2009年12月13日日曜日

年末恒例、朝日&住生の創作四字熟語

今の時季、朝日新聞の天声人語では、恒例で下のような類の小文を著している。毎年、楽しみにしているのです。この一年の世相を振り返って、住友生命が創作四字熟語を募るのです。

その創作熟語を利用した天声人語の文章の巧みさに感心させられてきた。マイノートに書き留めておきたいと、そのときは思いついても、ついつい忘れてしまう。世知辛い年末なのに、今回は、マイコンピューターに保存して置く機会が持てたことに感謝する

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20091211

朝日・朝刊

天声人語

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有権者の抜きはなった刃が日本の政治を袈裟懸(けさが)けにした。これぞ「一票両断」。住友生命が募った年の瀬恒例の創作四字熟語に、一年を振り返る名作迷昨が多く寄せられた。

寒空の炊き出しで今年は明けた。派遣切りや雇い止めで仕事を失った人々が「断雇反対(だんこはんたい)」を叫んだ。夏の選挙で永田町はひっくり返る。「政権好待(せいけんこうたい)」が実現したが、、新政権の「鳩世済民(きゅうせいさいみん)の手腕はいかに。

新型インフルエンザが上陸すると、店頭からマスクが消えた。日本中が「顔面蒼白」となって、来訪の外国人も驚いた。うつされてはたまらないと、通勤電車も人ごみも「一咳触発(いっせきそくはつ)」でピリピリする。予防したくてもワクチンは足りず、切歯扼腕(せっしやくわん)ならぬ「接種待腕(まつわん)」がなお続く。

高速道路の「千円」は功罪が半ばした。喜々として「遠奔千走(とおほんせんそう)」する人もいれば、「千車万列」の大渋滞にプロの運転手は泣かされ、客をとられた鉄道も船も泣いた。暦の魔術で初の「秋休五日」(シルバーウイーク)となったものの、どこもかしこもやはり渋滞。

司民参加」の裁判員制度が始まり、「判官判民」の裁きに市民感覚がにじみ出た。白昼の天体ショーは「皆祈日食」で晴天を待ったが悪石島は無情の雨。米国では旅客機が川に奇跡の不時着。「一機冬川(いっきとうせん)」の機長の離れ業が喝采を浴びた。

この人を忘れてはいけない。石川遼君めあての「一目遼戦(りょうせん)」のギャラリーでゴルフ界はわいた。国宝の阿修羅像展も長蛇の盛況となり、多くの人が「阿美共感(あびきょうかん)」した。ゆく年に、忘れ得ぬあのまなざしが、ふと胸をよぎる。