2011年11月16日水曜日

巨人は永遠に破滅しました

巨人内紛 代表が反旗

面白い事件が起こった。わが意を得たりだ。

以下の新聞記事を読めば私の心模様の如何を、私が何を言いたいのか、いとも容易(たやす)く想像してもらえるだろう。さすが、新聞記事は巧く書かれて敬意を表したい。朝日新聞の商売相手は読売新聞だ。話題を取り上げるのに多少の遠慮もあっただろう。礼を失してはいけない。間違った報道はしてはいけない。

記事の中で、大所高所、識者たちはいろいろ意見を述べているが、今回の事件は、誰が考えても渡辺恒雄氏が可笑しい。これが可笑しくなくて、この世で、何が可笑しいことがあろう。

さりとて、清武さんを擁護する心算もサラサラない。この人も可笑しい。

読売は血迷っている。この最高権力者を糺(ただ)せる人物が社内にいないようなら、もう読売は終わりだ。可笑しいのは二人だけじゃない、桃井氏も原氏もだ。巨人球団は破滅している。

スポーツをこよなく愛する私にとって、スポーツをただの興行としてしか考えないナベツネ氏が、これ以上、この界隈にはべることは、実に不愉快だ。スポーツの本質を理解できない好々爺が、権力を振りかざし、バカなことを言ったり、仕掛けたり、もう老害しかない、とんでもない文化の破壊者だ。

スポーツは、厳しい練習に不断の努力で鍛え抜いたアスリート、熱い視線で見守るファン、裏方でを支える関係者が、長年に亘って培ってきた公の文化財なのだ。

繰り返す。スポーツは文化なのだということを、露の一滴も理解できない人は、この聖なる域から去るべきだ。

 

備忘のためにあえて追記しておく。下のどの件においても、ナベツネの鶴の一声が発せられ、混乱を招き、結果多くの野球ファンを失望させた。

★江川の空白の一日問題  ★ドラフト制度に逆指名システム導入と裏金騒動  ★FA制度、巨額複数年数契約によるトレード横行  ★ドラフトの希望枠採用  ★2004年の球界再編成騒動  ★東日本大震災を受けての開幕延期問題  ★横浜の身売り

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(会見を終え、席を立つ巨人の清武英利代表=森井英二撮影)

 

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朝日新聞・朝刊

巨人内紛 代表が反旗

プロ野球・読売巨人軍の清武英利球団代表兼ゼネラルマネジャー(GM、61)が11日、都内の文部科学省記者クラブで記者会見し、渡辺恒雄球団会長(85)がコーチ人事を独断で翻すなど会社の内部統制とコンプライアンスを破った、とする声明を発表した。球団幹部が内紛を記者会見で公表するのは極めて異例。

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(会見で涙を拭う巨人清武英利代表 11日午後、東京都千代田区、西畑志朗撮影)

異例の声明

清武代表によると、渡辺氏は来季のヘッドコーチについて、留任が内定していた岡崎郁コーチ(50)を降格させて江川卓氏(56)を招く交渉を独断で進めた。さらに、渡辺氏はコーチ人事を了承済みだったにもかかわらず、報道陣に「俺は何も報告を受けていない」と事実と違うことを話した、などとしている。

清武氏は「プロ野球界のオーナーやGM制度をないがしろにするだけではなく、コーチや選手を裏切り、ファンも裏切る暴挙」と、渡辺氏を強く批判。

「不当な鶴の一声で、巨人とフプロ野球を私物化するような行為は許せない」と語った。辞任する意思はなく、解任された場合は法的措置をとることも示唆した。

清武氏は記者会見の直前にも、渡辺氏と携帯電話で30~40分間にわたって話し、「チームの信頼を根底から覆すのはやめてほしい」と訴えたが、岡崎コーチの降格は止められず、会見に踏み切ったという。

 

社長が反論 渡辺氏は沈黙

これを受け、巨人の桃井恒和オーナー兼球団社長も記者会見し「(清武氏の)会見を球団の誰も知らなかった。代表取締役たる私の知らないところでああいう形でやったのは、逆にコンプライアンスという意味でとんでもない」と話した。コーチ人事については「クライマックスシリーズ第1ステージで負け、会長としては状況は変わった、見直しが必要と言う判断だったと思う」と語り、「(渡辺氏は親会社のトップで、不当な一声ではない」とした。清武氏については「当面、今やっている仕事をやってもらう」と話した。

渡辺会長は11日、記者会見を開いたり、コメントを発表しなかった。

また、江川氏は「話は来ていません。ヘッドコーチになることは絶対ありません」と話した。

 

声明の要旨

11月9日に渡辺氏から「1軍ヘッドコーチは江川氏とし、岡崎ヘッドコーチは降格。江川氏との交渉も始めている」と言われた。岡崎氏を含むコーチ人事などは、10月20日に桃井オーナーとともに渡辺氏に報告して了承も得ていた。にもかかわらず渡辺氏は11月4日、記者団に「俺は何も聞いていない」と全く事実に反する発言をした。

