2014年2月26日水曜日

森さんは、後悔していますよ

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以前、この私のブログ=「メダル、メダルと言いなさんな」で、ソチ五輪に出場するアスリートの崇高な挑戦を前に、どうか馬鹿かアホな観衆にはならないでください、と訴えた。開会式のバッハ会長の開会の辞に感動し、今の日本の、メダル、メダルとテレビ番組ではしゃぐ野郎に警告したのだ。

危惧したとおり、案の定、その大馬鹿者がやっぱり現れた。その馬鹿者とは、何と、あろうことか、2020年に東京で開催が決まった五輪とパラリンピック組織委員会の会長に就任したばかりの森喜朗元首相のことだ。

バッハ会長はこのソチ大会の開会の式辞のなかで、世界の政治指導者に、スポーツは、国別の対抗ではないと申し上げます。国民のアスリートを支援してくださっていることに感謝します。かれらは国の最高の選手たちです。敬意、寛容、卓越、平和という選手たちのオリンピックメッセージを尊重してください、と述べた。

我が国の元首相でもあった馬鹿・森は、スポーツの本質のほんの一部も理解できない男だ。

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20140220 朝日・社会

SP当日練習で左手を差し伸べる浅田真央選手=山本裕之撮影

中盤のステップで、浅田は切なさそうに遠くを見つめる。一度視線を切ってから、今度は天(亡くなった母)に届けと、左手を上に向って伸ばす。

 

以下は、馬鹿・森の発言を記事にしたものだ。20140221の朝日・朝刊の社会面の記事をそのまま引用させてもらった

2020年の東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の森善朗元首相が20日に、福岡市での講演会でフイギュアスケート女子の浅田真央選手のショートプログラムでの演技について

「頑張れと思って見てたら、見事にひっくり返ってしまった。あの子、大事な時には必ず転ぶんですよね。何でなんだろうな」と述べた。

また、団体で日本が5位になったことについても「あれは出なければよかった。浅田さんが3回転半をすれば、ひょっとしたら3位になるかもしれないという気持ちで浅田さんを出したが、見事にひっくり返った」とも述べた。

さらに「団体戦も惨敗を喫し、その傷が浅田さんに残っていたら、ものすごくかわいそうな話だ。負けるとわかっている団体戦に浅田さんを出して恥をかかせることはなかった」とも語った。

 

確かに、この馬鹿・森の発言通り、浅田真央選手(23)はショートプログラム(SP)で、冒頭のトリプルアクセル(3回転半)ジャンプで転倒、残りのジャンプでも精彩を欠いた。散散(さんざん)、まさかの16位。浅田選手を応援している人々の間からどよめきが起こった。

でも、この時のどよめきって奴は、決して失望ではなかった。この口軽で馬鹿な森には解らないだろうが、真央ちゃん、大丈夫、前を向いて頑張って、と激励のどよめきだったのだ。

SPが終わった夜、浅田選手に佐藤信夫コーチの叱咤激励の雷が落ちた。そして、翌日のフリー当日の練習でもやはりジャンプ練習はさえなかった。その間にも、佐藤コーチからは厳しい言葉で励まされた。表情はさえないとテレビは報道していた、が、そんなことはない、そんなことはない、と私は念じた。

そして、やっぱり、さすが浅田選手、馬鹿・森発言の翌日、日本時間21日の未明、失意のどん底から立ち直って最高の演技を見せた。見せてくれた。見事だった。テレビの前で、涙、涙。パジャマの袖が涙でぐじゃぐじゃ。サッカーのゴールした時のように大声を出したかったが、そうもいかず、ただただ、涙を流した。よかった、よかった。馬鹿・森の馬鹿ぶりを見事に証明して見せた。

曲は、ロシアのロマン派音楽を代表する曲の一つ、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番、あらゆる時代にも最も人気のある協奏曲だ。トリプルアクセルを綺麗に決めて、後のジャンプもきっちり、全6種類計8度の3回転ジャンプを華麗に跳び、142.71点と自己ベストを更新した。完璧な演技で、10人抜きで6位に入賞した。トリプルアクセルは、前回のバンクーバー五輪では計3回成功しており、2大会連続の成功は女子では初めての快挙だ。

演技の中ほどから、場内には観衆の手拍子が起こった。この手拍子の音源にしても音量にしても日本人の応援団だけではないなあ、と思った。会場の多くの人たちが、浅田選手の氷上の舞に魅了されるがままに、手を打っていた。ロシア人は、当然地元の選手を熱烈に応援しますが、他国の選手と言えども、いいものには徹底的に、賛辞を贈るんですよ、と外務省の元官僚がラジオで話していた。

メダルには届かなかったが、それはたいした問題ではない。あきらめない心、可能性に挑む勇気の大切さを、この大健闘は教えてくれたのだ=20140222 日経 春秋より。

世界のスケーターが真央ちゃんに賛辞を贈った。その内容を20140222の日経新聞で見つけたので下にその記事を転記させてもらった。

フィギュアの「皇帝」と呼ばれ、ソチでも団体で金メダルを獲得したロシアのエフゲニー・プルシェンコ選手は、浅田選手がフリーで成功させたトリプルアクセルを賞賛し、「真の戦士」と投稿した。

長野五輪で銀メダルに輝いた米国のミシェル・クワンさんはSP後「悲痛」と顔文字付きで書き込んだが、20日の会心の演技後は「永遠に忘れられないパフォーマンス」と喜んだ。

ソルトレークシテイー五輪王者のロシアのアレクセイ・ヤグディさんも「泣きたくなるほど素晴らしい」とたたえた。

五輪で2回銀メダルを獲得したカナダのエルビス・ストイコさんは、メダリスト3人にひと言づつ触れながら「私にとって今夜の主役は浅田真央だ」と記した。

 

25日、帰国後の記者会見で、浅田選手は馬鹿・森発言について、「私は別になんとも思っていないですけど、森さんが今、少し後悔しているのではないかと思います」。会場は爆笑に包まれたそうだ。