20130202の朝日新聞を読んでいて、奇妙な記事を見つけて驚いた。タイトルは、「AKB涙の丸刈り謝罪 そこまでするワケは」だ。スポーツ新聞ではない朝日新聞の記事だ。
何で、こんな内容を朝日が取り上げたのだろう?と不思議だった。私がテレビを観るのは、朝のニュース番組と、特番として組まれる「昭和の歌謡ショー」ぐらいだから、このAKBとやらのグループがいかなる連中なのか知らない。
そのグループの一員の峯岸みなみさん(20)が、動画サイト「ユーチューブ」に丸刈り姿で登場して謝罪したというのだ。
「たくさんの皆様にご心配をおかけしまして、本当に申し訳ありません」。
映像は1月31日午後、同サイトのAKB公式チャンネルで公開された。ロングヘヤーだった峯岸さんが丸刈り姿で冒頭に謝罪の言葉を述べ、約8秒間頭を下げた。
「私がしてしまったことは軽率で自覚のない行動」、「誰にも相談せずに坊主にすることを自分で決めました」と大粒の涙を流し、「AKBをやめたくない」と訴え3分49秒の動画は終る。私も、急いでこの動画を見たが、痛々しかった。画像の真剣さとは裏腹に、私には可笑しさがこみ上げてきた。
峯岸さんはAKB結成時の2005年からの第1期生。AKBのメンバーにとって恋愛禁止は暗黙のルールだったらしい。
その謝罪しなければならない内容というのは峯岸さんが有名なダンスグループの男性宅に宿泊したこと、そのことを週刊誌が報じたので、このような行動をとったということだ。噛み砕くと、外泊したことを謝り、大騒ぎになったことを、「たくさんの皆様にご心配をおかけして」と謝った。峯岸さん、誰にも心配なんかかけていないよ。余りにも大仰過ぎないか、時代がかりの表現に違和感を感じた。事務所が作った原稿を読まされたのだろう。
「軽率で自覚のない行動だった」と謝っている。これって可笑しいよ。二十歳の成人の行動が、軽率で自覚のない行動だったと。何で?「皆様」に謝らなくてはいかんのだ。所属期間中は恋愛がご法度になっているのならば、身内、事務所内の幹部に向かって約束を守れなくてすみません、で済む話だ。彼女が外泊したことを知って、ファンは本当に怒るの? ファンが本当に怒るとしたら、ファンこそ可笑しいと思う。何か罪でも犯したの? ファンは彼女の外泊を責める権利なんてない筈だけどな?
丸刈り頭にしたのは、「自分で決めました」と言うが、年頃の女性がここまでしなくてはならない理由が解らない。ネタ作り?か、やり過ぎだ。謝罪の必死さが、嘘っぽい。女性が突然丸刈り頭で現れたのは、私には出家された時の瀬戸内寂聴さんしか知らない。
AKBの公式チャンネルで公開したのも、臭い。動画をアップする権限をもつ所属事務所がこの件を営業的に利用しているのが、ミエミエだ。
恋愛禁止が暗黙のルールだったというが、これは運営(プロモート)する側が商品であるアイドルをブランドコントロールするために必要な手法だったのだろうが、今時こんな手法もあり得るのか、これも可笑しい。タレントたちはそんなことを承知のうえだったのだろうか、そうではなかったのだろうか?
そんな記事の下には、大津市のいじめ自殺問題で、第三者委員会自らが聞き取り調査を行ったとの記事がたっぷりのスペースで陣取っていて、上の峯岸みなみさんの丸刈り謝罪の件も一種のいじめではないのか、と新聞社の記事の枠取りを担当する人もそう感じたのだろう。それで、記事が上下に並ぶことになったのだろう。
校内におけるいじめ問題や、体罰問題に共通する要素を、この丸刈り事件も包含しているように思われる。
それにしても、嘘っぽい話だ。