2018年10月2日火曜日

遺言手続きが法改正した

昨日(20180930)の朝日新聞の記事に「遺言手続き 法改正で円滑に」の記事が載っていた。

遺言書のイラスト 11400961

今春に、義母の持つ京都府向町市の住宅の持分を、娘2人と息子の3人で相続するための、遺言書を公証人に作成して貰ったことがあったので、条件反射的、この記事に注目した。
だから、遺言書作成について、公証役場の公証人の存在と仕事の進み方については、熟知している。
公正証書遺言とは、公証人が遺言の法的有効性をチェックし、公証役場に保管してもらうことを言う。
チェックを受けるため、遺言そのものが無効にならないことや、紛失、偽造の危険がないメリットがある。

ところが、私が経験した公証人による遺言書作成ではないが、「自筆証書遺言」に関して、改正があったとの新聞記事だ。
このことは、現在の私の仕事の上でも大事なことなので、この記事を下に転載させてもらった。


★新聞記事は下記の通りだった。
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民法の相続に関する規定が約40年ぶりに改正されました。
家族の形が変化し、相続争いが増えたことなどに伴うものですが、円満な家庭が相続に備えやすくなる改正もあります。
ポイントを順に見ていきましょう。

まず、「自筆証書遺言」に関する改正です。
自筆証書遺言は一人で手軽に作れる遺言書で、筆記用具と印鑑があればよく、費用もかかりません。
半面、全ての文章を自筆で書く必要があり、途中で間違いが生じたり、法律上求められる方式に従わず遺言が無効になったりするケースがありました。

改正後の来年1月13日からは、遺言の本文だけを自筆で書けば、財産目録についてはパソコンで作った財産リストや不動産の登記事項証明書、預金通帳のコピーなどを別に添付する形でも認められます。
ただし、財産目録の全ページに署名押印が必要です。

自筆証書遺言を法務局で保管する制度もできます。
2020年7月13日までに始まる予定です。

封をしていない遺言書を住所地や本籍地などの法務局に持参すると、日付の記載もれや押印もれなど、方式に不備がないかの形式的なチェックを行った後、原本とデータ化した内容を法務局で保管してくれます。
遺言書の紛失や変造のリスクがなくなり、故人の希望が実現されやすくなります。

従来の自筆証書遺言は、遺言者の死後、相続人が家庭裁判所で「検認手続き」を行う必要があり、公正証書遺言と比べ手続きに時間や手間がかかりました。
法務局で保管された自筆証書遺言は、検認手続きが不要になります。

当面の生活費などに充てられるよう、遺産分割協議前でも、相続人が故人の預金を一定額まで払い戻せる「預金の仮払い制度」も創設され、相続手続きがよりスムーズになります。

相続人同士の関係が良好ではない場合に備え、「配偶者」の住まいを守る仕組みもできました。

婚姻期間20年以上の配偶者に自宅が生前贈与や遺言で残された場合、自宅は遺産分割の対象から除かれます。
配偶者が自宅を相続できなくても、例えば、遺産分割協議がまとまるまでは無償で住める「配偶者短期居住権」や、相続税の課税対象にはなるものの、生涯無償で住める「配偶者居住権」といった権利も創設されています。

相続トラブルを解決しやすくなる改正も行われています。

従来は、亡くなった方から相続人への全ての生前贈与を遺産に合算し、遺留分(遺言がある場合の取り分)を計算しましたが、改正後は、原則過去10年間の生前贈与に限られます。生前贈与の有無による争いは減りそうです。

相続人以外の親族が無償で故人の介護をしていた場合は、相続人に金銭の支払いを請求でき、長男の妻などの苦労に報いる手段もできました。

今回の改正を機に、相続税への備えに加え「もめない相続」についても家族で話し合っておくのが理想的です。

(ファイナンシャルプランナー・税理士 福田真弓)