2013年2月2日土曜日

成長と財政再建

鼻息荒い安倍首相が、元気よくいろいろ言動してくれるのは、それはそれでいいんだが、でも、やっぱり心配だ。7月の参院選までは、勢い良く、ボロを出さないように、慎重に舵取りをしようと心掛けているようだ。アベノミクスとか、積極的なことには大きな声を張り上げているが、国民に負担を課す、具体的な案が表立ってこない。

先の衆院選で政権に返り咲いて、先ずは日銀に大胆な金融政策を迫った。金融緩和策だ。そうしたら、市場は、あれよあれよのうちに、株価は上昇し円安が進んだ。ここまでは、まあ、好かった、良かった、だ。何もアベノミクスでなくても、銘柄によってはもっと上がるべくして上がったものもある、円安だって十分円安になるための環境は整っていた。株価や為替相場は市場の心理に強い影響を与えるもんだと今更に驚いた。

安倍政権は、負担の分担についての丁寧な説明が不足していて、国民の方は聞き耳を避けている。本当は、消極的ながら聞きたがっている。

20130110の日経新聞の社説で、「成長と財政再建を両立できる司令塔に」と題して、まとめてくれているので、マイファイルした。その内容というのは、それほど難しいことではない、私でも理解できる当たり前の話だ。

世界最大で最強の経済国の米国でさえ、この経済成長と財政再建をどう両立させるか、「財政の崖」をめぐって米政府は議会との調整で苦しんでいる。日本と同じだ。ユーロ圏でも各国が政府関係の債務が縮小する税収に重くのしかかって、財政がピンチだ。

米国は大統領選を日本は衆院選を終えて、民意を施政者たちは理解したことだろう、大いに腕を奮って欲しいもんだ。

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成長と財政再建を両立できる司令塔に

安倍政権の経済政策の司令塔となる経済財政諮問会議と日本経済再生本部が始動した。大胆な経済政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略という「3本の矢」の具体化が始まる。

忘れてならないのが成長と財政再建の両立だ。双方のバランスを保たないと、本格的な経済再生はおぼつかない。安倍晋三首相が「強い経済」を取り戻したいのならその点を肝に銘じて欲しい。

諮問会議はマクロ政策を統括し、6月に中長期的な経済財政運営の指針をまとめる。ミクロ政策を担当する再生本部は、同じ時期に成長戦略を打ち出す予定だ。

民主党政権には経済政策の司令塔が見当たらなかった。安倍政権が民間人の力も借り、官邸主導の政策決定を目指すのは評価できる。ただ諮問会議と再生本部の役割分担にはあいまいな点も残る。組織の乱立が議論の形骸化や意思決定の遅れを招くようでは困る。

最優先の課題はデフレからの脱却と円高の修整だ。諮問会議には日銀の白川方明総裁も定期的に出席する。この場も生かして、政府・日銀が連携を深め、ともに適切な政策を繰り出す必要がある。

政府・日銀は2%の物価上昇率目標を掲げ、大胆な金融緩和に動くことを検討している。金融緩和の強化は欠かせないが、硬直的な目標が金融政策の柔軟性や独立性を損なわぬよう注意してほしい。

政府は事業規模20兆円超の緊急経済対策を11日にまとめ、日銀の金融緩和と歩調を合わせて景気の下支えに万全を期す。先端的な研究開発や新事業の創出を促す施策はいいとしても、防災対策などの名を借りた旧来型の公共事業が紛れ込んでいるようにみえる。

政府が財政規律を守れぬまま、日銀が国債の購入を増やすのでは、「財政赤字の尻ぬぐい」と受け取られる恐れがある。2014年度からの消費増税に頼るだけでなく、無駄な支出の削減や社会保障費の抑制にも努力すべきだ。

充実させてほしいのは成長戦略である。再生本部は製造業の復活を目指す「日本産業再興プラン」や、企業の海外展開を支える「国債展開戦略」などを策定する。

成長をけん引する企業の活性化に照準を合わせるのはいい。だが聞こえのいい文句ばかりが先立つのでは意味がない。環太平洋経済連携協定(TPP)への参加や法人税の減税など、民間の活力を引き出す施策に集中すべきだ。