原発大国のフランスで、脱原発の声が高まり始めたことを、20111003の朝日新聞で知った。
フランスでは、来年の大統領選に狙いを定めて、野党の動きが活発化してきた。原発が争点になりそうなのだ。このことについて、私は、外国のことだとは言え、原発の是非、今後どのようにしていくのかを国民に問ういい機会になったと思う。
仏 マルクールにある核廃棄物処理施設
日本では、与党も野党も政治問題として、議論するまでに至っていない。争論をしあぐねているのだ。世論もさまざまに散っている。兎に角、今までは原発を推進して、国策にまで仕上げた自由民主党政権を、個人の思いは様ざまだが、結果的に支持してきた。じゃ、これからどうするかってことだが、このまま技術を進化させて続けるのか、方針を変更して今か将来的に止めるのか、どっちかだ。
1970年代の石油危機を機に、原発の建設を加速させた結果、フランスは、原発の依存度が8割までに達した。
そして、東京電力福島第一原発の事故だ。それに加えて、9月中旬に起きた原子力施設での死亡事故が世論を刺激している。フランス南部のガール県マルクールにある低レベル核廃棄物処理施設「セントラク」で、核廃棄物を熱で溶かす溶融炉内で爆発が起こった。放射性物質の外部への漏れはなかったそうだ。亡くなった作業員は炭化していた。この事故のフランス国民に与えたインパクトは強かった。
どこの誰だって、これ程の原発事故に遭うと、そりゃ、無いほうがいいに決まっている、と思うのは当然だろう。地球のとある場所で発生した事故によって、地球がまるごと恐怖に曝(さら)されるということが、現実に起こり得るのだから。
話を日本に戻そう。
各党の党首が勝手なことを言っている場合ではない。同じ党内でも異論が飛び交う。
ならば、国民投票かと思うのだが、日本では一般的な重要法案の是非を、国民の民意に問う国民投票制度はない。あくまでも憲法改正のみに限られている。
中曽根康弘元首相
日本に原発を積極的に熱心に、そして強引に導入したのは、読売新聞の正力松太郎とバリバリの将校政治家・中曽根康弘氏だ。その中曽根康弘元首相さえ、今後電力を原発に依存しないようにするべきだ、と述べているのを新聞記事で知った。財界から、東電辺りからの見返りがなくなったのか? 老いて、普通のオジイチャン、好々爺になられた結果なのだろうか。
選挙によって、国民の審判を受けてない首相が2代も続く。野田佳彦内閣は、復興の手をできるだけ早く打って、衆院を解散して選挙をするべきだ。その際、原発の今後について各党は主張を明確にして欲しい。民意を国会に反映させたいものだ。
オーストリアでは、憲法に反原発を明記した。ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、従来の原発政策を見直して、脱原発に舵をきりだした。先のイタリアでは、国民投票で脱原発を95%が支持した。