もし、自分が了承したことを忘れているなら、渡辺氏は任に堪えないということにもなりかねない。忘れていないというのなら、自分も報告を受けて了承し、契約締結にも着手されていた人事を、オーナー兼代表取締役社長を飛び越えて、鶴の一声で覆したことになる。

これはプロ球界のオーナーやGM制度をないがしろにするだけではなく、コーチや選手、ファンも裏切る暴挙。コーチや選手との信頼関係を基盤とする球団経営の原則、プロ野球界のルールに関わることだ。

読売巨人軍にも内部統制と健全な企業体質、コンプライアンスが要求される。それを破るのが、渡辺氏のような最高権力者であっては断じてならない。不当な鶴の一声で巨人軍、プロ野球界を私物化するような行為を許すことはできない。

 

繰り返された「鶴の一声」  西村欣也(編集委員)

ある意味では「コップの中の嵐」だ。言葉は適切ではないかもしれないが「自爆テロ」という見方もできる。巨人・清武英利代表の突然の渡辺恒雄球団会長を批判する会見だ。

会社において、人事の内示は内示であり、変更されることは多々ある。それを記者会見を開いて、この時期に発表する意図は理解できない。

しかし、この声明の中に真実が隠れているのも事実である。

巨人という球団は清武代表が暴露したように、渡辺球団会長の「鶴の一声」で動いてきた。2004年もそうだった。オリックスや西武と組ながら、無謀な球界再編に突き進んだ。労組選手会と世論がタッグを組んでこれを阻止した。だからこそ、楽天という新球団が生まれ、今のパ・リーグ人気がある。

今年もそうだった。まず開幕問題だ。大震災に配慮し、電力問題もあったため、選手会が「開幕延期」を主張したのに、全く耳をかさずに、強行しようとして、世論の猛反発にあった。これは、清武代表、あなたも同罪だ。

横浜のベイスターズの身売り問題でも渡辺会長は暴走した。TBSホールディングスがDeNAと交渉しているのを記者団に明かし、いかにも自分が球界を動かしているという印象を世間に与えた。

今回、江川本人は「話はきていません。僕は巨人入団時に小林繁さんに迷惑をかけました。だから、今回名前があがったことはありがたいですが、岡崎氏に迷惑をかけてヘッドコーチになることは絶対ありません」と言う。

身内から「王様は裸だ」という声が出たことで、球界が変わっていけば、と思う。

 

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(読売新聞本社を出る巨人の渡辺恒雄会長=11日午後8時56分、東京都中央区、関口聡撮影)

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朝日・朝刊

渡辺会長談話(要旨)

清武巨人軍専務の声明および記者会見は事実誤認、表現の不当、許されざる越権行為および私に対する名誉毀損が多々あるので、私の立場から正確に事実を説明する。

私が大王製紙やオリンパスの経営者と並ぶコンプライアンス違反をしているとあるが、両社のケースは巨額の金銭の私物化や経理の不正操作に関する刑事犯罪的事案で、巨人軍の人事問題とは次元が異なる。同列に扱うのは読売新聞社、巨人軍、私個人に対する著しい名誉毀損で謝罪を求める。

私の一存で桃井社長からオーナーを剥奪したというのも著しい誤伝だ。今年6月に滝鼻オーナーの最高顧問就任にあわせ緊急措置として桃井君をオーナーに任命した。シーズ後に読売新聞グループの白石代表取締役社長や新聞社幹部、桃井君と相談し、白石君のオーナー就任を内定した。ただ桃井君のこれまでの功績と権威を損なわないよう代表取締役とし、白石君は私と同じ平取締役だ。この人事は将来的に私が巨人の経営から身を引き白石君に新聞本社と球団のパイプ役をゆだねる意図で、桃井君も事前に了解している。”清武声明”はまことに非常識で悪質なデマゴギーだ。

清武君については新聞社、球団内から批判がある。尊大になった、決断力がないなどの報告を聞き、GMは適任ではなかったと思った。今年の「清武補強」もほとんど失敗した。原監督も事前連絡なしに勝手な補強に不満だったようだ。GM制は監督からの提案で、何人かあがった候補は「オビ・タスキ」で、最後に原君が「清武さんでもいい」と言ったのでGMにしたのが実情だ。

江川君の起用構想は監督からの提案。岡崎ヘッドコーチとの関係もあるので「助監督」と考えたが、私の思いつきであり社内的な手続きはとっておらず、江川君と何の接触もしていない。この企業機密を清武君が公表したので、”江川助監督”を直ちに実現することは困難になった。

今回の清武君の行動は、会社法355条の「取締役の忠実義務」違反に該当すると思う。しかし、記者会見の直前に彼から電話でGMの仕事はさしあたり続けたいとの要望があったので、これは了承した。今後の対応は本人の反省次第であり、現時点ではただちに処分を求めるつもりはない。

会社法355条(忠実義務)=取締役は、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行わなければならない。