2018年10月2日火曜日

本庶佑京大教授にノーベル医学・生理学賞


佑氏は説く、常識を疑う大切さを

10/1(月) 20:40配信
BuzzFeed Japan
ノーベル医学・生理学賞を受賞した本庶佑・京大名誉教授が10月1日夜、記者会見で受賞の喜びを語った。本庶氏は自らの研究に対する姿勢を問われると、好奇心と「簡単に信じないこと」の重要性を強調。「(科学誌の)ネイチャーやサイエンスに出ているものの9割は嘘で、10年経ったら残って1割」と語り、自分の目で確かめることの大切さを説いた。【BuzzFeed Japan / 吉川慧】




冒頭発言「自分の研究、意味があったと実感」(全文)
この度は、ノーベル医学生理学賞をいただくことになり、大変名誉なことだと喜んでおります。

これはひとえに、長いこと苦労してきました共同研究者、学生諸君、様々な形で応援してくださった方々、長い間支えてくれた家族、本当に言い尽くせない多くの人に感謝致しております。

1992年の「PD-1」の発見と、それに続く極めて基礎的な研究が新しいがん免疫療法として臨床に応用され、そしてたまにではありますが「この治療法によって重い病気から回復して元気になった。あなたのおかげだ」と言われる時があると、私としては自分の研究が本当に意味があったと実感し、何よりも嬉しく思っております。

その上に、このような賞をいただき、大変私は幸運な人間だと思っております。

今後この免疫療法が、これまで以上に多くのがん患者を救うことになるように、一層私自身もうしばらく研究を続けたいと思います。

世界中の多くの研究者がそういう目標に向かって努力を重ねておりますので、この治療法がさらに発展するように期待しております。

また、今回の基礎的な研究から臨床につながるような発展というようなことを実証できたことにより、基礎医学分野の発展が一層加速し、基礎研究に関わる多くの研究者を勇気づけることになれば、私としてはまさに望外の喜びでございます。
研究で大事なのは「自分の目で確信ができるまでやる」
会見では、報道陣から「研究にあたって心がけていることやモットーは」と問われる場面も。

本庶氏は著名な科学誌「ネイチャー」と「サイエンス」を挙げてこう語った。


私自身の研究(でのモットー)は、「なにか知りたいという好奇心」がある。それから、もう一つは簡単に信じない。

よくマスコミの人は「ネイチャー、サイエンスに出ているからどうだ」という話をされるけども、僕はいつも「ネイチャー、サイエンスに出ているものの9割は嘘で、10年経ったら残って1割だ」と言っていますし、大体そうだと思っています。

まず、論文とか書いてあることを信じない。自分の目で確信ができるまでやる。それが僕のサイエンスに対する基本的なやり方。
つまり、自分の頭で考えて、納得できるまでやるということです。

子どもたちに育んでほしい「不思議だなと思う心」
将来、研究者の道に進む夢を見る子どもたちに、どんなことを伝えたいか。

本庶氏は、こんなメッセージを語った。
研究者になるにあたって大事なのは「知りたい」と思うこと、「不思議だな」と思う心を大切にすること、教科書に書いてあることを信じないこと、常に疑いを持って「本当はどうなっているのだろう」と。

自分の目で、ものを見る。そして納得する。そこまで諦めない。

そういう小中学生に、研究の道を志してほしいと思います。


あくまで「自分の目」で確かめて納得することの大切さを重んじる、本庶氏らしいメッセージだった。