2014年2月12日水曜日

メダル、メダルと言いなさんな

 

オリンピックという檜舞台で活躍するアスリートたちを、甚(いた)く尊敬している私にとって、昨今のテレビの実況中継を観ていて、腹立たしくなったのでこの稿を起こした。今、開催中のソチオリンピックのテレビ報道のことだ。

キャスターが、オリンピックは決して国対抗の大会ではないのに、阿呆の一つ覚えのように、ニッポン、日本と、日本を取り立てて持ち上げる。またメダルだ、金だ銀だ銅だと叫ぶ。

これから始まろうとする競技の出場選手に対して、彼ならば絶対金メダルが狙えますよとか、オリンピックごとに順位を上げてきているので、今回はメダル間違いないですよ、といとも気楽に語っているのを耳にすると、無性に腹が立ってくるのだ。

ゲストとして呼ばれた元アスリートの解説者が、言葉を選んで競技の内容について、選手の個性について、他の選手についても詳しく説明している側(そば)で、馬鹿騒ぎしている光景にムカムカするのだ。

いつもは聞き流していた開会式の国際オリンピック委員会のバッハ会長のスピーチを、今回は私にも余裕が生まれたようで、ネットでも見つけて吟味した。バカ騒ぎをしている連中は、このスピーチの一つ一つの言語を確認して欲しい。中でも私が気に入ったところを抜粋させてもらった。

これほどのスピーチを、あなたはどれ程の覚悟を持って聞き入りましたか。私には、感動を受けた幾つもの言葉があった。

アスリートたちの崇高な挑戦を前に、どうか、馬鹿か阿呆にはならないでください。

 

(以下、開会式のスピーチのダイジェストです)

オリンピックスポーツは人々を結びつけるものです。競争相手に敬意を払うことで、更に素晴らしい勝利を目指すことが出来ます。

競争相手同士も寛容な心を持って、いかなる理由による差別もなく、一つ屋根の下で仲良く暮らすことが出来ます。

競争相手であっても、相手に耳を傾け、理解し合い、平和な社会のお手本となることが出来るのです。オリンピックの目的は常に人々を結びつけ、架け橋を築くことです。

オリンピックは、人々を分断する壁を作るのが目的ではありません。

オリンピックは人々の多様性と絆を受け入れるスポーツの祭典です。ですから、世界の政治指導者にこう申し上げます。国民のアスリートを支援してくださっていることに感謝します。かれらは国の最高の選手たちです。敬意、寛容、卓越、平和という選手たちのオリンピックメッセージを尊重してください。意見の違いがある場合には、選手の後ろに隠れるのではなく、平和な直接的な政治対話によって解決する勇気を持ってください。

大会関係者やスポーツファンには、こう申し上げます。ェアプレイを目指す私たちの闘いに参加し、サポートしてください。

オリンピックのアスリートたちにはこう申し上げます。ルールを尊重してください。フェアなプレイをしてください。禁止薬物を使わないでください。競技中でも、競技の前後でも仲間の選手たちに敬意を払ってください。オリンピックの経験が喜びにあふれた素晴らしいものになることを願っています。

 

スポーツを愛する賢明な人たちよ、アスリートの活躍をじっくり楽しもうぜ。