先の衆議院選挙で自民党が大敗して、逆に言えば民主党が大勝して、その後自民党の総裁選では谷垣禎一氏が選出されて、やっと、28日国会が開かれた。初日、鳩山由紀夫首相の所信表明演説に対して、各党の代表質問が始まった。トップバッターは自民党の谷垣禎一総裁だった。
質疑の内容については兎も角、ここで話題にしたいのが、自民党のシラケ具合が余りにも酷(ひど)過ぎることだ。私は、私なりに自民党が糞根性丸出しで、なりふり構わず矢(や?)るのでは、と期待していたのです。谷垣総裁の質問にも、お利口で上品で頭のいい人なのはよくわかるのですが、野党の党首としての迫力が余りにも無さ過ぎる。衆議院選挙大敗の総括をきちんとして、自党の目指す国づくりの方策を練り上げて、この国会に臨む戦略を構築したのだろうか。民主党に対抗できるだけの案を作成したのか。否、なあ~んにも、党内論議をやってないのではないのか、そのように思われた。やっと議論をぶつける正念場に差し掛かったというのに、何よりも、自党の総裁が代表質問の座についているのに、聞き入る同僚議員の真剣の無さ希薄さが、丸々テレビ画面に映し出されて、視聴する側をウンザリさせた。元首相の、森、安倍、福田に麻生らの間抜け面(づら)がひな壇状に並んでいた。
国会議事堂の上空にも、私の頭の上にもシラケ鳥が、シ~♭~ラ~♯~ケ~、群れ飛んでいる。
そして昨日、29日のこと。仕事で川崎区高津区の野川に行くために、田園都市線の宮前平駅からタクシーに乗ろうとして、構内乗り場で客待ちの車のウインドウーをコブシで叩いたが、運転手が私の存在になかなか気が付こうとしない。思い切り強く叩いて、やっと気付いた運転手は、恐縮して平謝りした弁解の内容は、自分の不注意と言うよりも、ラジオで聞いていた国会中継の内容にいささか頭にきていたようで、そのことが恰(あたか)も気が付かなかった原因のように、ベラベラ喋りだしたのでした。
まずは、タクシーの利用者が、この1,2年で俄然減ったことを嘆いた。土曜、日曜は全く客はいません。遊びにはタクシーを使ってくれません。ビジネスで急いでいる人以外は乗ってくれません。そんな不景気の折、何ですか、あの国会での討論はどういうことなんですか。白けちゃってますよね。自民党は、腐ってしまいましたね。民主党も、可笑しいですよね、政務三役はよく働いているようだけど、なんですか、あの小沢という奴の威張り腐った態度と、鳩山のいう友愛は、本当に本気なんですかね。不安ですな。
民主党は開催される各委員会での審議の過程を公開して、民意を汲みながら民主的な手法で進めようとしているんですよね、小沢さん、鳩山さん。これって、民意を諮(はか)るってことでもあるんだよね。でも、その気はあるようだが、そのようでもなさそうだ。
今やっている国会の与野党の攻防も、あれは国会の討論になってないですよ。そりゃそうですよ、政権党が変わったのですから、与野党が噛み合わないのは当たり前ですよ、と運転手に言っても運転手は腑に落ちないようだった。
自宅に帰って、夕刊の新聞を読んで、また驚いた。谷垣総裁は、初めての党首討論で、気負ったのか、動転したのか、元々変な奴なのか、この聖なる国会で、禁忌、避けなければならない言葉を発した。過半数を大いに超した民主党の議員の野次や拍手が整然と行われ、大いに気分を害したのだろう、頭にきた谷垣総裁は、突然、民主党議員の集団を、「ヒットラー・ユーゲント」になぞらえた。ヒットラー時代のナチス党内の青少年組織だそうだ。良識派の谷垣総裁が、質問の最中に頭に浮かんだ言葉を、口から漏れ出すままにストップがかけられなかったようだ。
こりゃ、なんちゅうこっちゃと、思った。が、直ぐに民主党の最大の実力者である小沢一郎幹事長の顔が脳裏にちらつき、言葉選びは賢明ではなかったが、谷垣総裁が言いたかった本意は、なんとなく理解できた気がした。小沢をヒットラーだとは決して言ってはいませんので、ご理解をお願いします。民主党の新人議員に対して、小沢幹事長は、高級官僚を30年もやってきた人たちにさえ、君ら1年生議員の仕事は、政務ではなくて、選挙と国会?だと叩き込まれているのです。だから指導者に従ったまでのことなのです。
この民主党も危険千万だ。今後、要注意ですぞ。