2010年9月15日水曜日

宗教って一体なんだ?

20100918の朝日新聞の朝刊の記事をダイジェストした。宗教が、こんなに人を狂わせてどうするんだ。

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(パキスタン中部のムルタンで9日、コーラン焼却計画に対し、星条旗を燃やして抗議する人たち。=ロイター)

米同時多発テロから9年になる今月11日に合わせ、米国フロリダ州ゲーンズビルの小さなキリスト教会が、イスラム教の聖典『コーラン』を燃やすと宣言した。イスラム世界からは猛烈な反発が広がっている。オバマ米大統領や、国連の潘基文(バンギムン)事務総長、各国の首脳、著名人らは、この運動を批判、火消しに躍起になっている。

人びとの幸福、精神の安寧に、それ以上に重要な役を担う宗教が、何ゆえに、こんな馬鹿なことをしでかそうとするのか。人間の罪を償うために神からつかわされた救いの主であるキリストを信じるキリスト教が、そのキリスト教の教会の牧師が何んでまた、こんなことを主張しはじめたのだろう。宗教戦争じゃあるまいし。

私が親近感を持つ仏教は、チベットのラマ教は、ヒンズー教は?それじゃものみの塔は? 宗教、それも宗教家が人間を、人間の苦しから救うどころか、揉め事に火を点け油を注ごうとしているのだ。

人口12万人の街で日ごろ、教会の集会に参加するのは50人足らずの小さな教会だ。

この教会の牧師は、「イスラム教は、ウソの塊である」「イスラム教は悪魔の教えだ」と言ってはばからない。インターネットを通じてコーランを持ち寄るよう訴え、これまで約200冊以上が集まったという。

米国のあちこっちでイスラム教の施設に焼夷弾やレンガが投げ込まれたり、イスラム教徒が多いニューヨークのタクシー運転手が襲われた。

これらの事件のきっかけは、同時多発テロの現場の一つ、ニューヨークの「グラウンド・ゼロ」の近くに持ち上がったイスラム系施設の建設計画だ。完成時期の見通しはたっていないが、約100億円の資金でモスクのほか、講堂、プール、展覧会場を兼ね備えた13階建てのビルを建てる予定だ。

だから、頭にきてイスラム教の聖典「コーラン」を焼こうというのか。

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コーランとは

イスラム教の聖典。預言者ムハンマドが610年から亡くなる632年までの間に神から受けた啓示をまとめたもの。114章からなり、啓示の時代順ではなく、長い章から先に配置されている。天地創造や終末などの世界観、道徳や倫理などの規範から相続や刑罰など法的な規定まで含む。もともと、声に出して読まれるものを意味し、アラビアア語の韻律の美しさが人間業を超えるものとされる。このため、ほかの言語に訳したものは聖典と認められない。

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20100918

朝日

天声人語

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ハリウッド映画にテロリスト役で出た中東出身の俳優を、同僚記者がかって取材した。この俳優は撮影中、ある場面の削除を製作側に申し入れたことがあった。旅客機の乗っ取りに成功して朗々とコーランを読み上げるシーンだった。9・11のテロが起きる前の話である。

人権団体の助力もあって台本は変更され、完成した映画にそのシーンはない。「なぜ悪人とイスラム教をすぐに結びつけるのか」と、俳優は憤っていたそうだ。米社会のイスラム教への偏見はかねて根深い。テロの後、憎悪ともいえる感情となって渦巻いたのはご承知の通りである。

それでも聖典のコーランを集めて燃やす話は、聞いたことがない。フロリダ州のキリスト教会が、テロから9年になる11日に計画し、波紋が世界を駆けている。イスラム世界には激しい抗議が広がり出した。

信者は50家族ほどの小教会だが、世界に向けて「コーランを燃やせ」と呼びかけてもいる。「書物が焼かれる所では、ついには人間も焼き払われる」。ドイツの詩人ハイネの言葉を引くなどして欧州からも非難が上がっている、

テロの」のあと、米国でイスラム系住民は不穏な空気にさらされた。ニューヨーク大の教授は、「社会が自由や寛容を失ったら、それこそテロリストを勝利させることになる」と案じていた。憎悪が憎悪をあおる愚挙は、まさに思うつぼだろう。

『悪魔の辞典』のピアスによれば、宗教とは希望と恐怖を両親とする娘だっそうだ。不寛容という乳母の手で醜く育った娘は、いずれであれ世界を不幸にする。