2019年4月25日木曜日

アイヌ新法案成立



20190420(土)朝日新聞・朝刊、1面にて、
「先住民族であるアイヌ人々」明記
アイヌ新法成立
のタイトルの記事を見つけた。
下記は新聞記事そのもののを転載させてもらった。
左院本会議場の傍聴席で、アイヌ新法の成立を喜ぶ
北海道アイヌ協会の加藤忠理事長(前列左)ら。
=19日午後0時8分、岩下毅撮影


アイヌ民族を法律上初めて「先住民族」と位置づけたアイヌ新法が19日、参議院本会議で可決され、成立した。
アイヌ文化を守り育てる施策を国の責務と定めたことに「一歩前進」という評価がある一方、土地や資源など先住民族としての権利に触れていないなど課題も残す。

「先住民族であるアイヌの人々」。
新法の第1条はこうした表現で始まる。
アイヌ民族にかわる従来の法律と大きく異なる点だ。
差別禁止を明記し、アイヌ施策を国や自治体の責務とした。
民族の儀式や文化伝承を目的にした国有林の利用、サケの採捕などに特例措置を設けた。

政府が公式に「先住民族」と法律で認めたことは評価する声も多い。

参議院の傍聴席では、北海道アイヌ協会の加藤忠理事長(80)が何度もうなずきながら笑顔を見せた。
一緒に成立を見守った協会の人たちと握手を交わしながら、喜びを分かち合った。

加藤理事長は「泣いています。うれしくて。北海道旧土人保護法からアイヌ文化振興法、そして今の新法へと、抱えきれないような苦しみと悲しみの歴史があり、長い時間がかかった」と話した。

だが新法の目的はあくまで文化や経済、観光の振興。国連の「先住民族の権利に関する宣言」に盛り込まれ、アイヌの人々が長年求めてきた「先住権」は明記されず、生活や教育の支援も含まれなかった。

国は北海道白老町に「民族共生象徴空間」を整備しており、来年4月にオープンする。
来年の東京五輪・パラリンピックを見据え、政府の先住民族政策をアピールする狙いもある。

こうした国の姿勢に反発する人々もいる。
新法に反対するアイヌ民族の団体「コタンの会」代表の清水裕二さん(78)は「生身のアイヌを観光の飾り物にすることは賛同できない。
学校でアイヌの歴史や文化をきちんと教え、生活支援を考えてほしい」と訴える。

(芳垣文子、松山尚幹)



★Wikipediaの文章を頼りにした。
アイヌは、北海道を主な居住圏とする先住民族である。
独自の文化を有する。
かっては北海道だけでなく北は樺太、東は千島列島全域、南は本州北端にまたがる地域に居住していた。
21世紀初頭の現在、日本国内では北海道の他に首都圏にも広く居住している。
昨夜、テレビではっ首都圏に住むアイヌの人々が寄り集まって、この法案が国会で成立したことを、肩を組み顔を見合わせて喜んでいた。
母語はアイヌ語。

アイヌは、元来は物々交換による狩猟採集民族。
文字を持たない民族であったが、生業から得られる毛皮や海産物などをもって、アムール川下流域や沿海州、カムチャッカ半島の地域で交易を行い、永くオホーツク海地域一体に経済圏を有していた。

1855年2月7日(安政元年)の当時のロシアア帝国との日露和親条約での国境線決定ににより、当時の国際法の下、各々の領土が確定した以降は、大半が日本国民、一部がロシア国民になった。
2018年12月、ロシアのプーチン大統領は、クリール諸島(北方領土を含む千島列島)などに住んでいたアイヌ民族をロシアの先住民族に認定する考えを示した。

★「ウタリ」の本来の意味は、アイヌ語で人民・親族・同胞・仲間であるが、長年の差別の結果、「アイヌ」という言葉に忌避感を持つ人が多いことから、アイヌを指す言葉として用いられることがあり、行政機関の用語としてもでも長年使われてきた。



1986年9月24日のこと、中宗根康弘総理大臣はいわゆる知的水準発言の謝罪会見の際に「アメリカは多民族国家だから教育が容易でなく、黒人、プエルトリコ、メキシカンなどの知的水準がまだ高くない。日本は単一民族国家だから教育が行き届いている」という趣旨の教育に関する発言を行った。

アメリカから厳しい批判が起こったが、これは黒人やラテン系の知的水準が低いとの旨は人種差別ともとられかねない発言であるからで、この時点では日本国内での反発は少なかった。
ただし、アメリカでの批判には「単一民族社会が複合民族社会より優れているという考え方自体が、最も悪質な人種差別である」との表明が含まれていた。

中曽根はその釈明の中で「日本は単一民族だから手が届きやすいという意味だ」および「日本国籍を持つ方々で差別を受けている少数民族はいない」と国会で発言し、この発言が国内からはアイヌ系などから強い反発を受けた。



同年10月21日にアイヌのウタリ協会などの団体から「単一民族発言はアイヌ民族の存在を無視するもの」という抗議を受けた。規制緩和によりアイヌ民族の伝統的なサケ漁や、祭事に使う木材の伐採を後押しする。これまでは北海道庁などへの届け出が必要だったが、手続きを簡素にする。