されているセーヌ川。パリ市民や外国人観光客にとっての憩いの場だ。

ところが、河岸に下りると、水は緑色に濁っている。木くずやペットボトル、見分けのつかないゴミが水面を漂い、果ては自転車まで投げ捨てられている。

7月下旬、河岸で日光浴をしていたモード・メスニーさん(40)に話を聞くと、こんな答えが返ってきた。

「いくら暑かろうと、今のセーヌ川で泳ごうとは思いませんよ。病気になるにきまっている」

国の環境連帯移行省で、水質検査を担当するジュリ・ベルスレさんによると、全長780キロのセーヌ川で一番汚れているのが、パリ付近だという。

最大の原因は、汚水の垂れ流しだ。30万ほどある配管の約1割で、下水管が雨水管につながり、汚水がそのまま川に流れ込んでしまっている。ベルスレさんは「戦後直後に建てられた家に多い工事ミス」という。

さらに一部の配管では、悪天候時に汚水が管からあふれるのを防ぐため、下水と雨水が混じった水を川に流していることも、水質の悪化につながっている。船を浮かべて暮らしている人たちもいて、ここからも汚水が垂れ流されている。

こんな具合で、セーヌ川には、標準値以上の大腸菌などのバクテリアが繁殖している。ベルスレさんの説明が分かりやすかった。

「泳いで死ぬことはありえません。でも、胃腸炎になる可能性はあります」



「泳げる川」苦難の歴史
パリ市が水質の改善に取り組むのは、実は今回が初めてではない。

パリ市はシラク市長(後の大統領)時代の1984年、「清潔なセーヌ川10ヵ年計画」を打ち上げた。当時の市の担当者は「10年後のセーヌ川は、ほぼ澄んだ上体で流れることになる」と断言。シラク氏も90年に「3年後にきれいなセーヌ川で私が泳ぐ」と公言したが、実現しなかった。

そんなセーヌ川が、2024年のパリ五輪では、トライスロンや10キロのオープンウォーター(野外の競技)の会場に決まった。パリのイダルゴ市長は、「泳げるセーヌ川」にすることを市民に約束。24年に向けた行動計画を練っている。

計画に沿って、浄水場ではオゾンや紫外線を使った殺菌効果を試している。雨水をためるスペースを地下などに創ることで、汚水が管からあふれて川に流れるのを防ぐ試みも検討中だ。

こうした努力の結果、90年代には3種類しか生息していなかった魚が、現代は33種類まで増え、水質は改善に向かっているという。

五輪と競技会場をめぐっては、20年東京五輪のトライストン会場となった東京港区も、水質改善に取り組んでいる。パリ市は今年5月、「逃げる水質」をどうすれば実現できるかヒントを得ようと、港区と協定を結んだ。