2009年7月6日月曜日

まるまるとまるめ

瀬戸内寂聴さんの本「おしゃべり草子」(中央公論社)を読んでいたら、面白い和歌の紹介があった。この歌は後ろの方に記した。

昨今、殺人事件が絶えない。バラバラ殺人事件ぐらいでは、驚くこともなくなった。年がら年中殺人事件だらけ、猫灰だらけだ。百年に一度の大不況、貧富の差がついたと言われている、それらが反映してか、金品を狙っての事件が多い。恨みつらみ、痴情の果ての殺し合いなら、まだしも理解できるのですが、この頃は、理解に苦しむ事件が多過ぎる。一週間ほど前、男子高校生が同じ学校に通う、かっては友人だった高校生の最近の態度が気に食わぬと電車のホームで包丁で刺し殺した。包丁は2,3日前にホームセンターで買って用意しておいた。殺した高校生は「腹が立っていた」と供述。また2,3日前のこと、大阪此花区のパチンコ店にバケツに入ったガソリンを持ち込んでばら撒き、火を点けて、4人が亡くなった。犯人は、生きているのがつまらなくなった。人が混み合っている所なら、どこでもよかった。誰でもいいから殺したかった、と供述しているそうだ。

与党・自民党の不人気な麻生首相は、解散総選挙をダラダラ引き伸ばし、政策もブレ放しで、そんなこと言ったことはありませんとかなんとか、すっきりしない首相だ。かたや民主党の方は、頼りない小沢党首を鳩山新党首に変えても、またもや新党首に資金管理団体の虚偽記載が判明した。わが党だけは、絶対清廉なのだ、という党が何故、産まれないのでしょうか。前の党首の非を第三者委員会で調査したにもかかわらず,いい加減に処理を済ませ、きちんと総括しなかった前幹事長=新党首ならではの、今回の失態だ。鳩山さん、次期の総理大臣を狙っているのでしょ。気を引き締めて、再度身体検査が必要のようですな。下半身の検査も序にしてもらった方がいいのでは。政権交代だ、政権交代だ、と何度大声張り上げても、これじゃ、国民の信は得られない。

そして、今は梅雨真っ最中。経済指標にちょっと薄明かりが見えそうだと言われているけれど、まだまだ景況は土砂降り状態だ。

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すっきりしない天気と、土砂降りの経済と、殺人が絶えない暗澹たる社会。

そんな世の中で、偶然見つけた文字の並びに、ホット一息つきました。

江戸時代の木喰行道(もくじきぎょうどう)(1718~1810)の作品だ。歌集「青表紙歌集稿本」より。

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まるまるとまるめまるめよわが心

まん丸丸(まるまる)く丸(まる)くまん丸(まる)

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みる人の心をまるくまん丸に

どこもかしこもまるくまん丸

唯心心の月をまん丸に

いつもすずしき十五夜の月

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木喰行道と自称して、全国を廻国修行する大願を立てた。旅の行く先々で、後世、木喰仏と呼ばれる微笑仏を彫り続けた。荒削りな細部を略した様式の微笑仏は、素朴で個性的で、一目で木喰仏とわかる。

木喰行とは五穀を断ち、木の実を食べて生命をつなぐ苦行をすることで、真言宗の宗派の行である。

(『寂庵だより』「今月のことば」1996年10月)より、拝借させていただいた。