2014年4月1日火曜日

お前さんに言いたいことがある

昨日20140330、これまでの約15年間、公私にわたって、時には厳しく時には優しくお付き合いをしていただいた前後さんから電話を受けた。経済人としても敬愛している方だ。彼は、ちょうど1年前まで、東証1部の上場会社の社長さんだった。今は相談役か顧問をなされている。会社は、映画の配給から不動産、レストランなどを手広く運営している。

唐突の電話で、現在癌で入院しているんだと話された。ご無沙汰をしていることを詫びようともじもじしているうちに、耳に入ってきた言葉が余りにも衝撃的な内容だったので、私の頭は混乱した。病気が食道癌だということ、医師との話し合い、手術の仕方、術後の施療の内容に、パニ(ッ)クったまま、私は鎮まらない。

ヤマオカさんにはちょっと話したいことがあるんだ、と病院名と面会時間を教えてくださった。これって、見舞いにおいでよ、ということだなあと理解した。電話の内容を側で聞いていた経営責任者の中さんは、ヤマオカさんは前後さんに、随分可愛がられているんですね、見舞いに来いよというのは珍しいですよ、と微笑んだ。

電話を受けて直感した。彼は自らの罹病のことを身内以外には、イの一番に私に話さなくてはならない、と思いつかれたようだ。彼には、私の生活態度が、不摂生、不養生の権化そのもののように映っているのだろう。酒は毎晩きちんと酔っ払うまで鱈腹飲み、それに一人暮らしのいい加減な食生活、不良老人め! いい歳になったというのに、お前さん、大丈夫か? 過信は禁物だよ、と叱咤されるだろうと身構えた。

そして今日20140331、午前中の月曜日定例の営業会議を終えて、定食カレー(月曜日の会議後の昼飯は、社長が作ったカレーを全員で食うことになっている)を食って、前後さんのお見舞いにでかけた。一日も早い方がいいと考えたからだ。

ナース室で聞いた病室に足を踏み入れると、奥様と何やら楽しそうに話されている声が聞こえてきて、内心、ホッとした。余計な気遣いもなく、無理なくご挨拶できた。溜飲。心配事は瞬時にパッと消えた。食事を摂れなかった日もあったようで、少しは痩せられた。だが、元気、元気のおお元気。おお安心して、おお安堵した。

ヤマオカさんには、どうしても、一言注意したかった。今回の病気で知り得たことだが、お酒を飲んで顔が赤くなる人は、特に癌に注意しなくてはならない、らしんだよ。このことをあなたにはどうしても言いたかったのだ、と。

その後、一通り病状の説明を受けてからは、矢継ぎ早に、現在の会社のこと、自分が信奉する経済人で詩人・歌人のこと、会社のスタッフや外部の友人たちのことを、一所懸命に話されたのを、私は嬉しく受け応えさせてもらった。

奥さんは傍で静かに聞き入っておられた。どうして、癌患者と見舞い客がこんなにまで熱く語れるのか? こんな奴らはどうかしているんじゃないの? とでも思われたかもしれない。

それにしても楽しい病気見舞いだった。