2018年11月15日木曜日

癇酒好きのやっかみ?

20181114の朝日新聞の「天声人語」を転載させてもらう。

今回の文章の最初は、「癇酒(かんざけ)好き」で始まって、「今年の気象状況」になり、最後には「ビール」だ。
私の好みと、今年の気象が余りにも激しかったことが原因だろう。
こんな文章なら、やはり私のポケットに仕舞いたいと思ってもしょうがない。

たまたま今読んでいる五木寛之氏の「知の休日」(集英社新書)で、酒に余り悪酔いしないで、それなりの気分を味わうためには、1杯の杯を3分かけて飲むと、その後の飲酒に好(い)いとあった。
五木氏は随分お酒好きの人だと思っていたが、それなりの知恵がお持ちだった。

今夏、始めの頃から終わりにかけて、激しい雨風の伴う台風に日本列島の彼方此方(あっちこっち)で襲われた。
夏の気温は圧倒的に暑く、今、秋の終わりにかけても、気温は下がらない。
出社帰社の徒歩で楽しみにしている保土ヶ谷公園の数々の樹木が、その風で枝は枝と喧嘩越しに叩き合い、葉は葉と殴り合った、結果、葉は枯れたように焦げ茶色になってしまった。
紅葉を楽しみにしていたのに、何とも情けない光景だ。

天声人語では、稚内でまだ初雪が見られないと書いてあったが、この天声人語を読んだ翌日に、偶然、初雪が北海道の各所で観測された。






★天声人語
癇酒(かんざけ)好きのやっかみかもしれないが、冷酒(ひやざけ)がもてはやされすぎている気がする。
だからこういう文章に出会うと、うれしくなる。
「『欄』という手数の加わることが、日本酒の席の気分を、何かフクザツな、味のあるものにしているのではないだろうか」。

作家の小田嶽夫(たけお)さんの随筆である。
コップでぐいぐい飲むのと違い、癇酒は「小さい杯でゆっくり飲むからこそ、酒を楽しむ時間が長く持てる」。
当方は夏でも燗を楽しむ口だが、やはり寒くなりかけの秋が一番いい。

例年ならそういうことなのだが、今年はどうも勝手が違う。
11月も半ば近いのに、あたたかな日が続く。
最近の1週間を平年と比べると、列島の広い範囲で平均気温が2度以上高かったという。
エルニーニョ現象の影響で暖冬も見込まれる。

北海道ではきのうの夕方までに、初雪が観測されていない。
稚内でまだ降らないのは、統計を取り始めた1938年以来初めてだという。
「暖房費の節約になる」という声の一方で、「スキー場はいつ開けるのか」との心配も聞こえてくる。

きのうの東京都心では、コートを着ている人をほとんぞ見かけなかった。
ワイシャツ姿の人もちらほらいた。
木枯らしのあとに訪れるとうれしい小春日和だが、今年は毎日のように、そんなあたたかさがある。

まだまだビール日和だという方もおられるか。
過ごしやすい日が続くのはありがたい。
しかし夏の異常気象を経験したばかりの身からすれば、少し心配にもなる11月である。