小沢一郎、元民主党幹事長。岩手4区で衆院選14回当選の実力議員だ。
幹事長時代に自党の金を自由に遣って子飼いを増やし、その可愛い子飼いたちに囲まれながら、実力者として、小沢グループなる郎党を組み、何かをやらかしてくれるのかと期待をしても、聞こえてくる話題は政事ではなく、内紛の火起こしばかりだ。
東北地方、宮城、岩手、福島の3県は、東日本大震災の災害で大変な事態だ。地震と津波、それに東京電力福島原発事故による放射性物質の拡散が続いている。
この危機、国難を勇気と英知を結集して危機を乗り越えなければならない、と小沢一郎氏は公式ホームページで述べている。が、果たして、小沢氏が言う国難に対して、まして生まれ故郷で選挙地盤でもある岩手県、東北地方が困っている状況を、誰よりも解っている筈なのに、何を、どのように、政治的な行動をしたのだろうか。今こそ、小沢氏の働き時だ。
有史以来の困難な事態にもかかわらず、小沢氏は仕事をしていないなあと思って、どうにも不愉快な気持ちでいたら、私の憤懣を朝日新聞の編集委員の星さんが、一人小沢氏だけの問題ではなく、民主党の問題として著してくれた。
我が意を得た、この文章をこの欄に拝借させてもらうことにした。
20110629 今日は弥生台から天王町の会社まで歩いた。距離としては12~14キロメートルあるのだろうか、3時間かかった。道中、こども自然公園の入り口に、民主党の看板が無傷のまま、整然と掲げられていて、そのスローガンを読んで笑ってしまった。これも、なにかの記念にでもなるだろう、とカメラにおさめた。
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20110625
朝日朝刊
編集委員・星 浩
政治、考
民主党の弱さ 黙々と汗かく人が少ない
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国会の会期延長をめぐる被災者そっちのけの小競り合いには、うんざりしたので、別の話題を書いてみたい。
「政権交代」で沸いた熱い夏から2年になろうとしている。この間の民主党政治のどこに問題があったのか。財源なき財政支出など、政策に不備があった。小沢一郎氏の政治資金問題と分派活動、鳩山由紀夫、菅直人両氏のリーダーシップ不足ーーーー。さらに深刻なのは、与えられた任務を果たすフォロワーシップとも呼ぶべき 「政治の作法」が欠けていることだと思う。「作法」にうるさかった竹下登元首相の語録を引きつつ、民主党の現状を考えてみよう。
▲汗は自分でかく。手柄は人にあげる。
例えば原発の再稼動問題。菅首相は浜岡原発の停止要請を発表し、得意満面だった。一方で点検の済んだ原発の再稼動に向けた地元自治体との話し合いは、海江田万里経済産業相に委ねている。竹下流であれば、停止要請といった目立つ仕事は経産相に任せ、首相は地元との折衝に汗を流すだろう。菅氏の「手柄は自分」の体質が、民主党全体に及んでいないか。
「謹慎」すべき鳩山氏が大事な局面にしゃしゃり出てくる姿に、多くの国民はあきれ返っている。鳩山氏側近の松野頼久元副官房長官が、税と社会保障の一体改革を話し合う党の調査会で執行部批判を繰り返していた。鳩山政権の迷走で党に迷惑をかけたのだから、鳩山氏と共にしばらくは静かに身を処し、裏方の仕事に徹するべきだろう。黙々と汗をかく人が少なすぎる。
▲世間の評価は自己評価の半分と心得よ。
自分が80点の仕事ができたと思っても、世間から見たら40点というケースがある。人の評価は難しいのだ。
平野博文元官房長官、小沢鋭仁前環境相、樽床伸二国会対策委員長らの中堅議員が次の代表選出馬に意欲を見せているという。ちょっと待って欲しい。もっと重要閣僚や党役員などを経験し、国家観や政策実行力について、ある程度の評価を受ける必要がある。平野氏の自己評価は甘すぎないか。民主党が苦境にあるいまは、中堅議員は腰を落として、地道な仕事に力を傾ける時だ。首相を選ぶ代表選なのだから、手を挙げればいいというものではない。
民主党は、この2年間を真剣に反省し、体質を根っこから改めなければならない。それができないなら、菅首相を代えて新首相を選んでも、自民党と大連立を組んでも、民主党は行き詰るだろう。