2010年9月12日日曜日

一皮むけそうだ、ザッケローニジャパン

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(グアテマラ戦、前半12分、ヘデイングで先制点を決める森本)

(朝日朝刊・20100908・スポーツより写真拝借)

サッカー日本代表が、南アフリカW杯大会を経て、ここにきて、やっと、一皮むけそうな気配が感じられた。先日のキリンチャレンジカップで、4日にはパラグアイと7日にはグアテマラと戦った。親善試合と言えどもともに勝ったことは有意義なことだ。若い選手が溌剌としたプレーを見せてくれた。

南アW杯大会に現地入りしてからも、岡田監督が悩み抜いたのは、攻撃力をこの場に臨んでどう生かせばいいのか、その策はいかなるものか、全てはそのことばっかりではなかったかと想像できる。

その時に、思いついたのが本田のトップでの起用と阿部のボランチ起用だった。本田は慣れないポジションではあったが、ボールをキープできた。タメができたお陰で、その間に、他の選手が何らかの動きができたのだ。遠藤、長谷部、阿部、松井がボトムアップ。これを「日本の形」と新聞では言っていたが、誰がどこのポジションにと言うことではなく、ゴールが奪える形のイメージを、誰もが頭に刻み込んだようだ。朝日新聞の潮智史編集委員はこの「日本の形」を支えていたのは、速い攻守の切り替え、ハードワーク、積極性、球際の激しさだとまとめていた。その通りだと思う。

そして、今回のキリンチャレンジカップでの2戦においては、原博実技術委員長が監督代行の形で采配を揮った。次期日本代表監督に決まったザッケローニ氏が就労ビザの遅れで指揮がとれないなか、委員長は多くの選手を試した。次期監督にも、色んな選手を見てもらいたかったのだろう。若い選手が育っていて、若い彼らの技術とイマジネーションを加えて、「日本の形」の進化を究めていくことだろう。

数的優位。

勝つためには、敵を欺く奇抜なアイデアや、ファンタスティックな技術はそりゃ、あればそれに越したことはないのは当たり前だが、それよりも先ずは、数的優位を作り出すことから、始めるのが、定石だ。この定石が、今まではできていなかったのだ。

そのためには、ボールを保持している選手は敵をかわして抜く、ボールを保持してない選手はマークを外すことだ。風変わりなフェントで抜く松井に内田、スピードの変化と突出力では香川、長い距離をタフに持ち込める長友、駒野、テクニックも備えた彼らが数的優位を作り出した。中盤でカットできる阿部や細貝が、相手が守備を固める前に攻撃をしかける。これは数的優位の考えから言えば、滅茶苦茶大いなるチャンスが生まれる。

数的優位のなかで、他の選手が前、横、斜めに動き、相手守備をかく乱する、それと同時にフリーのスペースを確保するための動きを、重層的にする。狭いエリアでの素早い、一次攻撃、二次攻撃、三次攻撃を仕掛ける。このような動きに頭脳的に反応する中村憲と遠藤。冷静に勇敢な長谷部。一所懸命な岡崎。この攻撃陣を後ろで支えるために、全員が上がって層を厚く、こぼれてきたボールをキープする、ボトムアップ作戦だ。

タメが作れてキープ力がり、体力的にも外人相手に絶対負けない本田と森本。ゴール前でのボールのコースを読める森本。今回の試合のように、森本のワントップが、今では一番いい形だろう。

若者が育ちつつある。

中澤と闘莉王に代わる選手を私は待ち望んでいた。今回は、彼らに代わって槙野と岩政が元気の良さを見せ付けてくれた。岩政は以前から注目していたのですが、槙野のことは今回のプレーを初めて見たが、旬だ、若さなんだろう、楽しそうにプレーしていたのが印象的だった。中澤と闘莉王もそう簡単には、ポジションを手放さないだろう。私にとっては、安心だし楽しみだ。

育ちつつある多士済々なプレーヤーが、やっと「日本の形」、点が取れる形のイメージを共有し出した。タメと数的優位、これしかない。

ここまで、サッカーの日本代表は成長してきた、次に期待したいのはザッケローニ監督のヨーロッパ基準の指導力だ。