2013年2月11日月曜日

狭い日本、みんなで譲り合いましょ

何という料簡の狭さよ。

この狭い日本で肩を擦(こす)りながら生きている者同士が、そんなに料簡の狭いことを言い合って、どうして和やかに暮らせよう。けち臭く、情もなく、余りにも排他的で嫌になるなあ、と述懐したのは、私。

「この駐車場内で方向転回をしないでください」とか、「ここは私道です、関係者以外は通行しないでください」の看板に出くわす度に感じる。

私と経営責任者の中さんとは、毎日と言っていい程、彼方此方(あっちこっち)に出かけて不動産の物件調査をしている。主に中古戸建と中古のマンション、それに土地だ。スタッフが検討している物件を、私たちの立場でも検討するためだ。

物件は千差万別なので、どの物件においても新鮮な味わいがあって、いくらでも興味が湧いて、こんなに楽しい仕事は他にはない、そんな感じだ。土地建物については、建築の新旧、規模の大小、デザイン、傷み方の程度、地勢をプラスに生かしているかハンディを負ったままかを、先ずは外観でチェックする。外観を見れば、内部のことは大体予想がつく。住んでいる人たちのことまでも想像がつくのである。

物件までの交通のアクセスを確認するのに、主要幹線道路から、物件までの道筋を実際に車で走って、その道路状況を把握する。4メートル幅の道路で物件まで行けて、敷地内にスムーズに車が入れば、オッケーで、敷地が高くても地下駐車場になっていれば、それもオッケー。敷地が道路よりも低いと、駐車場を何らかの方法、材料で構築しなければならなくて、費用がかさむ。階段を通らなければ、敷地に入れないようでは、車を利用する人には嫌われる。評価が低くなる。

そのように、接面する道路状況は物件の重要な要素だ。ところが、計画的に造成した分譲地以外の旧市街地には、意外と狭い道路に面している物件が多い。

そのような道路の狭い地域に、何とか車を乗り入れて行くと、最後には行き止まりになって、来た道をバックして戻らなくてはならないことが多い。そんな時、横を眺めれば駐車場があって、よく見えるところに、例の看板=「この駐車場内で方向転回をしないでください」が掲げられている。

その看板を見かけたときに感じるのが、冒頭の「何という料簡の狭さよ」だ。

中さんは、この地球の陸も海も空も、元々は個人が所有するなんて考える方が可怪しいのですよ、土地だって、俺の物(もん)だとか、此処から先はお前の物(もん)だとか、そんなことを言うのは横暴ですよね、と冗談にしてはちょっと危険な発言。これって、ここだけの、二人だけのお・は・な・し!!だよ。土地は、そんな物(もん)なんだから、気持よく、駐車場の契約者に迷惑にならないように、Uターンでも方向転回でも、自由にお使いくださいと何故、言えないんですかね、尻(けつ)の穴の小さい奴や、と畳み込んだ。私はそこまで過激な意見を持ってはいないが、一時的に駐車場の空地を車の転回のために進入することぐらい、ニッコリ笑顔でどうぞと言えないもんか、、、、ぐらいには思う。

駐車場の所有者が、本気でこの看板通りのことを考えているとしたら、怖(こわ)くて寒々しいが、実は、地主さんにだって言いたいことがあるのだろう。今までに、礼儀を知らない阿呆に嫌な気分にさせられたことがある。それならば、怖い顔になるのも仕方がない。そうだよな、看板を掲げている地主さんが、全て怖い人ではないはずだ。

「ここは私道です、関係者以外は通行しないでください」の看板だって同様だ。一度(ひとたび)、自分の土地を道路に提供すれば、その部分は公器になる。公の利便に供するということで、もうその道路は私権(自分の所有物)から遠くに離れていったものだと諦めるべきなのだ。むしろ、公共の利益に貢献していることを誇るべきだ。それが、道理だ。

怖い顔は精神的にも良くないですぞ、にっこり、にっこり、、、。 狭い日本の、数少ない仲間たち同士ではないか。