2008年10月11日土曜日

金木犀

今の季節。朝の犬の散歩や、仕事で各地各所の住宅を見て歩くなかで、どこからともなく金木犀の香りがしてくる。甘い香りに、しばし、歩を止めてうっとりすることがあります。でも、この金木犀の香りが子供の頃は嫌だった。胸糞悪い気分になって、その場から急いで遠ざかったものです。化粧厚めの女性の臭いのように感じたり、爛(ただ)れた臭い、退廃した臭い、不健康で不衛生な臭い、だらしない臭いのように感じて嫌悪した。

匂い=良いにおい

臭い=悪いにおい

私が30歳の時、中古住宅を手に入れて、大工さんに増改築してもらうのに、庭の金木犀の大きな木をどうしても切らなくてはならなかったのです。大工さんや工務店の社長さんは、切るのはモッタイナイので、なんとか切らないで、希望のスペースを確保できないものかと、思案してくれたのですが、私は何の躊躇いもなく伐採抜根してもらった。最後の最後まで、大工さんは金木犀の木を切ることに抵抗した。私が30歳の時ですから、もう30年も前のことです。その時は、まだあの強い臭いが嫌いだった。

それから、30年経った。そんな私だったのに、どうしたことだろう。今は、金木犀の香りにうっとりするなんて。何がどのように変わったのでしょうか。

こんな話を友人たちに話すと、やっぱり私と同じように、子供の頃は嫌いだったが大人になるにしたがって、気づかないうちに好きになった、という人が意外と多いことが解った。

でも、春に咲く沈丁花(じんちょうげ)の臭いは未だに好きになれない。また、この花の臭いも、いつかは好きになるのでしょうか?

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キンモキセイ〈金木犀〉

ギンモクセイの変種、中国南部が原産で江戸時代に渡来した。秋になると小さいオレンジ色の花を無数に咲かせ、芳香を放つ。芳香はギンモクセイよりも強い。雌雄異株であるが、日本では雄株しか入っていないので結実しない。中国では丹桂と呼び、花を白ワインに漬けたり〈桂花陳酒〉、茶に混ぜ花茶にしたりする。(ウィキペディア)より