横浜総合競技場で16日開かれたサッカーのトヨタ・クラブワールドカップで、Jリーグの浦和レッズが「世界3位」の座を射止めた。3位決定戦でアフリカ代表のエトワール・サヘル(チュニジア)を下した。2-2で前後半終了、PK戦を制し3位をものにした。この試合を最後に浦和を離れ、母国ブラジルへ移籍するワシントンが2点を奪う活躍を見せた。ここまで、1回戦ではイランのセパハンに3-1で勝ち、2回戦(準決勝)では、イタリアのACミランに0-1で負けて、3位決定戦に駒を進めてきたのです。 ACミランは決勝戦において、ボカ・ジュニアーズ(アルゼンチン)に4-2で優勝。欧州代表のクラブが優勝したのは初めてだ。 浦和レッズの対ACミラン戦の健闘振りについては、立派だと思う。また日本のサッカーがまだまだ上位に望みをつなげられることを見せてくれたことには感謝している。でも、じゃ。ここで、じゃ。私がここで言いたいのは、ACミランに負けたことを惜敗だと報道されていたことについてなのです。とんでもない力の差があることを、記者は表現しなければならないのに、たまたまスコアーが1点の差だからといって、目がくらんではいけない。浦和とACミランでは、まずは基本的なボールタッチが格段に違うのです。少し、サッカーをかじった者ならば、すぐに分かるものなんですが。それから、長身のプレーヤーが爆発的な加速で走る、球扱いも速く、正確。アイデアが多彩で、相手の能力を引き出す能力やゴールへの執念が格段に違うのです。鍛えられた体とボディバランスにはほれぼれとさせられた。何もかもが、こんなに違うのです。この違いの差はとてつもなく大きいのです。だから、その辺りを深く掘り下げた報道内容にして欲しかったのですが、残念ながらそのような記事はなかったが、浦和レッズの長谷部 誠が朝日新聞のスポーツ欄でいいこと言っているので、その記事を転載させていただいた。アスリートは謙虚だ。今後の活躍を期待したい。
私ごとだけれども、昭和47年、私が所属していた大学が4年生の時の大学選手権(インカレ)と関東大学選手権の2冠を制した。補欠ながら半分ぐらいは試合に出場させてもらった。いずれの祝勝会においても、私は先輩、同輩、後輩に必ず言い続けていたのです。「私のような者が試合に出て優勝するようでは、大学のレベルは低すぎる。だから、もっともっと、頑張っていい試合をできるように頑張ろう。お前ら、今後も命がけで頑張ろうや」っと。競技者は、いつも相手と自分等を分析、全体の理想のイメージをつかむことが大事なのだろう。
逆境から挑む〔朝日朝刊・スポーツ欄〕
浦和レッズ 長谷部 誠
ミラン戦 高いレベル、慣れてきた 16日に終わったクラブワールドカップの3位決定戦で、エトワール・サヘル(チュニジア)に勝ってシーズンを終われたのは大きかった。3位と4位とでは大きな違いだ。J1最終節で優勝を逃しただけに、大会にかける思いは強かった。悔しい思いをさせたサポーターにも、納得してもらいたかった。刺激になったのは、準決勝の欧州王者ACミラン(伊)との対戦だ。やはりすべてにおいてレベルが高かった。守備ではプレスのかけ方、位置取りが良く、こちらのパスのスピードが遅いと、すぐにカットされた。攻撃でも一人ひとりが強く、うまい。驚いたのはブラジル代表のMFカカだ。よくプレースタイルが似ていると言われるが、じかにピッチで見ると、これまで見た選手とレベルが違った。浦和で一番背が高いFWワシントンと並んでも変わらないくらい大きい(身長186センチ)のに、ものすごいスピードでDFがぶちぬかれた。ドリブルの際、球をとられないためのボールの置き方、体の使い方は参考になった。ただ、我々も守備はある程度通じていたと思う。球を持った相手に対しても、数人で組織的に守ればチャンスは与えなかった。攻撃でも、ゴール前の精度は欠いたものの、速攻から好機を作った。最初から飛ばしたので、最後の方は体力が残っていなかったが。改めて感じたのは、強いチームとでもやっていくうちに、そのレベルに慣れて順応していくということだ。力の差は大きいと思うが、何回か戦えば、ミランにだって勝てないことはない。試合後、ミランの選手とユニホームを交換しなかった。もともとそういうことにはあまり興味がない。相手をリスペクト(尊敬)しているが、同じピッチで戦っている同じ選手なんだ、という思いがあるからだ。