2018年8月3日金曜日

染織話に感謝のお手紙をいただいた

今月の24日に「私の母は染色をやっていたんですよ」をブログした。

それは、弊社の経営責任者の中さんと、グループ会社で工事を担当している責任者の向と私が、長年色んな分野でお世話になっている人を含めて4人、横浜駅東口の立派なデパートの10階・飲食店街で、食事会を行った。

長いお付き合いをいただいている人(今後、文中ではこの人と表現させてもらいます)と、我らは腸(はらわた)や脳髄の何から何までを知り合った仲間だったので、その食事会は、そりゃ! そりゃ!!賑やかで華やかなものだった。
華やかだったと言っても、別嬪さんが参加するような、そんな趣(おもむき)、そのような種類の物ではなく、メインは話した内容やら話題の滑稽さだった。

いっつも感じるのだが、中さんと向と私にこの人が加わって杯(さかずき)を交わす時は、何故にこのように、気分が好いものになるのか? 不思議だなあ?と思えば、大いに不思議なんだが、不思議なんてこと無いよと思えば、極めて常識的で普遍的なものかもしれない。

色んな事が話題になったが、その一つ一つを今は、持ち出さないことでお許しください。
宴の後半、この人に貴方のお父さんは何をやっていらしたのですか?の質問に対して、父のお話を随分された後、母の話に移った。
母のことを、この人は「私の母は染色をやっていたんですよ」と皆に話しかけた。

その話を聞かされた時、私の多能な脳は? 敏感に反応した。
私の脳の大事な部分の全ての細胞が、矢が突き刺さされた様に激しく応じた。
驚天動地だ。

私の全霊は躍り上がり、全身がブルブル震えだした。
「え~、染色ですか?」
「染色だけではないのですが、染織家の志村 ふくみさんのことを、今、朝日新聞の文化・文芸欄で連載されていて、その文章に私は狂ったように夢中なんですよ」とまで言ってしまった。
訳も無く、解かったようなことを、気楽に話すものではないことを、誰よりも誰よりも知っている癖して、と自戒した。
そこで、私がこの数日間、朝日新聞で連載していた「染色家 志村 ふくみ」の記事を思い出した。
この時点、まだ染色とか染織のことを、全然、理解できていなかった。
先輩、すみませんでした! 
連載記事の、表裏の内容を事細かに理解していないことを恥じながら、あらかじめの話をするだけだった。私は私の表現のだらしなさが悔しかった。

そして、翌々日、この人に削ぎ落とした新聞記事を郵送した。
そしたら、その翌々日、この人からお礼の手紙をいただいた。
この人からの貴重なお手紙を、了解を得ることもしないで、このブログの最後に転写させてもらった。
すみません、こんなに礼儀の知らない若輩(じゃくはい)者です。

そこで、自ら反省したことがある。
弊社は、自らの会社で作り上げた中古住宅を、住宅を求めている人たちに、どういう媒体を使って、どの様に表現したら、よく解かってもらえるか、そんなことを会議を開いて考えている。
そこで、先ずは新聞や新聞に重ねられて宅配されるチラシ広告は、既に注目度は薄くなっていることに対する所為は何か?だった。
何か良い広告方法はないかと言うことだ。
そこで話題になるのが、国民の大多数が活字、印字などは見ないで、インターネットで情報を得ているようだということ。

私のような、本なる書房、印刷物が好きな人間はいかに、情報を得ているかということだ。私にとって、新聞こそ重大な訴求媒体だ。
でも、言葉、印字(印刷された文字)にも大きな意味があると思ってきた。
不思議なんだけど、表(おもて)意味と、よくよく考えなければならない裏(うら)意味だってあるだろう。
その裏意味を考えたがるってことが、誰にもあるだろう。
例え話や比喩的な話が、本題以上に面白く興味深いことに、よく出くわう。

その爽快な面白みを、私は大きく背負っていたくて、昔よく読んだ本、今でも易く買える古本屋のお陰で、この習慣が抜けない。



★追記。
この人から頂いた手紙を了解なくここに転写させてもらう。

謹啓
猛暑の砌、お元気でお過ごしの事と思います。
先日は大変楽しい会でした。
貴殿の博識な話をお伺いして、沢山の啓発を受けることが何よりの楽しみです。
有難うございました。
また、朝日の「染織家 志村 ふくみ」の連載をお送りいただき感謝です。
母の事を思い出しながら読ませていただきました。

志村さんはやはり芸術家ですね。
宮本憲吉や大岡信のアドバイスもさすがで、それをしっかり受け止められる志村さんも凄いですね。
母は私が小学校時代から90才近くまで紅型の草木染をやっていましたが、最初は御稽古事、その内作品が売れること、その後何人もの生徒に教える事でいつの間にかライフワークになっていました。
繊維会社の技術屋であった父が退職金はそのサポート 婦唱夫随でした。
今は兄嫁がその一部を繋いでいるようです。
レベルの差があれ、一生の手仕事は貴重ですね。
そのことを思うと、自分はサラリーマンを懸命に勤め上げ、今はゴルフや旅行、読書の日々は何となく物足りず、さりとて今から何かを始める気にもならず。
時折、気になったフレーズや現役時代の反省も含め書き留めることで後輩や息子へ伝わればと思っています。
貴殿のブログには及ぶべくもありませんが。
また、ぜひ楽しい会を楽しみにしています。
まだまだ猛暑が続きます。御自愛ください。

平成30年7月27日

山岡 保様