2011年6月18日土曜日

100,000年後の安全

20110615(水)  15:10。

映画「100,000年後の安全」

監督・マイケル・マドセン

キネカ大森

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15日は水曜日。弊社の営業部の定休日だ。午前中は仕事をして、午後は映画鑑賞ってことに洒落込む心算だったのですが、鑑賞という気分にはなれなかった。が、いい勉強にはなった。

東京電力福島第一原子力発電所が、東日本大震災で発生した津波によって、事故を起こした。正確には、事故を起こして、今尚、事故の真っ最中だ。今回の事故はタダモノではない。制御がきかない。結果的に、大気中や海に、放射性物質を撒き散らし続けている。

原発事故の危険性に日本国民はおろか、地球上の全ての人々の心臓が止まりそうになった。3・11から最早、3ヶ月を過ぎても、事故を起こした原発は治まってくれない。まだ、半年やそれ以上、水で冷やし続けなければ、危険はなくならない。この間、注意を怠ってはいけない。困ったことだ。

こんな危険な原発を、発生する廃棄物もまた危険千万なやっかいものなのに、その処理方法を見いだせないまま、世界中で見切り発車、稼動させてしまった。このやっかいな廃棄物を10万年安定した状態で保管できれば、その廃棄物は生物に対して安全なものになる、そのための保管場所を作っている。これについての映画だ。

ちょっと、待ってくれ。地球上で今から10万年前と言ったら、どんな時代だったのだ。20万年前、ホモ・サピエンスの祖先といわれるネアンデルタール人が出現し、2万数千年前に絶滅している。ならば、人間の10万年後なんて、想像の域を遥かにビヨンドだ。そんな時代にまで、安全な状態で保管する、ウ~ン、解らな~く~な~る、ワイ。でも、フィンランドのこの施設は、本気で10万年後までは安全に保管してみせるぞ、との意気込みで取り組んでいる。

二酸化炭素を発生しないから環境にやさしい、と表向きのいいことばかりの音頭に踊らされ、政管民一体になっての安全神話キャンペーンが、大嘘だった。この電源、よっぽど安価に手に入るのだろう。詳しく、知らされないままの市民。国を分けての熟議も討論もなしに、原発は次々と建設された。

私も恥じ入っている。仕事仲間や家族や友人と酒を飲んでいるときには、30年も前から超脱原発派なのに、酔いが醒めるとともに、日和見的に成り果ててしまう。あれほど、原発の恐ろしさについて口角泡を吹き飛ばしていたのに、どうなったんだよ、オジサン。人間失格、こんなことでは、イカンぞ、と思う。豊かな未来に向かって、再び、怒りをもって、脱原発に立ち戻ることを、宣言する。

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映像の内容は次のようだった。

フィンランドでは、この高レベル放射性物質の最終処分場を、オルキルトに建設中だ。この施設が「オンカロ」と呼ばれる。この施設に関するドキュメンタリー作品だ。

地上では、自然的人為的に何が起こるか予想がつかない。そんな予想もつかない危険な場所には、このような施設を建設することはできない。ならば、固い岩盤の地下500メートルに地下都市のような巨大な施設を作ろうと決定し、今進行中だ。地層処分という言葉を使っていた。2020年に運用開始を目指している。

内容は、この施設の計画に携わった研究員らの発言と、建設現場の様子がほとんどだ。先ずは高レベル放射性物質の危険性の説明があり、安全な状態になるまでの10万年は安定した状態で保管しなければならないこと。かって、建造物で10万年の10分の1も、保持されたことがない。

研究熱心で何に対しても興味をもつ人間が、10万年経つ前に、掘り起こしたりしないためには、文字で絵画で、色々仕掛けで注意を促す必要がある。絶対、この処分場には人を近寄らせてはならない。

作業現場では、硬い岩のあっちこっちにダイナマイトを発破させながら、掘り進められている。